2012年10月02日
内閣府食品安全委員会に「牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しに係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)」について意見書を提出しました
日本生協連は2012年10月1日、「牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しに係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)」について、内閣府食品安全委員会に意見書を提出しました。
<日本生協連が提出した意見>
1.今回のリスク評価の結論について
世界的な傾向としてBSE発生頭数が減少しており、また、国内では2003年以降の出生牛からBSE陽性牛が確認されていないことから、これまでとられてきた飼料規制等のBSE対策が有効に機能しているものと弊会は認識しています。
この事により、BSE感染牛に由来するヒトの健康リスクも、現在では十分に減少していると推定されます。
食品安全委員会が、国内措置および国境措置に関わる諮問に対して、20カ月齢と30カ月齢の場合(SRM(※)の範囲では全月齢と30カ月齢超の場合)で、「リスクの差はあったとしても非常に小さく、人への健康影響は無視できる」とした結論は、現時点での科学的な知見に基づく検討の結果として理解できるものと考えます。
(※)SRM:特定危険部位。BSEの病原体と考えられている異常プリオンたん白質が蓄積することから、流通経路から排除すべきとされる牛体内の部位のことであり、食品として利用することが禁止されている部位。
2.リスク管理機関との連携について
BSEおよびヒトへの感染対策のポイントとして、飼料規制、SRM除去、月齢確認、適切な規模のサーベイランス等が考えられます。
食品安全委員会は、今回のリスク評価では、日本および評価対象国において、こうしたBSE対策の実効性が担保されていることを前提として評価を行っています。リスク管理の実効性の担保あるいは検証は、第一義的にはリスク管理機関である厚生労働省や農林水産省の役割ですが、貴委員会としても両省に対して国内および評価対象国におけるリスク管理措置の遵守状況の報告を求め、積極的にその把握に努めるべきであると考えます。
3.丁寧なリスクコミュニケーションの実施について
感染症のリスクは動的に変動し、対策が遅れれば高くなり、有効な対策がとられれば低くなります。BSEのように潜伏期間の長い感染症は対策の効果がはっきりするのに時間がかかりますが、世界的にBSEの封じ込めに成功していると考えられる現在、リスクの程度に応じた対応へと変更していくことは理解できます。
一方、消費者にはリスクの変動やそれに伴う対策見直しの妥当性などの情報が充分に伝わっておらず、かつ国外における実際の管理措置に対する疑念から、多くの不安の声が出されています。消費者の不安に丁寧にこたえていくためのリスクコミュニケーションの充実を求めます。
4.月齢の規制閾値の引き上げについて
食品安全委員会は、今後、国際的な基準を踏まえてさらに月齢の規制閾値を引き上げた場合のリスク評価を行う予定としています。BSE対策が引き続き有効に機能したとしても、高齢牛ほど孤発性と考えられる非定型BSEの発症リスクが高くなるため、高齢牛の検査やSRM除去・焼却は引き続き必要と考えられます。
したがって、月齢の規制閾値の引き上げの検討については慎重な態度で臨み、必要であれば定量的な評価に取り組むなど、最新の科学的知見をベースとしたリスク評価を行うべきです。
☆日本生協連が食品安全委員会に提出した意見書は、こちら(PDF:149KB)