2005年07月19日
厚生労働省「ナタマイシン(抗生物質)」へ意見を提出 ~「食品衛生法施行規則」及び 「食品、添加物等の規格基準」の一部改正~
厚生労働省医薬食品局が、「食品衛生法施行規則(昭和23年7月厚生省令第23号)」及び「食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号)」の一部改正に係る意見(ナタマイシン)について2005年7月13日を期限に募集をしました。
日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)は、この「ナタマイシン」の意見募集に対し、「抗生物質を食品添加物として指定するにあたっての考え方、耐性菌確認のためのモニタリングの実施、使用基準について使用対象食品を厳密に限定することと合わせて最終的な残存量をもって管理を実施、ナタマイシンを食品添加物として指定するにあたって消費者にとってのメリットや表示の仕方、情報提供の実施が必要」などの意見を提出しました。
<提出した日本生協連の意見>
2005年7月15日 厚生労働省医薬食品局 御中
「食品衛生法施行規則(昭和23年7月厚生省令第23号)」及び 日本生活協同組合連合会 1)抗生物質を食品添加物として指定するにあたって、考え方を示してください。 食品添加物としてナタマイシンが指定されると、抗生物質が食品添加物として認可される、わが国最初のケースとなります。すなわち、食品衛生法が定める「食品一般の成分規格」の「1.食品は抗生物質を含有してはならない」に続くただし書き(6.に定める成分規格に適合するもの)に、食品添加物としては初めて該当する事例になります。弊連合会としては、「抗生物質だから使用すべきでない」といった短絡的な見解は有しておりませんが、食品中の抗生物質の残留に多くの消費者が不安を抱いているのは事実です。 したがって、こうした新たな規制変更に際しては、個別の品目を評価する前に、その基本的な考え方や安全性評価指針、管理の手法について消費者に示すべきであると考えます。 2)指定に際しては、耐性菌出現の確認のためのモニタリング等について具体的な手法を策定し、実施すべきであると考えます。 食品安全委員会による食品健康影響評価においては、耐性菌に関して「現時点における微生物学的な評価や海外における使用経験等の知見から判断して、ナタマイシンの医薬品(抗真菌薬)として使用範囲は限られているが、その重要性を考慮し、無制限に広く食品に使用される添加物としては受け入れられないが、抗真菌作用を目的として特定食品の最終製品の表面処理にのみ限定し、適切に使用される場合にあっては、耐性菌出現による医療上の問題を生じる可能性は極めて少ないと考えられる。なお、新たな知見が得られた場合には、必要に応じて再評価を検討する必要があると考える。」と言及しています。 これを受けたリスクマネジメントとしては、「新たな知見」を見過ごすことの無いよう、耐性菌出現の確認のためのモニタリング等、具体的な手法を現時点から策定し実施すべきであると考えます。 3)使用基準について 使用基準案として「ナタマイシンは、ハードチーズ、セミハードチーズ、の表面に使用することに限る。ナタマイシンの使用量は、その1kgにつき、0.020g以下でなければならない。」とありますが、使用対象食品を厳密に限定することと合わせて最終的な残存量をもって管理すべきであると考えます。 4)ナタマイシンが指定されることの消費者にとってのメリットや、消費者の選択との関係(表示のこと)について情報提供してください。 添加物部会報告書には「ナタマイシンは50カ国以上でチーズ等ヘの使用が認められている」と記載されていますが、例えば「これまで輸入ができなかったが、ナタマイシンの新規指定により初めて輸入可能となるチーズはどの位(どの国の、どのようなタイプのものが)あるのか」「ナタマイシンが使用されたナチュラルチーズをプロセスチーズの原料として輸入することができるようになった場合、どのようなメリットがあるか」「日本国内でチーズを製造する場合にはナタマイシンはどの程度有用性があるのか」といった具体的な情報が不十分です。それが無いと、消費者は、ナタマイシンの有用性を理解できず、抗生物質であるという理由だけでナタマイシンを拒絶してしまいがちであろうと思われます。諸外国におけるナタマイシンのチーズへの詳しい使用実態等について調査し、上記のような有用性に関する情報を消費者に提供されることを望みます。 また、「消費者の選択」という点に関して、表示がどのようなルールにもとづいて行われるのか(どのような場合に表示されるのか、あるいは、使用されたとしても最終製品に残存せず、キャリーオーバー扱いとなるのはどのような場合か等)も明確にお示し下さいますようお願いいたします。 |
<問合せ先>
日本生協連 安全政策推進室 電話:03-5778-8109