ページ内を移動するためのリンクです

日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2020年03月05日

2019年度 家庭の食事からの放射性物質摂取量調査結果について ~全国17都県で調査 6年連続すべて不検出~

 日本生協連は、2011年度から「家庭の食事からの放射性物質摂取量調査」を9年間継続しております。2019年度は全国17都県の生協組合員235世帯のご家庭にご協力いただき、普段の食事2日分を検査しました。今回の調査でも放射性セシウムはすべてのサンプルで不検出となり、2014年度以降6年連続で不検出という結果となりました。

調査の目的

  • 一般家庭の日々の食事に含まれる放射性物質の量について、生協組合員の関心が高く、その実態を科学的に調査すること。
  • 東北、関東を中心に広く生協組合員の協力を得て、実際の食事と使用した食材に関する情報や食事に対する意識を調査することで、実情を把握すること。
  • 調査結果や関連情報を広く消費者の皆さまへ分かりやすく提供していくことで、現状を正しく理解するための一助とすること。

調査の概要

調査期間 2019年6月19日~2020年2月3日
実施数 235世帯235サンプル(内、福島県100世帯100サンプル)
対象地域 岩手、宮城、福島、群馬、栃木、茨城、埼玉、東京、千葉、神奈川、新潟、長野、山梨、静岡、愛知、岐阜、三重の17都県
方法 各家庭の2日分の食事(6食分と間食)を1サンプルとして、すべて混合し測定
測定器 ゲルマニウム半導体検出器
検出限界 1Bq/kg (参考:図表1)
測定物質 セシウム134、セシウム137、カリウム40
検査機関 日本生協連、コープ東北サンネット事業連合、コープデリ連合会、東海コープ事業連合、コープこうべ、コープ九州事業連合(エフコープ)の商品検査センター

図表1.厚生労働省が設定した放射性セシウムの基準値と今回の調査の検出限界の比較

release_190306_01_01.JPG

  • 東北、関東を中心にこれまでに2011年度250サンプル、2012年度671サンプル、2013年度435サンプル、2014年度256サンプル、2015年度263サンプル、2016年度253サンプル、2017年度234サンプル、2018年度232サンプル、2019年度235サンプルを調査しています。
  • 参考値としてヨウ素131も測定しましたが、2011年度~2019年度のすべてのサンプルで不検出でした。

2019年度の調査結果の概要と、過去8年間の調査との比較

  1. 食事1kg当たりの放射性セシウムの量について
    • 2019年度に調査を行ったすべてのサンプルで、検出限界以上の放射性セシウムは検出されませんでした。
    • 2013年度までの各年度はいずれも放射性セシウムを検出したサンプルがありましたが、検出割合、放射性セシウムの最大値は、年度を追うごとに減少しており、2014年度以降は6年連で続不検出となっています。
    • 9年間で2,829サンプルを調査した結果は、上記傾向となっており、放射性セシウムを1Bq/kg以上含む食事を継続して食べ続けている可能性は極めて低いと推察されます。
  2. 1年間当たりの食事からの内部被ばく線量について(放射性セシウム)
    • 2011年度~2019年度の調査で、放射性セシウムを検出した食事を1年間継続して食べ続けた場合の内部被ばく線量をサンプルごとに推定し、年度ごとに比較しました。
    • 内部被ばく線量の最大値は、2011年度~2013年度にかけて徐々に低くなっていました。
    • 2014年度~2019年度は放射性セシウムを検出しなかったことから、内部被ばく線量は2013年度当時よりもさらに低下していると考えられます。

       ※セシウム137が検出され、セシウム134が検出限界未満の場合は、セシウム134が検出限界と同じ1Bq/kg含まれていたと仮定して算出しました。

  1. 放射性カリウムについて
    • 原発事故に関係なく食品中に含まれる放射性カリウム(カリウム40)の測定結果は11~64 Bq/kgとなり、2011年度~2018年度の調査結果と同様にすべてのサンプルから検出されました。1年間の内部被ばく線量は0.035~0.27mSvとなり、過去8年間と同等のレベルでした。

食事サンプルを提供していただいた方々の声

アンケートに記入いただいた組合員の声を一部ご紹介します。

  • 特に自家製の野菜や梅干しなどに、どの程度含まれているのか、わからないため不安があり調査してみたいと思いました。子供たちの未来の環境を守るために調査は大切で、その結果やこうした取り組みをもっと世の中に発信してほしいと思います。
  • いつも検査ありがとうございます。1つ1つ丁寧に検査をして頂いていることを聞いたので感謝しています。まだ不安に思っている方も中にはいるようですので、是非教えてあげたい試みであると思っています。
  • 今まで正直、放射能についてよくわからないままテレビやネットで危険などと報道されていたので、そういった印象を持っていました。ですが、こういった今までのデータを踏まえて放射能について自分で理解し判断することが大事なのだなと考えさせられ勉強になりました。今回は調査に参加させて頂きありがとうございます。
  • 毎年、参加させて頂いて感謝しております。”地物”をもらう事が夏場は特に多いのでより良いタイミングでした。放射能の件は、福島に住む以上ずっと関わらねばならぬこと。さまざまな取り組みで安心を持てるのはとてもありがたいです。
  • はじめて調査に参加しました。家族に幼児がいるので、食事の中の放射性物質をどの位とっているのか以前から関心がありました。この結果を個別に教えてもらえるというので待ち遠しいです。調査票の中で食材の産地がありましたが、あらためて産地を意識しました。良かったです。
  • 普段は何も考えず生活してしまっているので・・・考え直す良い機会です。
  • バランスの良い食事がとれているのか、見直すきっかけにもなりました。できるだけ地元の食材、そして安心できる食材(自家菜園)をこれからも取り入れていきたいと思います。自分のため、子どものため!!

今後の予定

  • 2020年度も調査を継続し、全国の生協・組合員と情報や課題を共有します。結果の発表は2021年3月ごろの予定です。
  • 引き続き、参加者に対する調査の意義や調査結果の見方の説明・質疑応答など、放射性物質に関するリスクコミュニケーションを行っていきます。