2014年03月04日
2013年度
家庭の食事からの放射性物質摂取量調査 結果について
~18都県435サンプルを調査~
日本生協連は、2011年度から開始した「家庭の食事からの放射性物質摂取量調査」を3年継続してまいりました。このたび2013年度の結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
1.調査の目的
- 一般家庭の日々の食事に含まれる放射性物質の量について、生協組合員の関心が高く、その実態を科学的に調査すること。
- 被災地を中心に広く生協組合員の協力を得て、実際の食事と使用した食材に関する情報や食事に対する意識を調査することで、実情を把握すること。
- 調査結果や関連情報を広く消費者の皆さまへ分かりやすく提供していくことで、現状を正しく理解するための一助とすること。
2.調査の概要
・調査期間: | 2013年6月29日~2014年2月18日 |
・実施数: | 388世帯435サンプル(内、福島県 153世帯200サンプル) |
・対象地域: | 岩手、宮城、福島、群馬、栃木、茨城、埼玉、東京、千葉、神奈川、新潟、長野、山梨、静岡、愛知、岐阜、三重、福岡の18都県 |
・方法: | 各家庭の2日分の食事(6食分と間食)を1サンプルとして、すべて混合し測定 |
・測定器: | ゲルマニウム半導体検出器 |
・検出限界: | 1Bq/kg |
・測定物質: | セシウム134、セシウム137、カリウム40 |
・検査機関: | 日本生協連、コープ東北サンネット事業連合(本部:宮城県)、コープネット事業連合(本部:埼玉県)、ユーコープ(本部:神奈川県)、東海コープ事業連合(本部:愛知県)、コープこうべ、コープ九州事業連合(エフコープ・本部:福岡県)の検査センター |
* | 2011年度の調査から対象地域は変わりません。東北、北関東を中心に実施数を2011年度250サンプル、2012年度671サンプル、2013年度435サンプルとしています。 |
* | 参考値としてヨウ素131も測定しましたが、すべて不検出でした。 |
3.2013年度の調査結果の概要と、過去2年間の調査との比較
(1) 食事1kgあたりの放射性セシウムの量について
- 435サンプル中428サンプルからは、検出限界以上の放射性セシウムは検出されませんでした。不検出が全体の98.4%にあたります。
- 1Bq/kg以上の検出が見られたのは7サンプルでした。都県別には福島県6サンプル、宮城県1サンプルです(表1)。
- 2011年度は、250サンプル中11サンプル(検出割合4.4%)、2012年度は、671サンプル中12サンプル(検出割合1.8%)から1Bq/kg以上の検出が見られましたが、2013年度は、検出割合が1.6%となりました。検出したサンプルの最大値は3.7Bq/kgで、2011年度11.7Bq/kg、2012年度4.2Bq/kgでした。検出したサンプルの平均値は1.8Bq/kgで、2011年度3.2Bq/kg、2012年度2.2Bq/kgでした。いずれも徐々に低くなっています(図1)。
- 3年間で1,356サンプルを調査した結果、上記傾向となっており、1Bq/kg以上検出する食事を継続的に摂取する可能性は極めて低いことがわかってきました。
(2) 1年間あたりの食事からの内部被ばく線量について(放射性セシウム)
- 今回、放射性セシウムの最も高い検出をしたサンプルは3.7Bq/kgでした。仮にこの食事を一年間継続して食べ続けた場合、食事からの内部被ばく線量は、0.032mSvと推定されました。これは、2012年4月に施行された基準値の根拠である「年間許容線量 1mSv」に対して3.2%にあたります。同様の計算を、検出した各サンプルで行ったところ、内部被ばく線量は0.017mSv~0.051mSv(最大で年間許容線量の5.1%(図2))と推定されました※(表2)。
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2011年度、2012年度の調査で検出したサンプルからの内部被ばく線量は、それぞれ0.019mSv~0.136mSv、0.019mSv~0.053mSvでした。検出されたサンプルの線量を比較すると、2013年度調査の線量の最大値は、2012年度と比較して、ほぼ同等値ですが、平均値は、2011年度0.039 mSv、 2012年度0.034 mSv、2013年度0.031 mSvと比較して、徐々に低くなっています。
※ | セシウム137が検出され、セシウム134が検出限界未満の場合は、セシウム134が検出限界と同じ1Bq/kg含まれていたと仮定して算出しました。 |
(3) 放射性カリウムについて
原発事故に関係なく食品中に含まれる放射性カリウム(カリウム40)は、すべてのサンプルから検出されました。結果は8.8~68 Bq/kg、1年間の内部被ばく線量は0.034mSv~0.39mSvでした。
2011年度は、11~58 Bq/kg、1年間の内部被ばく線量0.051mSv~0.38mSv、2012年度は、9.9~55 Bq/kg、1年間の内部被ばく線量は0.037mSv~0.32mSvとなっており、2013年度も同程度の結果となりました。
4.参加された組合員の声
アンケートに記入いただいた組合員の声を一部ご紹介します。
- 国内に出回っている食品が、ちゃんと国の基準をクリアしているものか再確認できる調査なので、これからも引き続きお願いします。
- 日常、放射能に気をつけたくても目に見えるものではないので、今回のように、きちんと調査していただけ、結果を示していただけるのは非常にありがたいです。
- 食べている物の結果がわかれば、一番の安心材料になります。調査に参加し、違う面で気づきがありました(食べすぎ、野菜不足など)。
- 現在、妊娠中でもあり、今まで以上に放射性物質には気をつかっております。と、言いながらも今まで参加した結果から大丈夫という自信もついております。
- 今回の調査をきっかけに、家族で放射能について話し合う機会ができました。
5.今後の予定
- 2014年度も調査を継続し、全国の生協・組合員と情報や課題を共有します。結果の発表は2015年3月ごろの予定です。
- 引き続き、参加者に対する調査の意義や調査結果の見方の説明・質疑応答など、放射性物質に関するリスクコミュニケーションを行っていきます。
☆プレスリリース全文は、こちら(PDF:239KB)
☆「食品中の放射性物質問題への日本生協連の対応について」は、こちら
☆「2012年度家庭の食事からの放射性物質摂取量調査結果について」は、こちら