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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2025年03月12日

共創のプラットフォームをめざして
「全国産直研究交流集会 2025」を開催
~ひと、つながりを育む生協産直~

 日本生協連は、産直に関わる生協・生産者団体、流通事業者を対象とした「全国産直研究交流集会2025」を、2月14日(金)・15日(土)に開催し、産直に関わる全国の生協の役職員・組合員・生産者団体・関係企業など、126団体、約366人が参加しました。

 本交流会は「ひと、つながりを育む生協産直」をテーマに開催しました。

 はじめに日本生協連常務理事 山田英孝による開会のあいさつの後、パルシステム生活協同組合連合会/全国産直研究会 代表委員 那須 豊氏より、全国産直研究会の活動報告を行いました。続いて京都生活協同組合/生協産直品質保証システム検討部会 部会長 佐々木裕司氏より、「生協産直品質保証システムのこれから」について報告を行いました。

 特別講演では2名の講師に登壇いただきました。まず株式会社雨風太陽 代表取締役社長 高橋 博之氏より「都市と地方をかきまぜる~生産者と消費者のつながりづくり~」、続いて株式会社坂ノ途中 代表取締役 小野 邦彦氏より「100年先もつづく、農業を」と題した講演をいただきました。

 

講演 「都市と地方をかきまぜる~生産者と消費者のつながりづくり~」高橋 博之氏(株式会社雨風太陽 代表取締役社長)

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株式会社雨風太陽 代表取締役社長
高橋 博之氏

 高橋氏は講演の中で、人口減少や高齢化による担い手不足で窮地に立たされている中山間地域などの地方を支えることが喫緊の課題であり、できない理由を挙げるのではなく、どうすればできるかをみんなで考え、やり抜くことが重要であると強調しました。できることの一つとして、定住や観光のいずれでもなく、地域外の人材が地域づくりの担い手となる「関係人口」としての関りを提唱しました。
 高橋氏が代表を務める株式会社雨風太陽が運営する「ポケットマルシェ」は、消費者が全国の農家や漁師とやりとりをしながら産地直送の食材が買えるECサイトです。そのサイトで、ある農家が多くの顧客を獲得している背景として、ネット販売における値段や写真の載せ方等のノウハウを、産地に住んでいないプロのマーケターが消費者として産地を訪れ、アドバイスしている例を挙げられました。それは生産現場と直接繋がった消費に参加することで新しい価値を生む喜びを感じられる、コンシューマーハピネスという農村との関わり方のひとつであり、ライフスタイルが多様化する中、本来の拠点を選択しながら複数の地で生活し産地に関わり支えていくことの可能性と重要性を述べました。
 食を通じて育まれた日本の自然や歴史のルーツを次に繋げていく表明と、これまで消費者との横の繋がりで生産者を守り続けている生協の取り組みに触れ、これからも皆で力を合わせ、ともに支援の運動を拡げていきたいと締めくくりました。

 

講演 「100年先もつづく、農業を」小野 邦彦氏(株式会社坂ノ途中 代表取締役)

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株式会社坂ノ途中 代表取締役
小野 邦彦氏

 小野氏が代表を務める株式会社坂ノ途中は、100年先もつづく農業のかたちをつくることで持続可能な社会にたどり着きたいと考え、環境負荷の小さな農業に取り組む人たちを増やすことを目指しています。
 小野氏は、環境負荷の小さな農業が広がるためには新規就農者の増加が必須である一方、設備投資などゼロからスタートするため必然的に小規模となり、供給の少量不安定さにともない、多くの新規就農者は経営が成り立たない状況という課題にフォーカスした販売システムの取り組みについて述べました。少量不安定な生産量でも生産と消費が分断されないような具体例として、分散した作付け管理、小ロット取引においても間接コストが肥大化しないためのデータ連携による効率化、作物の出来のブレを季節の変化と消費者に捉えてもらう許容度の引き上げ、栽培計画に反映するための顧客からのフィードバック共有など、新たなバリューチェーンを構築してきた経過を挙げられました。
 結果として生産者の経営ハードルが下がり、提携生産者が新たに規模を拡大しチャレンジしている動向を情報整理し世の中に公開するため、事業開発とシンクタンクの機能を持つ研究室を立ち上げ、生産者へのデータ提供や自治体、企業との連携をすすめてきたことに触れ、さらなる新規就農者の拡大に繋げていきたい思いを述べられました。

 

 2日目の分野別・テーマ別交流会では「青果」「米」「畜産」「水産」などの分野別、「産地交流」「人材育成」「農福連携」などのテーマ別にグループをつくり、その中で産直産地が取り組んでいることや課題、悩みを共有し、解決に向けて組合員や担当生協職員とともに意見交換することで、地域課題や持続可能な生産について参加者各々が自身や自組織でやってみたいことを考え、決意表明するグループワークを実施しました。

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2日目 分野別・テーマ別交流会の様子