2023年07月04日
全国の地域生協の事業概況を発表
宅配事業のリノベーションの進捗状況を発表
エシカル消費対応商品の総供給高が2,250億円※(前年比111%)に
※供給高は組合員供給価
日本生協連は、2022年度業績および2023年度方針について取りまとめましたので発表いたします。また、宅配事業のリノベーションの取り組み、コープ商品事業の進捗についても併せてご報告いたします。
●地域生協:22年度供給高はコロナ前となる19年度との比較で伸長を維持
全国65主要地域生協の2022年度の供給高(売上高)は3兆233億円(推計値、21年比 98.7%)となりました。宅配・店舗事業ともに前年割れとなりましたが、新型コロナ感染拡大前となる19年との比較では宅配事業は113.7%、店舗事業は102.2%と伸長を維持しています。
●宅配事業:供給高は前年を若干下回るも、19年比では2桁伸長。個配は1兆5,850億円(推計値、21年比100.1%)と好調に推移
宅配事業供給高は2兆945億円(推計値、21年比 99.1%)と前年を若干下回るも23年2月度までは19年比では2桁伸長しています。環境に配慮した配達の実現に向けた取り組みでは、4月14日より、みやぎ生協でEVトラック1号車(車両共同調達事業参加会員)の配達運用を開始しました。今後、コープみらい、いばらきコープ、とちぎコープ、コープこうべでも実験導入予定です。
●店舗事業:供給高は21年比99.3%となる9,175億円
店舗事業供給高は9,175億円(推計値、21年比99.3%)となりました。4~6月の前半は、「まん延防止重点措置」の解除もあり、内食需要が低下した影響で不振でした。7月の記録的猛暑で回復の兆しが見え、8月は盆で都市部と地方で明暗が分かれました。10月からは価格高騰の影響で点単価と客単価が上昇し前年伸長するも、2~3月は節約志向が高まり前年割れとなりました。
●医療・学校生協を含む全国の会員生協総組合員数が堅調に増加
●宅配事業のリノベーションの取り組み
①宅配センター業務標準化
宅配事業の利用定着・生産性向上・物件費削減を行い、損益を改善することが課題です。センターの現場では「異動すると手順が違い覚え直す必要がある」「人によって作業時間にバラツキがある」などの課題があります。「標準化」により、ムラ・ムリ・ムダを省き、効率化を図ります。2022年度は、4生協が参加して「標準化セミナー」を開催しました。2023年度は、「標準化スクール」を開催し、損益改善の手法として、標準化を学び実践していく予定です。
②売場制作業務改革(統合商品DB構想)
生協の宅配カタログやお買い物サイト(EC)の制作には、仕様書・商品マスタ・画像など、様々な商品情報が必要です。これらの情報を全国で共通利用することで、効率化・コスト削減を図るとともに、柔軟なECの展開を可能とする環境を整備します。
③TRY CO・OP(生協未加入の若年層が、宅配商品を手軽に試せるサービス)
「生協宅配=子育て家庭が利用するもの」という固定イメージにとらわれず、TRY CO・OPでは子を持たない若年層へアプローチし、生協の理解促進・利用意向につなげます。2022年度まで実験展開し、2023年9月より実施エリアを拡大する予定です。
●コープ商品事業: 2030年に向けてあらたに策定されたCO・OP商品政策を引き続き発信
これまでのCO・OP商品政策は2016年に策定されましたが、特にここ数年の社会・環境・組合員のくらしは大きく変化しており、更に生協全体でも2030年に向けて策定されたビジョンや政策を発信してきました。このような状況を受けて、今、そしてこれからに向けた内容のCO・OP商品政策に見直すこととしました。「想いをかたちに」をブランドメッセージに掲げ、これからも大切にする不変的な価値を「5つの約束」、2030年までにCO・OP商品がなりたい姿、CO・OP商品を通じて組合員や社会に貢献したいことを「めざす未来」とします。
<コープ商品事業進捗>
①エシカル消費対応商品
エシカル消費対応商品は、総供給高2,250億円※(前年比111%)となりました。
容器包装問題への対応が更に進み、エコマークは前年比177%と大きく伸長しました。FSC®認証マーク付き商品も前年比120%となりました。
※供給高は組合員供給価です。
②テーマ別実績
コープサステナブル
環境や社会に配慮した主原料を使った商品に、共通のロゴマークを付けてシリーズ化した「コープサステナブル」。22年度は主に水産品・家庭用品で発売アイテムを拡充し、年間供給高は241億円(前年比161%)、品番数は203品(前年比+76品)まで市場拡大しました。
原料や製造方法にこだわり、100人規模の組合員モニターの8割以上が「おいしい」※と評価した商品のみをラインアップしたシリーズ「コープクオリティ」は、年間供給高は76億円(前年比101%)、品番数は92品(前年比+5品)となりました。食品の価格が全体的に値上がりする中で、おいしさという価値商品に関しては、安定的なニーズがあったものと捉えています。
※「おいしい」「ややおいしい」を含む
乳幼児向け商品「きらきらステップ」は、22年度で発売から5周年を迎え、多くの組合員に支持され、年間供給高は22億円(前年比110%)、品番数は26品(前年比±0品)と、引き続き伸長しました。
歯が生え揃った後の幼児を対象とし、2019年秋から発売を開始した「きらきらキッズ」は、年間供給高は6億円(前年比109%)、品番数は13品(前年比+2品)まで伸長しました。
食物アレルギーを引き起こす物質のうち、特定原材料7品目(卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに)を使わない食物アレルギー対応商品「7品目を使わない」シリーズの年間供給高は6,400万円(前年比100%)でした。品番数は10品(前年比±0品)となり、横ばいですが一定層の支持をいただいています。
●日本生協連:総供給高4,356億円(21年比100.6%)と伸長
日本生協連の総供給高は4,356億円(21年比100.6%)となり、前年を上回る結果となりました。コープ商品事業供給高は3,434億円(21年比101.5%)となり、農畜産を除き前年を上回りました。分類別では特に冷凍食品、加工食品、日配食品が好調でした。くらし応援全国キャンペーンの対象品の牛乳、冷凍食品のスナック、食用油などが牽引しています。NB商品を主とした日用品・消耗品の供給を行うキャロット事業の供給高は、350億円(21年比94.7%)となりました。そのほか、衣料品などの供給を行うカタログ事業は536億円(21年比99.3%)、ギフト事業供給高はEC専用旬のフルーツは好調でしたが、34億円(21年比96.3%)となりました。