2019年03月06日
2018年度 家庭の食事からの放射性物質摂取量調査結果について ~全国18都県で調査 5年連続すべて不検出~
日本生協連は、2011年度から「家庭の食事からの放射性物質摂取量調査」を8年間継続しております。2018年度は全国18都県の生協組合員232世帯のご家庭にご協力いただき、普段の食事2日分を検査しました。今回の調査でも放射性セシウムはすべてのサンプルで不検出となり、5年連続で不検出という結果となりました。
調査の目的
- 一般家庭の日々の食事に含まれる放射性物質の量について、生協組合員の関心が高く、その実態を科学的に調査すること。
- 東北・関東を中心に広く生協組合員の協力を得て、実際の食事と使用した食材に関する情報や食事に対する意識を調査することで、実情を把握すること。
- 調査結果や関連情報を広く消費者の皆さまへ分かりやすく提供していくことで、現状を正しく理解するための一助とすること。
調査の概要
調査期間 | 2018年5月21日~2019年1月24日 |
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実施数 | 232世帯232サンプル(内、福島県100世帯100サンプル) |
対象地域 | 岩手、宮城、福島、群馬、栃木、茨城、埼玉、東京、千葉、神奈川、新潟、長野、山梨、静岡、愛知、岐阜、三重、福岡の18都県 |
方法 | 各家庭の2日分の食事(6食分と間食)を1サンプルとして、すべて混合し測定 |
測定器 | ゲルマニウム半導体検出器 |
検出限界 | 1Bq/kg (参考:図表1) |
測定物質 | セシウム134、セシウム137、カリウム40 |
検査機関 | 日本生協連、コープ東北サンネット事業連合、コープデリ連合会、ユーコープ、東海コープ事業連合、コープこうべ、コープ九州事業連合(エフコープ)の商品検査センター |
図表1.厚労省が設定した放射性セシウムの基準値と今回の調査の検出限界の比較
- 東北、関東を中心にこれまでに2011年度250サンプル、2012年度671サンプル、2013年度435サンプル、2014年度256サンプル、2015年度263サンプル、2016年度253サンプル、2017年度234サンプル、2018年度232サンプルを調査しています。
- 参考値としてヨウ素131も測定しましたが、2011年度~2018年度のすべてのサンプルで不検出でした。
2018年度の調査結果の概要と、過去7年間の調査との比較
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食事1kg当たりの放射性セシウムの量について
- 2018年度に調査を行ったすべてのサンプルで、検出限界以上の放射性セシウムは検出されませんでした。
- 2013年度までの各年度はいずれも放射性セシウムを検出したサンプルがありましたが、検出割合、放射性セシウムの最大値は、年度を追うごとに減少しており、2014年度以降は5年連続不検出となっています。
- 8年間で2,594サンプルを調査した結果は、上記傾向となっており、放射性セシウムを1Bq/kg以上含む食事を継続して食べ続けている可能性は極めて低いと推察されます。
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1年間当たりの食事からの内部被ばく線量について(放射性セシウム)
- 2011年度~2018年度の調査で、放射性セシウムを検出した食事を1年間継続して食べ続けた場合の内部被ばく線量をサンプルごとに推定し、年度ごとに比較しました。
- 内部被ばく線量の最大値は、2011年度~2013年度にかけて徐々に低くなっていました。
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2014年度~2018年度は放射性セシウムを検出しなかったことから、内部被ばく線量は2013年度当時よりもさらに低下していると考えられます。
- ※セシウム137が検出され、セシウム134が検出限界未満の場合は、セシウム134が検出限界と同じ1Bq/kg含まれていたと仮定して算出しました。
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放射性カリウムについて
- 原発事故に関係なく食品中に含まれる放射性カリウム(カリウム40)の測定結果は15~54 Bq/kgとなり、2011年度~2017年度の調査結果と同様にすべてのサンプルから検出されました。1年間の内部被ばく線量は0.040~0.27mSvとなり、過去7年間と同等のレベルでした。
食事サンプルを提供していただいた方々の声
アンケートに記入いただいた組合員の声を一部ご紹介します。
- 子どもたちが食べたものを直接検査してもらうことができ、安心です。これからもこの取り組みを続けてほしいと思います。
- いつもお世話になっております。震災後、年数が経つにつれて、気持ち不安は軽減していますが、子供達が大人になった時にどんな結果が出るのかは、まだまだ分からず不安があります。摂取量調査を行うことで、少なからずとも食への安心感は感じているので、これからも続けていくといいなと思います。
- 個別に検査結果も教えてもらえると安心感があります。機会がありましたら、又協力しますので、これからも(まだ原発事故が解決していないので)継続して調査をしていただきたいと思います。
- 野菜は自家菜園が多く、放射能検査ができないため、このような機会をもうけていただけて、小さい子がいる身としては大変、有意義に感じております。
- 毎回、摂取量調査をさせていただきありがとうございます。長い時間をかけて、一つ一つ丁寧に検査をしてもらうことで、安心して美味しい福島県産のものをたくさん食べられるようになりました。子どもたちも気にすることなく、何でも食べて、健康で病気をすることなく育っていてくれることが何より嬉しいです。
- 福島産の物を結構食べているので、自分の家で食べている物は、安全なのか、また、外国の物も安全なのか、調べてもらえるので不安が解消されそうです。
- 今回の調査に関わることで、あらためて放射性物質について考え、家族で話し合うことが出来ました。
- 最初はとても面倒だと感じていたのですが、やってみると自分の食生活をよく見直したり、食品の産地を確かめたりと、いい勉強になりました。
- 日頃の食事を写真にとってみると、野菜の摂取が少ないことに気がつき意識が高まりました。
今後の予定
- 2019年度も調査を継続し、全国の生協・組合員と情報や課題を共有します。結果の発表は2020年3月ごろの予定です。
- 引き続き、参加者に対する調査の意義や調査結果の見方の説明・質疑応答など、放射性物質に関するリスクコミュニケーションを行っていきます。