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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2018年03月07日

2017年度 家庭の食事からの放射性物質摂取量調査 結果について ~全国18都県で調査 4年連続すべて不検出~

 日本生協連は、2011年度から「家庭の食事からの放射性物質摂取量調査」を7年間継続しております。2017年度は全国18都県の生協組合員234世帯のご家庭にご協力いただき、普段の食事2日分を検査しました。今回の調査の結果もすべて不検出となり、4年連続ですべて不検出となりました。

調査の目的

  • 一般家庭の日々の食事に含まれる放射性物質の量について、生協組合員の関心が高く、その実態を科学的に調査すること。
  • 東北・関東を中心に広く生協組合員の協力を得て、実際の食事と使用した食材に関する情報や食事に対する意識を調査することで、実情を把握すること。
  • 調査結果や関連情報を広く消費者の皆さまへ分かりやすく提供していくことで、現状を正しく理解するための一助とすること。

調査の概要

調査期間 2017年6月22日~2018年1月31日
実施数 234世帯234サンプル(内、福島県100世帯100サンプル)
対象地域 岩手、宮城、福島、群馬、栃木、茨城、埼玉、東京、千葉、神奈川、新潟、長野、山梨、静岡、愛知、岐阜、三重、福岡の18都県
方法 各家庭の2日分の食事(6食分と間食)を1サンプルとして、すべて混合し測定
測定器 ゲルマニウム半導体検出器 
検出限界 1Bq/kg(参考:図表1)
測定物質 セシウム134、セシウム137、カリウム40
検査機関 日本生協連、コープ東北サンネット事業連合、コープデリ連合会、ユーコープ、東海コープ事業連合、コープこうべ、コープ九州事業連合(エフコープ)の商品検査センター

図表1.厚労省が設定した放射性セシウムの基準値と今回の調査の検出限界の比較

※基準値は食品群ごとに設定されています。本調査のような食事サンプルに対して設定された値ではありません。

  • 東北、関東を中心に実施数を2011年度250サンプル、2012年度671サンプル、2013年度435サンプル、2014年度256サンプル、2015年度263サンプル、2016年度253サンプル、2017年度234サンプルとしています。
  • 参考値としてヨウ素131も測定しましたが、すべて不検出でした。2011年度~2016年度もすべて不検出でした。

2017年度の調査結果の概要と、過去6年間の調査との比較

  1. 食事1kg当たりの放射性セシウムの量について
    • 2017年度に調査を行ったすべてのサンプルで、検出限界以上の放射性セシウムは検出されませんでした
    • 2013年度までの各年度はいずれも放射性セシウムを検出したサンプルがありましたが、検出割合、放射性セシウムの最大値は、年度を追うごとに減少しており、2014年度以降は4年連続不検出となっています
    • 7年間で2,362サンプルを調査した結果は、上記傾向となっており、放射性セシウムを1Bq/kg以上含む食事を継続して食べ続けている可能性は極めて低いと推察されます
  2. 1年間当たりの食事からの内部被ばく線量について(放射性セシウム)
    • 2011年度~2017年度の調査で、放射性セシウムを検出した食事を1年間継続して食べ続けた場合の内部被ばく線量をサンプルごとに推定し、年度ごとに比較しました。
    • 内部被ばく線量の最大値は、2011年度~2013年度にかけて徐々に低くなっていました。
    • 2014年度~2017年度は放射性セシウムを検出しなかったことから、内部被ばく線量は2013年度当時よりもさらに低下していると考えられます。
      • ※セシウム137が検出され、セシウム134が検出限界未満の場合は、セシウム134が検出限界と同じ1Bq/kg含まれていたと仮定して算出しました。
  3. 放射性カリウムについて
    • 原発事故に関係なく食品中に含まれる放射性カリウム(カリウム40)の測定結果は13~52 Bq/kgとなり、2011年度~2016年度の調査結果と同様にすべてのサンプルから検出されました。1年間の内部被ばく線量は0.021~0.29mSvとなり、過去6年間と同等のレベルでした。

食事サンプルを提供していただいた方々の声

アンケートに記入いただいた組合員の声を一部ご紹介します。

  • 定期的に測定していただけるので助かるし安心できるのでこれからも続けてほしいです。
  • 個人的に調査していただけるのは非常にありがたいことです。自宅での野菜、くだものなど気掛かりでしたが、とても良いタイミングで大変良い機会でした。
  • 日頃、自分で食材を選び調理して作った料理に含まれている放射性物質量を知る機会が無かったため、調査して頂けることになり大変ありがたいです。結果から今後の食生活を改めて考えていきたいです。
  • 生協さんに食事調査を取り組んでいただいており、調査していただける事に信頼が持てています。子供が多いので安心して食事を作り成長に繋いでいっていきたいと日々思っています。
  • 一般家庭では、この様な検査は出来ないので、大変ありがたい事だと思います。安心が数値として形で見られるので、とても良い企画であると思います。
  • 食材に関しては地元の物が新鮮で美味しいと思っておりますし、生産者を応援したくて選んでいます。摂取量調査の結果・情報が、福島の風評払拭につながる事になるとよいと思います。
  • 自宅に畑があるので、放射能が地震後は気になっていましたが、時間の経過と共に安心して食べているような気がします。小さい子供もいるので、今回の調査は積極的に参加したいと思いました。
  • 福島県に引っ越してきたので、今回を機にいろいろ気になっていたことが解消できれば嬉しいです。
  • はじめて調査いたしました。子供が3人育ちざかりの子ばかりなので、親として放射能は、食でかなり心配しています。調査出来てうれしいです。ありがとうございました。

今後の予定

  • 2018年度も調査を継続し、全国の生協・組合員と情報や課題を共有します。結果の発表は2019年3月ごろの予定です。
  • 引き続き、参加者に対する調査の意義や調査結果の見方の説明・質疑応答など、放射性物質に関するリスクコミュニケーションを行っていきます。

日本食品衛生学雑誌「論文賞」受賞について

 2017年11月、2011年度~2014年度の調査結果をまとめた論文が、公益社団法人 日本食品衛生学会から2016年度の「論文賞」を受賞しました。
 『陰膳方式によるトータルダイエット試料中放射性セシウムおよび放射性カリウム摂取量推定および経年変化(2011~2014年度)』食品衛生学雑誌Vol. 57 (2016) No. 1 p. 7-12

 公益社団法人 日本食品衛生学会は、食品衛生に関する研究の連絡・提携及び促進をはかり、あわせて研究結果の普及を行うことにより学術・文化の発展に寄与することを目的としている学会です。受賞にあたり専門家からは、このような大規模な陰膳方式による放射性物質の摂取量調査は世界的にも例がないと評価いただきました。
 表彰式の様子は、下記の日本生協連 コーポレートサイトをご覧ください。
「家庭の食事からの放射性物質摂取量調査」の論文が(公社)日本食品衛生学会から「論文賞」を受賞しました(2017年11月20日発表)
 
 また、論文の全文は下記のWebサイトをご覧ください。(※クリックするとPDFが開きます)
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokueishi/57/1/57_7/_pdf/-char/ja