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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2005年05月17日

日本生協連「国内BSE対策に関する リスク管理措置の変更(案)」に意見提出 ~「現時点で月齢見直しはすべきではありません」 と厚労省と農水省に~

厚生労働省と農林水産省が、2005年6月9日を締切として、「牛のBSEスクリーニング検査対象月齢を21月以上とするというリスク管理の変更(案)」と「国外製造された輸入飼料・飼料添加物の原料や材料種類の追加と飼料販売業者の届出を義務付け」に対する省令改正についての意見・情報を募集しています。両方とも改正案は2005年6月下旬に公布、8月下旬に施行予定としています。

日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、「SRM除去や汚染防止対策や飼料規制など不十分なことから、現時点ではBSE検査月齢の見直しは行うべきではないと考えます」という主旨の意見を提出いたしました。

日本生協連の国内におけるBSEのリスク管理措置の見直しに関する基本的な考え方は、以下の通りです。2005年4月18日に提出した「国内BSE対策の見直しに関する食品安全委員会のリスク評価報告書(案)に対する意見より」

この基本的な考え方に基づいて、厚生労働省と農林水産省に対し、別掲の意見を5月17日に提出いたしました。

日生協の基本的な考え方

SRM除去や汚染防止対策がと畜場によってばらつきがあり、具体的な改善の目途が示されていません。飼料規制なども改善すべき課題が残っている現状にあります。併せてBSE問題は科学的に不明確な点が多く、利用できるデータも少ないことなどを踏まえ、リスク管理措置の変更については慎重に行う必要があります。

意見募集の締切日は6月9日ですから、多くの皆さまの積極的な意見の提出をお願いします。このパブリックコメント募集の詳細は、両省のホームページに掲載されています。

<厚生労働省に提出した意見>

2005年5月17日

厚生労働省医薬食品局御中

厚生労働省関係牛海面状脳症対策特別措置法施行規則の
一部改正(案)に関する意見

日本生活協同組合連合会

今回、食品安全委員会から「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品健康影響評価」(以下「リスク評価」)が出されたことを受け、BSE検査月齢の見直しに関する標記パブリックコメントが募集されました。当会では、BSEに関する安全性確保対策は、BSE検査、SRM除去、食肉の汚染防止対策、飼料規制等が総合的かつ確実に行われることが基本であると考えており、この点から以下の意見並びに要望を提出いたします。

1.現時点でのBSE検査月齢の見直しは行うべきではないと考えます

食品安全委員会の「リスク評価」では、と畜場におけるBSE検査月齢の見直しと併せて、「食肉のBSE汚染リスクをさらに低減させるため、ピッシングの中止に向けて、具体的な目標を設定し、できる限り速やかに進める必要がある」旨をはじめとするSRM除去の徹底が記載され、さらに「この食品健康影響評価の結果に基づく施策の実施にあたっては、リスク管理機関として、国内において積極的かつ十分なリスクコミュニケーションに努める事が重要」と申し伝えられています。

厚生労働省における現時点のリスク管理措置においては、第一に、SRM除去や汚染防止対策がと畜場によってばらつきがあり、具体的な改善の目途が示されておらず、ピッシングの中止をはじめとするSRM除去や食肉汚染防止対策徹底の早期実現を進めることが必要です。第二に、BSE問題に関する総合的なリスクコミュニケーションが不十分で、リスクへの不安や行政への不信につながっている面があるため、リスクコミュニケーションの推進を十分行うことが必要です。第三に、既にと畜場を持つ全ての地方自治体が、国の補助により全頭検査を継続すると伝えられております。そうした点では、いわゆる"ダブルスタンダード"となり、月齢の見直しが国民にとって判りにくいものとなります。

以上の点から、リスク管理措置として、ピッシングの中止をはじめとするSRM除去の徹底や食肉汚染防止対策、BSE問題に関する積極的かつ十分なリスクコミュニケーションを優先すべきであり、現時点でのBSE検査月齢の見直しは行うべきではないと考えます。

