(一財)再エネ協同基金は、ならコープが作った再生可能エネルギーと省エネを応援する財団です。
今回は「奈良ストップ温暖化の会」(※)との共催により、「春日山原始林を未来へつなぐ会」の杉山拓次さんの案内で、
「春日山原始林を歩こう」を開催し、この森の魅力と課題について学びます。
春日大社の神山として841年に狩猟と伐採が禁止されて以来、聖域として守られてきた春日山原始林。奈良のシンボル、鹿たちのお出迎えを受けながら、その歴史と文化的な意義を学んだ後は、いよいよ出発です。
水谷(みずや)神社の敷地にそびえ立つイブキ。枯死が進んでいるため支えが必要ですが、スギやモミジが着生する母樹となっています。そっと触れてみると、枯死してなお母樹となる大木の持つエネルギーが伝わってくるようでした。
世界文化遺産、古都奈良の文化財の1つとして登録され、特別天然記念物としても保護されている春日山原始林。希少な自然を守るため、葉っぱ1枚であっても、持ち帰ることはできません。遊歩道以外は立ち入りも禁止です。
シイやカシなど常緑広葉樹が主体の照葉樹林は、多様な動植物や昆虫のすみかです。森に生きる”命”を探していると、木陰に可憐な花を発見。キッコウハグマです。初めましての植物との出会いは何度経験しても楽しいものです。
歩む足を止め、つかの間のリフレッシュタイム。目を閉じて木々の間から差し込む光を感じ、風の音や鳥のさえずりに耳を傾け、樹木や土の香りを確かめます。森の空気が全身をやさしく包み込んでくれることを体感しました。
春日山原始林では、木を枯らすナラ枯れの被害が広がっています。さらに外来種の侵入や後継樹の育成不良などの課題も。原生林の豊かな自然に触れたことは、森の未来のために何ができるかを、深く考えるきっかけになりました。
下山ルートは若草山の登山道。歩きながら東大寺や興福寺など奈良の町が一望できます。参加者の1人に感想を尋ねると「奈良ってええとこやなと思いました」とのこと。奈良の魅力を改めて知り、体感する1日となりました。
近鉄奈良駅から徒歩で来られる身近な森、春日山原始林。今や照葉樹林そのものが珍しく、その中でも都市に隣あっているものは非常に貴重です。この森を次世代につなぎたい。そんな思いを胸に抱いて下山しました。
「奈良ストップ温暖化の会」は、奈良県を主体として、地球温暖化問題とその対策に関する知識の普及と対策の推進を行い、地球環境保全に寄与することを目的とするNPO法人です。