2005年7月29日
中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会御中
中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
「容器包装リサイクル制度見直しに係る中間取りまとめ」への意見
日本生活協同組合連合会は、「容器包装リサイクル制度見直しに係る中間取りまとめ」に対して、以下の通り意見を申し述べます。
1.(P9)容器包装リサイクル法の見直しの基本的方向について賛成します。
容器包装リサイクル法は、循環型社会形成推進基本法の主旨に則り、容器包装廃棄物の発生抑制・再使用・再生利用を進めることが重要であり、特に事業者、消費者、市町村のそれぞれに発生抑制の動機付けがより強く働くことが必要です。また、関係各主体が協働することや、3Rの推進に関する社会全体のコスト低減をはかる視点も重要であり、こうした基本方向に賛成します。
2.(P10)家庭ゴミの有料化の検討は必要ですが、容器包装廃棄物まで有料化することは住民にとってゴミ削減・リサイクル促進の阻害要因になると考えます。
家庭ゴミ削減の経済的インセンティブ効果を上げるために、有料化の検討が必要であると考えています。有料化の効果を上げるためには、例えば容器包装や紙類・繊維等の資源ゴミの無料回収の仕組みが身近にあり、また生ゴミの資源化などへも参加しやすくなっているなど、家庭ゴミの排出抑制・資源化に参加できることで、住民がゴミ処理費用の負担の回避・軽減を選択できる条件整備が必要です。
仮に、容器包装廃棄物も有料化した場合は、住民にとって資源ゴミとして容器包装ゴミを分別して排出するインセンティブがなくなり、結果的に家庭ゴミの有料化による削減効果を縮小し、資源ゴミとして分別が乱れ容器包装廃棄物の資源としての品質が落ちると考えます。
また、家庭ゴミの有料化を実施する場合には、自治体の一般廃棄物処理の情報提供・情報開示の徹底が必要です。その上で、住民がゴミ処理費用のどれだけを負担するのか、本当に減量効果があるのか、有料化による収入または自治体経費の削減分は住民にとってどのように活用されるかなどが住民の中で徹底して議論され、住民がしっかりと納得することが必要です。
3.(P11)レジ袋の削減のインセンティブのために有料化は有効ですが、全小売業者の実施が徹底できるよう法制化が必要です。
全国の生活協同組合の店舗では、約7割の店舗で何らかのレジ袋の有料化を実施しており、経済的インセンティブ効果により何の対策もとらない場合に比べて最大で9割の削減効果があることがわかっています。また、使い捨ての象徴として見られているレジ袋を削減することは、レジ袋の環境負荷削減だけでなく、くらしの見直しの入り口として、消費者の意識や行動を環境保全型に変える効果が期待されます。
そこで、国としてレジ袋の有料化を推進する場合には、全ての消費者が参加でき、またレジ袋配布についての小売業者の競争条件を同じにするために、有料化を徹底することが必要です。そのために全ての店舗を対象にした法律にもとづく有料化(無料配布の禁止)が必要と考えます。自主協定等による有料化では、中途半端な取組みになるため、消費者にも小売業者にも混乱が生じ、レジ袋削減の効果が十分に上がらないと考えます。
また、レジ袋有料化を先行実施してきた生協では、組合員・消費者の理解を得るための大きな努力を続けてきました。レジ袋有料化をスムーズに推進するためには、小売業者の努力だけに任せるのではなく、行政が積極的に啓発活動をすることや、行政や市民が小売業者と一緒になって削減行動をすすめるとともに、レジ袋有料化の詳細事項について三者で検討をすすめ、消費者の理解を幅広く得られるようにすることが大切です。
4.(P13)自主回収認定基準の弾力的な運用については賛成します。
事業者が新たにリユースに取組む上では、現在の自主回収の認定要件を最初からクリアする事は非常に困難です。社会的にリユースを広げるためには、「段階的な達成についても認定」など柔軟な経過措置を設けることは有効と考えます。
5.(P17)事業者が分別収集・選別保管に対しても一定の責任を果たすという役割分担には賛成しますが、事業者は使用した容器包装の全量に責任を持つべきです。また市町村には「分別収集・選別保管の量及び質に着目して傾斜配分する」との考え方は賛成します。