2.リスク管理措置においては、以下の点を要望します

今回のパブリックコメントでは対象とされていませんが、リスク管理措置の上で、重要と考えられる点について以下の意見を述べさせていただきます。

(1)SRM除去について

扁桃はSRMの一つとして含まれていますが、現在のところ、舌扁桃は除去されず、食用の牛舌として流通されています。舌扁桃については、改めて除去を徹底する措置を講じられることを要望します。

(2)BSEに関する調査研究の一層の推進について

「リスク評価」では、「基礎研究のみならずリスク評価に必要なデータを作成するための研究が推進されるべき」と記述されています。加えて、「おわりに」において、SRM除去や食肉汚染防止対策などに関連して、非常に低いレベルの汚染度がもたらす食品影響評価を判断するための科学的知見が限られている事や、弱齢牛におけるBSE検査データの不足等についての指摘がされています。

これらの指摘に基づいて、科学的な判断を行うために必要な、現時点での科学的知見の収集・蓄積やより高感度なBSE検査方法の開発等を一層推進するため、目標を定めて積極的に取り組まれることを要望します。

なお、今回の「リスク評価」で指摘されている「非常に低いレベルの汚染度がもたらす食品影響評価を判断するための科学的知見の限定や、弱齢牛におけるBSE検査データの不足」について、リスクに関する知見をどのように収集するかが不明であるため、知見の収集方法等に関する方向性を明らかにした上で、早急に検討されることを要望します。

<農林水産省に提出した意見>

2005年5月17日

農林水産省消費・安全局御中

飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する
法律施行規則の一部改正案に係る意見

日本生活協同組合連合会

今回、食品安全委員会から「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品健康影響評価」(以下「リスク評価」)が出されたことを受け、輸入飼料対策の強化及び飼料販売業者への検査・指導体制の強化に関する標記パブリックコメントが募集されました。当会では、BSEに関する安全性確保対策は、BSE検査、SRM除去、食肉の汚染防止対策、飼料規制等が総合的かつ確実に行われることが基本であると考えており、この点から以下の意見並びに要望を提出いたします。

1.輸入飼料対策の強化及び飼料販売業者の検査・指導体制の強化について

今回の改正案は、BSE対策に関わる飼料管理施策の一つであり、積極的な推進と施行後における規制の実効性確保の検証を要望いたします。

また、輸入飼料対策のさらなる強化のために、今回の改正案に加えて、[1]届出事項に原料又は材料の原産国を追加すること、[2]飼料の単味原料や粗飼料などの輸入についてもこの届出の対象とすること、が必要であると考えます。

2.リスク管理措置において重要と考えられる点について

今回のパブリックコメントでは対象とされていませんが、リスク管理措置の上で、重要と考えられる点について以下の意見を述べさせていただきます。

(1)飼料規制強化の推進について

「リスク評価」では飼料規制強化の推進として、「牛飼育農家に対する検査・指導体制の強化が飼料規制の実効性を検証するために重要である」と記述されています。この指摘については、早急に目標を定め、計画的に取り組まれることを要望します。

(2)BSEに関する調査研究の一層の推進について

「リスク評価」では、「基礎研究のみならずリスク評価に必要なデータを作成するための研究が推進されるべき」と記述されています。この指摘に基づいて、科学的な判断を行うために必要な、現時点での科学的知見の収集・蓄積を一層推進するため、飼料規制後に産まれた牛からのBSE発症例の検証など、食品安全委員会と農林水産省の双方で、目標を定めて積極的に取り組まれることを要望します。

(3)リスクコミュニケーションの一層の推進について

BSEのリスクやその対策の見直しについては、一部のマスコミ等に見られるように、全頭検査緩和の問題や米国産牛肉の輸入再開に関する報道のみが突出している状況にあります。そのため、国民の間に情報が総合的に伝わっておらず、リスクへの不安や行政への不信につながっている面があります。

食品安全委員会の「リスク評価」においても、「今後、この食品健康影響評価の結果に基づく施策の実施にあたっては、リスク管理機関として、国内において積極的かつ十分なリスクコミュニケーションに努める事が重要」と申し伝えられています。農林水産省として、この記載に基づくBSEのリスクやその対策に関するリスクコミュニケーションについての一層の努力を要望いたします。

<問合せ先>

日本生協連 広報 電話:03-5778-8106