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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2005年10月04日

日本生協連は「私的録音録画補償金制度の見直し」について、 パブリックコメントを提出しました

文化庁の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会にて、消費者利益に直接的に関わる問題として私的録音録画補償金制度見直しの議論が行われ、現在、同小委員会の審議の経過がパブリックコメントに付されています(10月7日締め切り)。

私的録音録画補償金制度とは、デジタル方式の録音・録画機器の普及に伴う私的な録音・録画の増大によって、著作権者の経済的利益に影響を与えるおそれがあるとのことから、1992年の著作権法改正により導入された制度です。デジタル方式の録音・録画機器・記録媒体の購入価格に補償金を含めて徴収することとし、補償金の対象となる機器・記録媒体は政令で定めており、現在はMD、DVD-Rなどが指定されています。

同制度については、制度の趣旨や運用について、法制問題小委員会でもさまざまな問題点が指摘されています。こうした状況を踏まえ、消費者の立場から意見書を、下記の内容で提出しました。
 

[意見の趣旨]

私的録音録画補償金制度については、補償金が全体として指定管理団体、著作権者団体、著作権者にどのように配分されているかを明らかにする仕組みを確立するとともに、制度の内容や運用状況について消費者に知らせることが、まずもって必要です。今回検討課題とされているハードディスク内蔵型録音機器等の追加指定、汎用機器・記録媒体の取扱いなどについては、そうした条件を整備した上で制度全体のあり方と併せて検討することが適切と考えます。

☆意見書全文はこちら

2005年10月3日

文化庁長官官房著作権課
法規係 御中
 

日本生活協同組合連合会
専務理事 品川 尚志
 

「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 審議の経過」に関する意見
 

「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 審議の経過」のうち、「2.私的録音録画補償金の見直しについて」の部分(35ページ)に関し、消費者・市民の立場から意見を申し述べます。

[意見の趣旨]

私的録音録画補償金制度については、補償金が全体として指定管理団体、著作権者団体、著作権者にどのように配分されているかを明らかにする仕組みを確立するとともに、制度の内容や運用状況について消費者に知らせることが、まずもって必要です。今回検討課題とされているハードディスク内蔵型録音機器等の追加指定、汎用機器・記録媒体の取扱いなどについては、そうした条件を整備した上で制度全体のあり方と併せて検討することが適切と考えます。

私的録音録画補償金制度は、政令で指定された機器・記録媒体を購入する際に、一定の率により徴収した補償金を、指定管理団体を通じて著作権者等に分配する制度ですが、この制度については下記のような問題点が指摘されています。

  • そもそも、本制度自体が知られておらず、ビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)が本年実施した「ポータブルデジタルプレーヤーに関する消費者調査」によると、国内の私的録音録画補償金制度の「内容までは知らない」という回答は82.8%に上り、消費者のほとんどが制度を知らぬまま補償金を徴収されている状況にあります。
     
  • 私的録音録画補償金は、共通目的事業に支出する額を差し引いた上で指定管理団体から著作権者の団体に分配され、各団体の規程に従って著作権者に分配されることになっています。しかし、各団体から著作権者への分配の状況が明らかになっておらず、最終的に補償金のうちどの程度が著作権者の収入となっているのかが不透明です。
     
  • 購入者が私的な録音・録画を行わなかった場合の補償金返還制度はほとんど活用されておらず、今年初めて利用されたケースを見ても、8円の返金を受けるために切手代等それ以上の費用負担が消費者に生じるなど、実効性に乏しい制度になっています。

以上のような問題点を含めて考えれば、本委員会で掲げられた論点(「ハードディスク内蔵型録音機器等の追加指定について」「汎用機器・記録媒体の取扱いについて」「政令による個別指定という方式について」)に関して、現行制度の維持を前提として拙速に結論を出すことは適切でないと考えます。

むしろ、指摘されている問題点の解消に向けて、補償金が全体として指定管理団体、著作権者団体、著作権者にどのように配分されているかを明らかにする仕組みを確立することや、制度の内容や運用状況について積極的に消費者に知らせることが前提として必要です。小委員会においても、制度のあり方自体の見直しを早急に検討すべきとの意見が多数を占めていることを考慮すれば、今回提示されている個別の論点については、上述した前提条件を整えながら、制度全体のあり方と併せて検討することが適切と考えます。