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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2005年08月02日

農水省・食品容器包装リサイクル懇談会
「中間まとめ」に意見提出

容器包装リサイクル法見直しについては、現在、産業構造審議会(以下 産構審と略)、中央環境審議会(以下 中環審と略)、農林水産省・食品容器包装リサイクル懇談会(以下農水懇談会と略)での中間とりまとめが出され、それぞれから3つのパブリックコメントが募集されています。

日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、7月29日に産構審、8月4日に中環審に意見を提出し、引き続き農水懇談会が8月8日締め切りで募集中の「中間とりまとめ」に以下の意見を提出しましたのでご案内します。

これらの3つの審議会・懇談会は、パブリックコメントを受けて、秋に最終とりまとめを行い、改正案を確定後、06年の通常国会に法案を提出する予定とのことです。

※文中の資料頁数は「容器包装リサイクルについての中間まとめ」の資料の頁と項目の番号です。

<提出した意見>

2005年7月29日

農林水産省食品容器包装のリサイクル懇談会御中
 

農水省・食品容器包装のリサイクルに関する懇談会「中間とりまとめ」への意見
 

日本生活協同組合連合会
専務理事 品川尚志
 

日本生活協同組合連合会は「中間とりまとめ」に対して、以下の通り意見を申し述べます。

1.(P3)見直しの基本的視点のコスト問題については賛成しますが、見直しの基本的視点には、循環型社会作りを明確に位置付けるべきであると考えます。

容器包装リサイクル法は、循環型社会形成推進基本法の主旨に則り、容器包装廃棄物の発生抑制・再使用・再生利用を進めることが重要です。そのため、見直しの基本的視点には、循環型社会作りを明確に位置付けるべきであると考えます。

2.(P5)拡大生産者責任における「最も影響力のある主体」が誰であるかについては意見が分かれているとありますが、容器包装の環境負荷低減をはかる上で最も大きな力を持つのは事業者であると考えます。

商品の容器包装の選択を最初に行なうのは事業者であり、その上で提供された商品・容器包装の中から消費者は選択しています。したがって、容器包装の利用や排出の削減に対する影響力(=制御可能性)は、事業者が最も大きな力を持っていると考えます。

3.(P8)「事業者は、これまで容器包装の軽量化、簡易化等に努め、容器包装廃棄物の再商品化費用を負担してきたが、さらに一層の努力が求められている分野が存在していることも認識されている。」との指摘については賛成します。

容器包装の環境負荷低減をはかる上で、最も大きな力(制御可能性)を持つのは事業者であり、事業者が製品設計段階から容器包装の環境負荷低減を一層すすめるよう事業者の責任を強化することが必要です。そうした点からは、市町村の分別収集・選別保管に係る費用の一部を事業者が負担することが必要と考えます。同時に、事業者は使用した容器包装の全量に対して責任を負うべきであり、そうした視点を加える事が必要と考えます。

4.(P8)市町村が、分別収集・選別保管コストの透明性、効率性を確保することは、市町村自身の問題として実施することは当然です。

事業者が容器包装リサイクル法の新たな費用負担に応える上では、市町村のコストの透明化と効率化は必須です。同時に、容器包装リサイクル法の新たな役割分担の問題がなくても、コストの透明化・効率化については市町村自身の問題として実施することは当然です。本年始めに出された中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会の「循環型社会の形成に向けた市町村の一般廃棄物処理のあり方について」でも示されている通りです。

そこで、市町村は一般廃棄物処理事業、容器包装リサイクル法への対応の費用の信頼性・透明性の確保のために、市町村ごとに現状の仕組み、直営や委託の作業や内容、コストの状況を包み隠さず明らかにすることが必要です。国は標準的な分析手法を確立し、市町村が一般廃棄物のコスト分析と効率化をすすめることは必須です。市町村におけるコスト分析には住民の代表を加えた検討機関を設置し、検討状況のすべてを公開することが必要です。

5.(P10)リターナブル容器の利用促進のため、自主回収の認定要件の緩和については賛成します。

事業者が新たにリユースに取組む上では、現在の自主回収の認定要件を最初からクリアする事は非常に困難です。社会的にリユースを広げるためには、「導入当初はその要件を緩和する」など柔軟な経過措置を設けることは有効と考えます。

6.(P11)家庭ゴミの有料化の検討は必要ですが、容器包装廃棄物の収集等を有料化することは、住民にとってゴミ削減・リサイクル促進の阻害要因になると考えます。

家庭ゴミ削減の経済的インセンティブ効果を上げるために、有料化の検討が必要であると考えています。有料化の効果を上げるためには、例えば容器包装や紙類・繊維等の資源ゴミの無料回収の仕組みが身近にあり、また生ゴミの資源化などへも参加しやすくなっているなど、家庭ゴミの排出抑制・資源化に参加できることで、住民がゴミ処理費用の負担の回避・軽減を選択できる条件整備が必要です。

仮に、容器包装廃棄物も有料化した場合は、住民にとって資源ゴミとして容器包装ゴミを分別して排出するインセンティブがなくなり、結果的に家庭ゴミの有料化による削減効果を縮小し、資源ゴミとして分別が乱れ容器包装廃棄物の資源としての品質が落ちると考えます。

