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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2026年03月12日

食と農の未来に向けて「全国産直研究交流集会 2026」を開催 ~いま生協産直がとりくむこと~

 日本生協連は、「全国産直研究交流集会2026」を2026年2月13日(金)・14日(土)に開催し、産直に関わる全国の生協の役職員・組合員・生産者団体・関係企業など、112団体、412名(オンライン参加293名を含む)が参加しました。
本交流会は「食と農の未来に向けて~いま生協産直がとりくむこと~」をテーマに2日間開催しました。

 1日目の全体会では、日本生協連 常務執行役員 朝比奈まゆ子による開会のあいさつの後、全国産直研究会 代表委員 三田謙二氏(コープデリ生活協同組合連合会 執行役員 商品業務管理)より、2025年度全国産直研究会の活動報告を行いました。

 その後の講演では3名の講師に登壇いただきました。株式会社農林中金総合研究所 リサーチ&ソリューション第1部研究員 宮田夏希氏より「気候変動と農業・食の未来-生協産直の役割を考える」、株式会社アグリーンハート 代表取締役 佐藤拓郎氏より「ファンと共に育てる農業経営のあたらしい形」、グリンリーフ株式会社/株式会社野菜くらぶ 代表取締役 澤浦彰治氏より「生協産直産地からの生協産直への提言」と題した講演をいただきました。

報告「2025年度 全国産直研究会取り組み報告」

三田 謙二氏(全国産直研究会 代表委員/コープデリ生活協同組合連合会 執行役員 商品業務管理)

全国産直研究会 代表委員 三田 謙二氏の報告

 三田氏は、全国産直研究会の2025年度の取り組みとして、「第11回全国生協産直調査」で示された「5つの提言」の具体化に向けた実践内容を報告しました。その中で、産直人材育成施策として実施し高い評価を得た「生協産直責任者育成研修」の紹介と、生協産直マネジメントシステムの改定報告や、GAPにおけるJAグループとの連携について報告しました。

講演「気候変動と農業・食の未来 ―生協産直の役割を考える―」

宮田 夏希氏(株式会社農林中金総合研究所 リサーチ&ソリューション第1部研究員)

株式会社農林中金総合研究所 リサーチ&ソリューション第1部研究員 宮田 夏希氏

 宮田氏は、気候変動がすでに農業と食に影響を及ぼしており、今後その影響が一層拡大していくことを、国内外の動向や事例をもとに紹介しました。国内では、気温や降水パターンの変化などにより、農作物の品質低下や収量の不安定化、病害虫被害の拡大、栽培適地の変化といった影響が各地で確認されていること、品目において様々な対応が必要であることを語りました。そして、海外では、干ばつや熱波などの極端な現象が増加し、農業生産の不安定化が日本国内の生産や消費にも影響を及ぼしていると指摘しました。

 こうした状況を踏まえ、農業分野では、気候変動の影響を回避・軽減する「適応策」と、温室効果ガス排出を抑制する「緩和策」を両輪で進めることが重要であることを語りました。「適応策」としては、品種転換や栽培方法の工夫に加え、気象や生育データを活用したデータ駆動型農業の有効性を示すとともに、産地での具体的な取り組み事例を紹介しました。「緩和策」としては、「みどりの食料システム戦略」の政策内容、環境負荷低減に配慮した営農の推進、生産や小売りでの先進的な取り組みを紹介しました。

 最後に、気候変動に対応した農業を持続させていくためには、生産現場での技術・経営の工夫、消費者の理解と選択、そしてそれらをつなぐ生協の役割がこれまで以上に重要であると指摘し、持続可能な生産と消費を支える仕組みづくりへの期待を示しました。

講演 「ファンと共に育てる農業経営の新しい形」

佐藤 拓郎氏(株式会社アグリーンハート 代表取締役)

株式会社アグリーンハート 代表取締役 佐藤 拓郎氏

 株式会社アグリーンハートの代表を務める佐藤氏は、「子どもたちの未来に希望をつくる」を人生の生きがいとして、高付加価値生産型と低コスト大量生産型の二つを軸にした農業生産を実践されています。

 2017年に青森県黒石市で同社を設立し、経営面積78haのうち59haで有機栽培、19haで減農薬栽培に取り組み、(株)オプティムと一緒に、ドローンによる自動飛行での種の直播やピンポイント除草剤散布など、デジタル技術を活用したスマート農業技術を導入。作業の平準化や精度向上、農薬使用量の削減を実現し、「テクノロジーの進化により、変わらなければいけないのが農業だ」と語りました。

 第四次産業革命の進展により仕事のあり方そのものが変化する中で、「事業の目的や経営者の在り方、従業員の人生とどう向き合うかを考えた経営を行わなければ、これからの未来をやっていけない」とも語っています。現在は、子ども向けの農業教育をはじめ、有機農業の普及、休耕地を障がい者と共に再生する共生型農業、さらに有機栽培技術の実践研究など、多方面での活動に力を注がれていることも紹介ありました。

 「農家は農業者から農業経営者へ、農業経営から地域経営に変わっていかなければならない」と語り、農業が社会を再編できるタイミングで、生産者、販売者、消費者を分断するのではなく、生産と消費を一体化させる消費生産者としての考え方を大切にしていくべきだと締めくくりました。

講演「産直産地から生協産直への提言」

澤浦 彰治氏(グリンリーフ株式会社/株式会社野菜くらぶ 代表取締役)

グリンリーフ株式会社/株式会社野菜くらぶ
代表取締役 澤浦 彰治氏

 グリンリーフグループ の経営理念=「感動農業」「人づくり・土づくり」の解説、理念は「私たちの仕事の意味」を示すものであり、講演の冒頭で必ず紹介していることから、講演は始まりました。

 澤浦氏は「農業は平和の礎の産業」と強調しました。世の中が平和で安定するためには、すべての人に食べ物が行き渡り、将来も安心できる状態が「絶対条件」である一方、経済活動でモノが余ると価格が暴落し経営に悪影響が出るため「矛盾した職業」とも語っています。また、デジタル技術の発展などを背景に、農業には多様な経営体が生まれており、現在は衰退ではなく転換の時期にあると指摘。法人として経営指針づくり、社員の評価制度、社員が自らつくった就業規則・社内規定、教育制度、採用の考えなども紹介してくれました。

 生協産直への提言として、地球温暖化など環境変化に応じた規格基準の見直しや、生産者と連携した商品開発など、新たな仕組みや関係づくりの重要性を挙げました。

 さらに、近年注目されているCSA(地域支援型農業。生産者と消費者が支え合いながら営農する方法)にも触れ、生協が、生産者と消費者をつなぎ、社会課題を共に考え解決する枠組みを強めていくことへの期待を示しました。

 

 2日目のプログラムは分野別・テーマ別交流会です。「青果」「米」「畜産」「人材育成」「生協間連携」などのテーマ別にグループを組み、参加者同士活発な討論を行い、17のグループから発表がありました。生協産直の良さをもっと広め、全国に生協が連帯する取り組みの呼びかけや、生協産直をキーワードに今後取り組みたいことなど、各グループの交流内容の報告がありました。

2日目 分野別・テーマ別交流会の様子