被災地の生産者は今〜相馬双葉漁協

2014年2月18日

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2月7日、福島市で「第30回全国産直研究交流会」が開催されました(参加約300人)。
翌8日、参加者は5つのコースに分かれて、県内各地の生産者を訪ねました。
その中の1つ、相馬双葉漁協(相馬市)視察コースには31人が参加しました。

現地でガイドを務めてくれたのは、前日の産直研究交流会で
「福島県水産業の現状と復興再生の取り組み」と題した報告を行った
相馬双葉漁協の遠藤和則さん(上写真、右最前列)。その報告の中で遠藤さんは

「震災直後、相馬双葉漁協では主力の底引き網漁船を沖合に緊急避難させることで
津波の被害を免れることができましたが、漁業施設は壊滅的な被害を受けました。
しかし本当の被害は、その後にやってきました。
相双地方沖は、さまざまな魚種が豊富に水揚げされる宝の海なんです。
それが、原発事故直後の高濃度汚染水の海洋放出によって
各漁協には国から操業・出荷制限が出されました。
相馬双葉漁協では、震災から1年以上過ぎた2012年6月から試験操業を開始し
魚種別に安全性の確認を行い少しずつ出荷魚種を拡大してきました()」
と、この間の取り組みについて話しました。

現在、水揚げ可能な魚種31種類と相馬双葉漁協の取り組みQ&Aはこちら

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津波を免れた漁船は、本来の漁港から離れた場所に係留されていました。

震災から間もなく3年――。
視察では復旧作業が進む漁港周辺を見学し、漁協の現状についてご報告をいただきました。
現在、震災で失われた製氷工場や倉庫などが再建されたほか
2015年春には地盤沈下した岸壁のかさ上げなど、完全に機能を取り戻せるそうです。
しかし、漁の全面回復がいつになるのか、いまだ分からないままです。

参加者からは
「福島の生産者の現実を知れば知るほど、全国の仲間たちの力でどうにか
しなければならないと思いました」
「福島の漁業関係者がとても厳しい状況にあることを実感しました。
その中で、漁協の皆さんが地道な調査を続けられていることに感銘を受けました。
地元に戻ってから、このことを正しく伝えていきたいと思ます」
などの声がありました。

遠藤さんは最後に
「これからも試験操業と検査の継続により、安全・安心で、鮮度の良い
おいしい魚の提供を通して、消費者の安心・信頼回復に努めていきたいと思います」
と話してくれました。


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相馬双葉漁協の漁港(松川浦)では、護岸修復工事が進められていました。