容器包装の環境負荷低減をはかる上で、最も大きな力(制御可能性)を持つのは事業者であり、事業者が製品設計段階から容器包装の環境負荷低減を一層すすめるよう事業者の責任を強化することが必要です。そうした点からは、「市町村の分別収集・選別保管に係る費用の一部を事業者が負担すること」との考え方に賛成します。
同時に、事業者は使用した容器包装の全量に対して責任を負うべきであり、そうした視点を加える事が必要と考えます。
また、「事業者からの拠出金を市町村に配分する際に、分別収集・選別保管の量及び質に着目して傾斜配分する」との考え方は、事業者の拠出金を有効に使用してリサイクルの品質向上につなげるために必要な事であり、賛成します。
6.(P17)市町村がコストの透明化と効率化をはかることは、市町村自身の問題として実施することは当然です。
事業者が容器包装リサイクル法の新たな費用負担に応える上では、市町村のコストの透明化と効率化は必須です。同時に、容器包装リサイクル法の新たな役割分担の問題がなくても、コストの透明化・効率化については市町村自身の問題として実施することは当然です。本年始めに出された中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会の「循環型社会の形成に向けた市町村の一般廃棄物処理のあり方について」でも示されている通りです。
そこで、市町村は一般廃棄物処理事業、容器包装リサイクル法への対応の費用の信頼性・透明性の確保のために、市町村ごとに現状の仕組み、直営や委託の作業や内容、コストの状況を包み隠さず明らかにすることが必要です。国は標準的な分析手法を確立し、市町村が一般廃棄物のコスト分析と効率化をすすめることは必須です。市町村におけるコスト分析には住民の代表を加えた検討機関を設置し、検討状況のすべてを公開することが必要です。
7.(P19)店頭回収へのインセンティブの付与は、事業者によるリサイクルの促進のために有効であり、賛成します。
小売事業者は自らの環境問題への対応として、店頭での容器包装の回収と資源化に、独自の再資源化ルートの開発を行い、費用負担をして取組んでいます。しかし、自らの再商品化義務量を超えて集めた場合には、超えた分については何のインセンティブもありません。また自主回収をして再商品化義務量を控除する場合には、容器包装リサイクル協会への再商品化委託契約は係数の高い「自主算定方式」になり、高い委託料を支払っています。
実際に容器包装の資源化に努力している小売事業者が、今後も店頭回収を積極的に取組むには、再商品化義務量を超えて店頭回収をした量については、全量を控除対象にするなど、インセンティブを付与すべきです。
8.(P21)プラスチックの区分を細分化することは資源としての品質向上に役立つと考えますが、住民が混乱せずに分別できる表示や分別区分にする必要があります。
プラチックの区分を、PP・PE・PSなどに細分化したり、ボトルやフィルム状のもので分けることは、資源としての品質向上に役立つと考えます。しかし、いまの分別排出の実態をみると、中にはPETボトルとポリエチレンのボトルの区分に迷う方もいます。また、例えば塩化ビニルの分別を求めている市町村もありますが、住民に相当な努力を強いています。
そうした点からは、住民に過度な負担を求めるのではなく、住民が混乱しないで、きちんと理解して分別できるようにするために、わかりやすい表示や分別区分にする必要があります
9.(P21)マテリアルリサイクルに適したものは効率的に推進し、マテリアル・ケミカルでもリサイクルできないものは、徹底した環境配慮と高い効率での熱回収を検討すべきです。
プラスチックは、缶・ビン・ペットボトルなどの飲料容器とは区別して、リサイクルの最適な仕組みを研究することが必要です。マテリアルリサイクルに適したものについては、効率的な仕組み作りとコスト削減を行ないながら推進することが必要です。
また、マテリアルリサイクルの残渣を含めて、マテリアルリサイクルや高炉還元剤、コークス炉原料炭代替物などケミカルリサイクルで再資源化できないものは、徹底した環境対策と火力発電所並の発電効率をめざした技術開発をすすめるとともに、廃熱の有効利用を促進する条件のもとで、熱回収(サーマルリサイクル)の実施を検討することが必要です。
