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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2005年12月06日

動物用医薬品について2つの意見を提出

農林水産省と食品安全委員会(千代田区、寺田雅昭委員長)から動物用医薬品について2つのパブリックコメントが募集され、これに対して日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)は意見提出しましたのでご案内します。

<提出した日本生協連の意見>

2005年10月28日

内閣府食品安全委員会御中

動物用医薬品(マラカイトグリーン及びロイコマラカイトグリーン
に係る食品健康影響評価に関する審議結果についての意見

日本生活協同組合連合会

マラカイトグリーン及びロイコマラカイトグリーンの毒性に関する知見は限られているものの、これらが遺伝毒性発がん物質であることを示唆する結果から、ADIを設定することは適当ではないとした貴委員会の評価を支持いたします。

評価書(案)に記載されているように、マラカイトグリーンは生体内で還元され、より毒性が強く、残留期間の長いロイコマラカイトグリーンを生じます。しかし、現在、代謝物であるロイコマラカイトグリーンに対する法規制はなく、また厚生労働省より通知されている「養殖魚に対するマラカイトグリーンの分析法」では、可視吸収域を持たないロイコマラカイトグリーンの分析はできません。

本年8月以降、国内でも中国産鰻においてマラカイトグリーンの検出が相次いでいますが、上記のとおりロイコマラカイトグリーンを含めた残留基準値が設定されておらず、また分析法が規定されていないため、輸入検疫におけるモニタリング検査などでの違反を発見できなかったことも類推されます。EUではマラカイトグリーン及びロイコマラカイトグリーンの和として2μg/kgのMRPLsが設定されており、RASFF(早期警戒システム)ではロイコマラカイトグリーンのみの残留摘発事例も多数報告されています。

食品安全委員会は、リスク評価結果と輸入魚におけるマラカイトグリーン及びロイコマラカイトグリーンの残留実態にもとづいたリスク判定をしてください。また、厚生労働省に対して、両物質には一刻も早く不検出の基準を設定すること、合わせて高感度な分析法を整備することを提言または勧告してください。

2005年11月26日

農林水産省 御中

動物用医薬品の使用の規制に関する省令の一部を改正する省令案についての意見

日本生活協同組合連合会 

1.はじめに

シロマジンは動物用医薬品として畜舎・鶏舎での衛生害虫対策に用いられるだけでなく、農薬としてトマト、ナスなどの作物にも散布される殺虫剤です。動物用医薬品としては、現在、米国など一部の国でのみ飼料添加による経口投与が承認されていますが、Codex規格においては外用薬としての使用に限定した基準値設定となっています。

2.新規リスク評価の必要性について

シロマジンは、既に国内で使用実績のある薬剤ですが、今回の改正省令案は、これまで行われていない経口投与を認めるものであり、薬剤の食品への残留が懸念されます。そのため、承認に当たっては、食品からの摂取を含めた新規のリスク評価が必要です。先ずは、リスク評価機関である食品安全委員会に、暴露評価を含めた新規リスク評価の依頼をしてください。承認の是非についてはリスク評価結果に基づいて、改めて議論すべき事項であると考えます。

食品安全委員会への諮問に当たっては、シロマジンは畜舎・鶏舎内などへの散布による使用法のみに限られていること、Codexでは経口投与を想定した基準値設定がなされていないことなど、背景、情報について正確にお伝えください。

3.リスク評価に資するデータの提出について

シロマジンの飼料添加剤としての承認には、これまで農薬や畜舎・鶏舎への散布剤としての評価に加えて、投与対象動物における代謝および代謝物の生理活性、残留、またその分析法などのデータに基づいた新規のリスク評価が必要です。

また、休薬期間について、米国では3日間としています。改正省令案では、休薬期間を2日間と米国よりも1日短く設定していますが、今回その根拠となるデータは示されていません。

以上のデータを含めて、リスク評価、暴露評価およびMRLの妥当性の評価に資するデータを食品安全委員会に提出してください。

4.リスクコミュニケーションについて

○情報の開示について

国民とのリスクコミュニケーションには、十分な情報提供が必要であると考えます。しかし、今回の案件では、意見のポイントとなる薬剤の体内動態、残留など必要な情報が提供されていません。食品安全委員会では、非公開の会議についても議事録など公開されています。農林水産省においても、公表できる情報を選別し、意見募集と同時に国民に公開できるよう、制度の改善を要望します。

○意見募集についての要望

上に述べたとおり、シロマジンの飼料添加剤としての承認には、暴露評価を含めた新規のリスク評価が不可欠です。リスク管理機関はその評価結果を踏まえて、投与方法、用法・用量、MRLなどの妥当性について検証した後に、承認の是非を検討すべきであると考えます。

食品安全委員会のリスク評価結果を受けて農林水産省をはじめ関連省庁で再度審議を行い、改めて国民に意見を求めることを要望します。

<問合せ先>

日本生活協同組合連合会 安全政策推進室

電話:03-5778-8109