2005年5月17日
厚生労働省医薬食品局御中
厚生労働省関係牛海面状脳症対策特別措置法施行規則の 一部改正(案)に関する意見
今回、食品安全委員会から「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品健康影響評価」(以下「リスク評価」)が出されたことを受け、BSE検査月齢の見直しに関する標記パブリックコメントが募集されました。当会では、BSEに関する安全性確保対策は、BSE検査、SRM除去、食肉の汚染防止対策、飼料規制等が総合的かつ確実に行われることが基本であると考えており、この点から以下の意見並びに要望を提出いたします。
1.現時点でのBSE検査月齢の見直しは行うべきではないと考えます
食品安全委員会の「リスク評価」では、と畜場におけるBSE検査月齢の見直しと併せて、「食肉のBSE汚染リスクをさらに低減させるため、ピッシングの中止に向けて、具体的な目標を設定し、できる限り速やかに進める必要がある」旨をはじめとするSRM除去の徹底が記載され、さらに「この食品健康影響評価の結果に基づく施策の実施にあたっては、リスク管理機関として、国内において積極的かつ十分なリスクコミュニケーションに努める事が重要」と申し伝えられています。
厚生労働省における現時点のリスク管理措置においては、第一に、SRM除去や汚染防止対策がと畜場によってばらつきがあり、具体的な改善の目途が示されておらず、ピッシングの中止をはじめとするSRM除去や食肉汚染防止対策徹底の早期実現を進めることが必要です。第二に、BSE問題に関する総合的なリスクコミュニケーションが不十分で、リスクへの不安や行政への不信につながっている面があるため、リスクコミュニケーションの推進を十分行うことが必要です。第三に、既にと畜場を持つ全ての地方自治体が、国の補助により全頭検査を継続すると伝えられております。そうした点では、いわゆる"ダブルスタンダード"となり、月齢の見直しが国民にとって判りにくいものとなります。
以上の点から、リスク管理措置として、ピッシングの中止をはじめとするSRM除去の徹底や食肉汚染防止対策、BSE問題に関する積極的かつ十分なリスクコミュニケーションを優先すべきであり、現時点でのBSE検査月齢の見直しは行うべきではないと考えます。
2.リスク管理措置においては、以下の点を要望します
今回のパブリックコメントでは対象とされていませんが、リスク管理措置の上で、重要と考えられる点について以下の意見を述べさせていただきます。
(1)SRM除去について
扁桃はSRMの一つとして含まれていますが、現在のところ、舌扁桃は除去されず、食用の牛舌として流通されています。舌扁桃については、改めて除去を徹底する措置を講じられることを要望します。
(2)BSEに関する調査研究の一層の推進について
「リスク評価」では、「基礎研究のみならずリスク評価に必要なデータを作成するための研究が推進されるべき」と記述されています。加えて、「おわりに」において、SRM除去や食肉汚染防止対策などに関連して、非常に低いレベルの汚染度がもたらす食品影響評価を判断するための科学的知見が限られている事や、弱齢牛におけるBSE検査データの不足等についての指摘がされています。
これらの指摘に基づいて、科学的な判断を行うために必要な、現時点での科学的知見の収集・蓄積やより高感度なBSE検査方法の開発等を一層推進するため、目標を定めて積極的に取り組まれることを要望します。
なお、今回の「リスク評価」で指摘されている「非常に低いレベルの汚染度がもたらす食品影響評価を判断するための科学的知見の限定や、弱齢牛におけるBSE検査データの不足」について、リスクに関する知見をどのように収集するかが不明であるため、知見の収集方法等に関する方向性を明らかにした上で、早急に検討されることを要望します。
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