2006年04月17日
動物用医薬品(エンロフロキサシン)の 食品健康影響評価に意見提出
日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)は、食品安全委員会が意見を募集していた「動物用医薬品(エンロフロキサシン)に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)」について、安全政策推進室長名で意見を提出しました。
2006年4月12日
内閣府食品安全委員会事務局御中
エンロフロキサシンを有効成分とする製造用原体(バイトリル原体)、鶏の飲水添加剤(バイトリル10%液)、牛の強制経口投与剤(バイトリル2.5%HV液)並びに牛及び豚の注射剤(バイトリル2.5%注射液、同5%注射液、同10%注射液)の再審査 及びエンロフロキサシンの残留基準設定に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての意見
日本生活協同組合連合会 安全政策推進室
室長 鬼武 一夫
○薬剤耐性菌に関する評価について
エンロフロキサシンは評価書に記載されているとおり、米国においてフルオロキノロン耐性カンピロバクターに対するリスクを高める恐れがあるとして、家禽への承認が取り消されました。
フルオロキノロン剤はヒト臨床上、カンピロバクター症、サルモネラ症などの食品媒介腸管感染症や多剤耐性グラム陰性桿菌感染症など生命を脅かす重篤感染症の治療薬として必須です。また、薬剤に耐性が出現した場合、代替薬剤が皆無あるいは極めて限定的であるため、貴委員会の薬剤耐性菌ワーキンググループのランク付けや諸外国で「きわめて高度に重要」と分類されています。
薬剤耐性菌に関する評価は別途行われることは承知しておりますが、FDAの家禽に対する承認取り消し決定は重大です。フルオロキノロン剤に関してはこれらの状況を踏まえて、優先的に評価を行うべきであると考えます。
つきましては、エンロフロキサシンを含むフルオロキノロン剤の国内の獣医領域における使用実態、耐性菌の発生状況の精査とそれらデータの公開、及び、ワーキンググループでの早急な審議を進めてください。
○評価書の記述について
上述したとおり、米国におけるエンロフロキサシンの家禽に対する適用は2005年9月12日付で取り消されています。一方、本評価書19ページの薬剤耐性菌の項では「(米国FDAでは)鶏における使用の取り消しを表明している」と記載され、現状が正確に表現されていません。
既に承認が取り消されていることが明確になるよう、適切な表現に改めてください。