ページ内を移動するためのリンクです

日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2024年02月16日

共創のプラットフォームをめざして
第11回「全国生協産直調査」結果
~生鮮6部門の産直供給高2,750億円、産直比率30%~
~価格については、生産者も組合員も厳しい実態が明らかに~

 日本生協連は、「全国生協産直調査」の調査結果を取りまとめましたのでご報告いたします。

 「全国生協産直調査(生協の産直事業と食料・農業問題の取り組みに関する調査)」は1983年度に第1回調査を実施して以来、ほぼ4年毎に実施し、今回で第11回目の調査となります。生協産直の現状を評価し、今後の方向性と課題を提起することを目的として実施しました。①生協調査、②生産者団体調査、③生協組合員調査、④生協役職員調査の4つの調査を実施し、大きな変化があった5年間における生協産直の実態を明らかにするとともに、前回の調査で再定義されたプラットフォームとしての生協産直の役割を 、これからより具体的な動きにしていくために5つの提言としてまとめています。

 詳しくは第11回 全国生協産直調査報告書をご覧ください。

【生協産直の取り組み】
 1970年代から全国の生協で産直に取り組んでいます。生協産直は生産者と消費者がつながり、相互理解を深めることによって安全・安心、たしかな商品を組合員に届けること、持続可能な農業に貢献することを目指しています。

調査結果の主なトピック

■産直は生鮮部門において非常に重要な位置づけ(生鮮6部門の産直供給高2,750億円、産直比率30%)

 生鮮6部門の総供給高約8,500億円のうち産直の供給高は約2,750億円規模となっています。また、産直比率は、30%(青果31.8%、米55.6%、精肉40.6%、牛乳24.9%、卵70.4%、水産9.2%)となっており、生鮮部門において産直は非常に重要な位置づけにあります。とりわけ、精肉、卵、水産の産直割合は過去3回の調査中最高となりました。

 また、生産者団体の約7割が、今後生協との取引を拡大したいという意向を示しています。生協や担当により生産者とのコミュニケーションレベルに違いはあるものの、生協との取引に対する満足度も高く、生産者団体にとって生協との産直取引は重要な取引であると言えます。

■産直加工品は生協・生産者団体の双方で充実。さらなる拡大の可能性も

 生協で産直加工品の取り扱いがある割合は62.1%となっています。2022年度の産直加工品の供給額は約241億円となり、産直加工品は重要な商品となっていることが分かります。同様に、生産者団体においても、加工品の開発・生産がある割合は54.1%となっています。

 また、産直に限りませんが、加工品の開発・生産を行っている生産者団体のうち、69.4%が加工品を生協へ出荷しています。これらから、加工品の取り扱いは充実してきており、今後産直における加工品もさらに拡大する可能性を持っています。

■持続可能な農畜水産業・地域の実現に向けた取り組みの広がり

 環境保全型農業・漁業による生産物の取り扱い状況については、有機JAS・特別栽培・独自ブランドの供給割合は合計で9.7%となっています。また、米の総供給においては、有機JAS・特別栽培・独自ブランドの供給割合は33.1%を占めています。 また、国産や地場食品の供給促進の取り組みをおこなう生協は70.7%でした。

 一方、生産者団体における持続的な農畜水産業やSDGsについて、何かしらの取り組みをしている団体が全体の8割以上を占めており、意識の高さが明らかになっています。生協産直は、生産者と共に、環境保全型農業・漁業や地産地消、耕作放棄地対策の取り組みなど積極的に取り組んできた歴史があり、今回の調査でもこれらの取り組みがしっかり進められていることが分かります。

■価格については、生産者も組合員も厳しい実態が明らかに

 生産者団体への影響について調査した結果、コロナ禍と生産資材価格の高騰による影響を確認しました。そこで明らかになったのは、コロナ禍の影響以上に、生産資材価格の高騰がより深刻な状況を生んでいることです。特に、「資材高騰の影響を取引価格に転嫁できていない」と回答した生産者団体が約80%に上り、「経営状況が悪化している」と回答した団体も36.8%に達しています。このため、生産資材価格高騰への対応が喫緊の課題となっています。

 

 

 日本生協連は、今回の「全国生協産直調査」の結果をふまえ、今後も産地生産者の応援及び組合員に向けての商品づくりに活かしてまいります。