10.(P23)サービスにともなう容器包装も対象にすべきであり、クリーニング業界についても容器包装リサイクル法の対象にすべきです。
クリーニング業界が対象除外になっている事について、中間とりまとめでは費用対効果の問題とともに、「クリーニング業界における自主的な取組が進展しつつある」としています。しかし、クリーニング業界にも費用対効果に合う大手の事業者は存在しています。また自主的取組みを推進してきた業界は多々あります。そうした中で費用対効果や「自主的な取組みが進展」することを、クリーニング業界について適用することは不適切です。こうした考え方では、取り易い業界から取ることになり、容器包装リサイクル法に多額に費用負担をしている多くの真面目な事業者に対して、容器包装リサイクル法に対する信頼性を失するものです。
11.(P24)小規模事業者も容器包装リサイクル法の対象にすべきであり、適用除外を継続する事には反対します。
中間とりまとめでは、小規模事業者を適用除外する理由として「小規模事業者の容器包装の量が少ない」「費用効率が悪い」としています。しかし、小規模事業者の除外が、市町村の費用負担を増加させる一因にもなっており、また小規模事業者の除外があることが、ただ乗り事業者が判別しにくい理由にもなっています。国は、今の仕組みで「費用対効果が悪い」というだけでなく、小規模事業者にも対応できる仕組みを真剣に検討すべきであると考えます。
12.(P25)ただ乗り事業者の罰則強化は賛成します。同時に、国はただ乗り事業者のチェック強化と公表までの迅速化が必要です。
ただ乗り事業者対策として、罰則の強化は賛成します。2005年4月に経産省から一部のただ乗り事業者名が公表されましたが、公表までの時間がかかりすぎます。国はただ乗り事業者のチェック強化と指導・助言、勧告、公表の期限を短縮しそのことを明確にして、公表までの迅速な対応が必要です。また、ただ乗り事業者が過去にさかのぼって再商品化委託料を支払う場合には、正規の委託料に何らかの加算をすることなども検討すべきです。
現在、容器包装リサイクル協会のホームページでは、再商品化委託料を支払った事業者名と品目が見られるようになっていますが、それに加えて、契約品目毎の契約額も公表することで、社会的なチェックが可能になると考えます。また、事業者団体では傘下企業の指導や自主チェックを進めるべきです。
13.(P26)みりん風調味料やめんつゆ等の容器の識別表示と分別区分を、プラスチックからPETボトルへの見直す事は賛成です。
みりん風調味料やめんつゆ等のボトルは、PETボトルと明らかに同じものが使われている商品が多く、また食用油に使用したボトルとも違い、PETボトルとしての再商品化には何の支障もありません。実際にめんつゆの紙ラベルをはがすと、しょうゆのボトルかめんつゆのボトルか区別できません。そうした点からは、これまでの区分が消費者に混乱を起こす原因だったのであり、これらの識別表示と分別区分をPETボトルとして見直す事は賛成します。
14.(P27)自主算定と簡易算定の係数は1本化すべきです。
現在の再商品化委託契約では、自主算定よりも簡易算定の方が係数が低くなっています。しかし、自主回収をして再商品化義務量を控除する場合には、容器包装リサイクル協会への再商品化委託契約は係数の高い「自主算定方式」になり、高い委託料を支払っています。容器包装の店頭回収に積極的に取組み、容器包装の使用量や自主回収量のデータを真面目に把握している事業者に対して、係数が高くなり費用が高くなることは、明らかに問題があります。
そうした点からも、自主算定と簡易算定の係数は1本化すべきです。
15.(P27)事業者ごとに再商品化委託額等を公表することは有効だと考えますが、ただ乗り事業者対策のためには、容リ協会が、委託を受けた事業者名と契約品目毎の契約額を公表すべきです。
事業者ごとに公表することは、先進的な事業者は自らの環境報告書等で記載をしています。しかし、全ての特定事業者に徹底できるかの疑問があります。ただ乗り事業者対策としては、容リ協会が、委託を受けた事業者名と契約品目毎の契約額を公表する事の方が効果は高いと考えます。
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