2015年03月04日
2014年度
家庭の食事からの放射性物質摂取量調査 結果について
~18都県256サンプルすべて不検出に~
日本生協連は、2011年度から「家庭の食事からの放射性物質摂取量調査」を4年間継続してまいりました。このたび2014年度の結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
1.調査の目的
- 一般家庭の日々の食事に含まれる放射性物質の量について、生協組合員の関心が高く、その実態を科学的に調査すること。
- 被災地を中心に広く生協組合員の協力を得て、実際の食事と使用した食材に関する情報や食事に対する意識を調査することで、実情を把握すること。
- 調査結果や関連情報を広く消費者の皆さまへ分かりやすく提供していくことで、現状を正しく理解するための一助とすること。
2.調査の概要
- 調査期間:2014年7月30日~2015年2月20日
- 実施数:256世帯256サンプル(内、福島県100世帯100サンプル)
- 対象地域:岩手、宮城、福島、群馬、栃木、茨城、埼玉、東京、千葉、神奈川、新潟、長野、山梨、静岡、愛知、岐阜、三重、福岡の18都県
- 方法:各家庭の2日分の食事(6食分と間食)を1サンプルとして、すべて混合し測定
- 測定器:ゲルマニウム半導体検出器
- 検出限界:1Bq/kg
- 測定物質:セシウム134、セシウム137、カリウム40
- 検査機関:日本生協連、コープ東北サンネット事業連合(本部:仙台市)、コープネット事業連合(本部:さいたま市)、ユーコープ(本部:横浜市)、東海コープ事業連合(本部:名古屋市)、コープこうべ、コープ九州事業連合(本部:福岡市)(エフコープ(本部:福岡市))の商品検査センター
*2011年度の調査から対象地域は変わりません。東北、北関東を中心に実施数は2011年度250サンプル、2012年度671サンプル、2013年度435サンプル、2014年度256サンプルとしています。
*参考値としてヨウ素131も測定しましたが、すべて不検出でした。2011年度~2013年度もすべて不検出でした。
3.2014年度の調査結果の概要と、過去3年間の調査との比較
(1) 食事1kgあたりの放射性セシウムの量について
- 2014年度に調査を行ったすべてのサンプルで、検出限界以上の放射性セシウムは検出されませんでした(表1)。
- 2013年度までの各年度はいずれも検出したサンプルがありましたが、検出割合、放射性セシウムの最大値は、年度を追うごとに減少していました(図1)。
- 4年間で1,612サンプルを調査した結果は、上記傾向となっており、1Bq/kg以上セシウムを含む食事を継続して食べ続けている可能性は極めて低いと推察されます。
(2) 1年間あたりの食事からの内部被ばく線量について(放射性セシウム)
- 2011年度~2013年度の調査で、放射性セシウムを検出した食事を1年間継続して食べ続けた場合の内部被ばく線量をサンプルごとに推定し、年度ごとに比較しました※(図2)。
- 内部被ばく線量の最大値は、2011年度~2013年度にかけて徐々に低くなっています。
- 2014年度は放射性セシウムを検出しなかったため比較ができませんが、内部被ばく線量はこれまでと同等以下のレベルと考えられます。
※セシウム137が検出され、セシウム134が検出限界未満の場合は、セシウム134が検出限界と同じ1Bq/kg含まれていたと仮定して算出しました。
(3) 放射性カリウムについて
- 原発事故に関係なく食品中に含まれる放射性カリウム(カリウム40)は、すべてのサンプルから検出されました。結果は14~59 Bq/kg、1年間の内部被ばく線量は0.053~0.36mSvでした。この結果は、過去3年間と同等のレベルでした。
4. 参加された組合員の声
アンケートに記入いただいた組合員の声を一部ご紹介します。
- 最初は面倒だなと思っていたのですが、実施してみたらそんなことはありませんでした。自家菜園の物とか地元の利用が多いと思い、特に自家菜園は検査を受けたこともなく気になっていたので機会をくださり、ありがとうございました。
- 普段は何気なく作っている食事ですがあらためてこういった調査に協力することによって少し意識も変わった気がします。早く安心して何も気にすることなく家族の食事を作れるようになったらと切望します。
- 乳児がいるため、食品のことがとても気に掛かっていました。今年も調査に参加させていただくことができ、とてもうれしく思っています。原発の汚染水のニュースなどを見る度にドキッとしております。来年度も継続的に調査を行っていただけるとうれしいです。
- 私のように何が正しくて何を信じるか分からないことがあって、不安な気持ちを持ちながら福島へ戻った方が多いと思います。その中で、この調査は良い判断材料になり、結果が何であっても、これからの生活に役立つものです。参加することができて、大変感謝しております。
- 原発事故から時間がたてばたつほど放射性物質が食品にどのくらい影響を与えているか関心が薄れていってしまいますので、これからも摂取量調査を続けてほしいです。
5. 今後の予定
- 2015年度も調査を継続し、全国の生協・組合員と情報や課題を共有します。結果の発表は2016年3月ごろの予定です。
- 引き続き、参加者に対する調査の意義や調査結果の見方の説明・質疑応答など、放射性物質に関するリスクコミュニケーションを行っていきます。
☆プレスリリース全文は、こちら(PDF:278KB)
☆「食品中の放射性物質問題への日本生協連の対応について」は、こちら
☆「2013年度家庭の食事からの放射性物質摂取量調査結果について」は、こちら
<資料>
表1 都県別サンプル数と調査結果概要
※検出限界は、セシウム134、セシウム137それぞれ1Bq/kg
※検出値は、セシウム134とセシウム137の合計
図1 検出したサンプルの放射性セシウム(1kg当たり)検出量の分布図
図2 検出した放射性セシウムからの内部被ばく推定線量(1年間当たり)の分布図