2025年04月16日
「ピースアクションinオキナワ ~第42回沖縄戦跡・基地めぐり~」を開催しました
日本生協連と沖縄県生協連は、2025年3月26日~28日、沖縄戦の実相と現在の沖縄が抱える基地問題を学び平和について考える機会として、「ピースアクションinオキナワ~第42回沖縄戦跡・基地めぐり~」を開催しました。
沖縄戦から80年となる今年は、「沖縄の過去・現在を学び、平和な未来につなげよう」をテーマに、過去最多規模となる、34都道府県の40生協259人の組合員・役職員が沖縄に集まり、学習講演会とフィールドワークなどに参加しました。
1日目は、那覇市内のホテルを会場に観劇や学習講演などを実施しました。
学習講演に先立ち、玉城デニー沖縄県知事からのビデオメッセージが放映されました。玉城知事は、世界の軍事的緊張の高まりと安全保障環境の複雑化を指摘したうえで、「対話による信頼構築が不可欠。沖縄県では地域外交に積極的に取り組んでおり、緊張緩和につなげたい。ピースアクションinオキナワの成功をお祈りします」と述べました。
その後、地元の小学生~高校生からなる 「那覇青少年舞台プログラム」の演劇が披露されました。疎開船「対馬丸」(※)をテーマに、乗船していた児童・教員から現代に生きる人々へ平和のメッセージを届けるといった内容で、参加者は踊りや歌を交えた演技に見入っていました。
※1944年、沖縄に地上戦が迫るなかで沖縄から本土への疎開者を乗せて航行中、アメリカ軍の魚雷攻撃で沈没し、多くの犠牲者を出しました。犠牲者の半数は子どもでした。
学習講演では、10歳で沖縄戦を経験した玉木利枝子さんから講話をいただきました。玉木さんは対馬丸に乗る予定だったものの、ひとりで疎開させることを祖母が心配し、最終的に対馬丸には乗船しませんでした。沖縄戦でその祖母や父、兄を亡くした経験から、「戦争はあってはならないという思いが強ければ強いほど、戦争を止める力になる」と訴えました。時折涙ぐみながら語る玉木さんのお話に、涙を流す参加者もいました。
後半は、大人と親子連れに分かれ、分散会に移りました。主に大人の参加者向けには、沖縄国際大学大学院の前泊博盛教授が「戦後80年―いま再び迫る戦争の危機」と題して講演を行い、政治や基地を巡る情勢を解説しました。台湾有事など東アジアでも軍事的緊張が高まるなか、沖縄県以外に住む人にとっても、地域の平和を維持することが極めて重要であることを学びました。
親子連れを対象にしたコースでは、歌や芝居で戦争について伝える活動を行っている会沢芽美さんに登壇いただきました。子どもたちは、会沢さんと一緒に踊りを楽しみながら、戦争と平和について学びました。
那覇青少年舞台プログラムの公演
前泊博盛教授の講演を聴く参加者
会沢芽美さん(前列左)と一緒に踊る参加者ら
2日目と3日目のフィールドワークでは大型バスに分乗し、嘉数高台・普天間基地、辺野古、糸数豪(アブチラガマ)、平和祈念公園、ひめゆりの塔、魂魄の塔などの戦跡・基地を回りました。参加者は、平和ガイドの説明を聞きながら、沖縄戦と基地問題についての学びを深めました。
参加者からは、「戦争の恐ろしさや平和の大切さなど今回学んだことを次世代に伝えていこうと思います。自分自身もさらに戦争について勉強したいと思います」「沖縄で80年前、50年前にあったことと、沖縄が抱えている現在の問題は一本の線で繋がっていると感じました。1つでもその実相を伝えていきたいです」「(玉木利枝子さんが)80年を経ても涙ながらに語ってくださる様子に心が動かされ、当時の悲惨な様子が伝わってきました。絶対このようなことを繰り返してはならないと強く思いました」などの感想が寄せられました。
日本生協連と全国の生協は、被爆・戦後80年となる今年、「ピースアクション」などの平和への取り組みを一層進め、戦争体験の継承と平和な社会の実現を目指します。
瀬嵩の浜から辺野古新基地予定地を望む
ひめゆりの塔で説明を受ける参加者

魂魄の塔で手を合わせる子どもの参加者