また、家庭ゴミの有料化を実施する場合には、自治体の一般廃棄物処理の情報提供・情報開示の徹底が必要です。その上で、住民がゴミ処理費用のどれだけを負担するのか、本当に減量効果があるのか、有料化による収入または自治体経費の削減分は住民にとってどのように活用されるかなどが住民の中で徹底して議論され、住民がしっかりと納得することが必要です。

7.(P12)レジ袋の削減のインセンティブのために有料化は有効ですが、全小売事業者の実施が徹底できるよう法制化が必要です。

全国の生活協同組合の店舗では、約7割の店舗で何らかのレジ袋の有料化を実施しており、経済的インセンティブ効果により何の対策もとらない場合に比べて最大で9割の削減効果があることがわかっています。また、使い捨ての象徴として見られているレジ袋を削減することは、レジ袋の環境負荷削減だけでなく、くらしの見直しの入り口として、消費者の意識や行動を環境保全型に変える効果が期待されます。

そこで、国としてレジ袋の有料を推進する場合には、全ての消費者が参加でき、またレジ袋配布についての小売業者の競争条件を同じにするために、有料化を徹底することが必要です。そのために全ての店舗を対象にした法律にもとづく有料化(無料配布の禁止)が必要と考えます。自主協定等による有料化では、中途半端な取組みになるため、消費者にも小売業者にも混乱が生じ、レジ袋削減の効果が十分に上がらないと考えます。

また、レジ袋有料化を先行実施してきた生協では、組合員・消費者の理解を得るための大きな努力を続けてきました。レジ袋有料化をスムーズに推進するためには、小売業者の努力だけに任せるのではなく、行政が積極的に啓発活動をすることや、行政や市民が小売業者と一緒になって削減行動をすすめるとともに、レジ袋有料化の詳細事項について三者で検討をすすめ、消費者の理解を幅広く得られるようにすることが大切です。

8.(P14)材料リサイクル優先の見直しについて、プラスチックの区分を細分化することは資源としての品質向上に役立つと考えますが、住民が混乱せずに分別できる表示や分別区分にする必要があります。

材料リサイクルに適したプラスチックについてPP・PEなどの材質表示を施し、現在よりきめ細かい分別を行なうことは、資源としての品質向上に役立つと考えます。しかし、いまの分別排出の実態をみると、中にはPETボトルとポリエチレンのボトルの区分に迷う方もいます。また、例えば塩化ビニルの分別を求めている市町村もありますが、住民に相当な努力を強いています。そうした点からは、住民に過度な負担を求めるのではなく、住民が混乱しないで、きちんと理解して分別できるようにするために、わかりやすい表示や分別区分にする必要があります。

9.(P14) 再商品化手法の拡大について、材料リサイクルに適したものは効率的に推進し、材料・ケミカルでもリサイクルできないものは、徹底した環境配慮と高い効率での熱回収を検討すべきです。

プラスチックは、缶・ビン・ペットボトルなどの飲料容器とは区別して、リサイクルの最適な仕組みを研究することが必要です。マテリアルリサイクルに適したものについては、効率的な仕組み作りとコスト削減を行ないながら推進することが必要です。

また、マテリアルリサイクルや高炉還元剤、コークス炉原料炭代替物などケミカルリサイクルで再資源化できないものは、徹底した環境対策と火力発電所並の発電効率をめざした技術開発をすすめるとともに、廃熱の有効利用を促進する条件のもとで、熱回収(サーマルリサイクル)の実施を検討することが必要です。中間とりまとめが「サーマルリカバリーを認めることを検討すべき」とした方向については、賛成します。

10.(P16)ただ乗り事業者の罰則強化は賛成します。同時に、国はただ乗り事業者のチェック強化と公表までの迅速化を行なうことが必要です。

ただ乗り事業者対策として、罰則の強化は賛成します。2005年4月に経産省から一部のただ乗り事業者名が公表されましたが、公表までの時間がかかりすぎます。国はただ乗り事業者のチェック強化と指導・助言、勧告、公表の期限を短縮しそのことを明確にして、公表までの迅速な対応が必要です。また、ただ乗り事業者が過去にさかのぼって再商品化委託料を支払う場合には、正規の委託料に何らかの加算をすることなども検討すべきです。

現在、容器包装リサイクル協会のホームページでは、再商品化委託料を支払った事業者名と品目が見られるようになっていますが、それに加えて、契約品目毎の契約額も公表することで、社会的なチェックが可能になると考えます。また、事業者団体では傘下企業の指導や自主チェックを進めるべきです。

11.(P17)小規模事業者も容器包装リサイクル法の対象にすべきであり、適用除外を維持することには反対します。

中間とりまとめでは、小規模事業者の適用除外を維持する理由として「義務履行の確保には多大なコストを要する」としています。しかし、小規模事業者の除外が、市町村の費用負担を増加させる一因にもなっており、また小規模事業者の除外があることが、ただ乗り事業者が判別しにくい理由にもなっています。国は、今の仕組みで「多大なコストを要する」というだけでなく、小規模事業者にも対応できる仕組みを真剣に検討すべきであると考えます。

<問合せ先>

日本生協連 環境事業推進室 電話:03-5778-8110