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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2024年04月10日

「ピースアクションinオキナワ ~第41回沖縄戦跡・基地めぐり~」を開催しました

 日本生協連と沖縄県生協連は、2024年3月27日~29日、沖縄戦の実相と現在の沖縄が抱える基地問題を学び平和について考える機会として、「ピースアクションinオキナワ~第41回沖縄戦跡・基地めぐり~」を開催しました。
41回目となる今年は、「沖縄から学ぶ過去・現在・未来」をテーマに、コロナ禍以前と同規模となる、27都道府県の38生協217人の組合員・役職員が沖縄に集まり、学習講演会とフィールドワークに参加しました。

 

 1日目の学習講演会では、琉球大学教育学部教授の山口剛史さんから、「沖縄戦・在沖米軍基地から平和を考える」というテーマで講演いただきました。
 山口さんは「沖縄で平和を考えるとは、軍隊について考えること。沖縄の過去と現在から学び、軍隊や基地について考えてほしい」と述べ、沖縄戦で住民がどのように亡くなったか、米軍基地がどのように使われているのかなどをクイズ形式で解説していきました。そして、「非暴力、不服従という市民的な抵抗を重ねてきた点に沖縄の基地反対運動の根強さがある。いかに平和を平和的な方法でつくりあげることができるのかを考えていかなければならない。どのように平和を作っていけば良いのか、沖縄の地を歩きながら考えてみてほしい」と語りました。
 さらに質疑応答では、「若い世代や子どもたちが平和について学ぶ意義は何か?」という質問に対して、「戦争をなくすまであと何百年、何千年かかるか分からない。しかし、その可能性を子どもたちが考えてみることだ」と述べました。

 続いて、「那覇市繁多川(はんたがわ)の住民が見た沖縄戦」と題して、首里城に程近い那覇市繁多川地区の住民が経験した沖縄戦について、同地区公民館館長を務める南信乃介さんから講演いただきました。同地区の住民は沖縄戦の最中、軍や行政機関によってガマ(※)から追われ、南部など各地を転々とするなかで、多くの人が命を落としました。
 沖縄戦経験者で繁多川自治会長などを務めた波平元維さんと南さんの対談動画を放映した後、南さんは「繁多川にはガマがたくさんあり、戦時中はガマを利用して暮らしていた。そこで赤ちゃんが産まれたり、住民が犠牲になったり、けが人を置いていかざるを得なかったりした。実際にあったそうしたことを想像しながらフィールドワークをしてほしい」と語りました。

 最後に、「色々な国の人と出会って語り合いなさいと波平さんはよく言っている。私はその言葉に後押しされて、エジプトに公民館を作る運動をしている。みなさんとも一緒に平和な社会作りができれば」と締めくくりました。

 ※沖縄本島南部に多くみられる自然洞窟のことで、沖縄戦では住民の避難場所になりました。

 

 その後、全国大学生活協同組合連合会(略称:全国大学生協連)Peace Now! Okinawa実行委員の学生から全国大学生協連の取り組みなどについて報告がありました。学生は、全国大学生協連の調査で学生の政治・社会問題への関心が低下している現状を説明したうえで、「民主的な意思決定が平和の土台であるが、民主的な意思決定の場に若者が参加できているのかを考えなくてはならない」と語りました。

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山口剛史さんによる講演

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南信乃介さんによる講演

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山口剛史さんの講演を聴く参加者

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学習講演会後の参加者交流会の様子

 2日目と3日目のフィールドワークでは大型バスに分乗し、辺野古、嘉数高台・普天間基地、糸数豪(アブチラガマ)、平和祈念公園、ひめゆりの塔などの戦跡・基地を回りました。参加者は、平和ガイドの説明を聞きながら、沖縄戦と基地問題についての学びを深めました。

 参加者からは、「沖縄は海がきれいなイメージがあったが、その裏にある歴史を学ぶことができて良かった」「沖縄について知らないことだらけだったのだと気が付いた。ぜひ沖縄に来て、と周りの人にも伝えたい」「過去の戦争が今の状況を作り、70年を超える時を経てなお沖縄の人々の生活を苦しめていることに悲しみを覚えました。報道の中だけでは見えてこない事実があることに気づかされました」などの感想が寄せられました。

 日本生協連と全国の生協は、「ピースアクション」などの平和への取り組みを通じて、戦争体験の継承と、平和な社会の実現を目指します。

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嘉数(かかず)高台から普天間基地を望む

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読谷村のチビチリガマの碑の前で説明を聞く参加者

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糸数豪(アブチラガマ)では折り鶴を奉納

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平和の礎でガイドの話を聴く参加者