内閣府食品安全委員会(本部:千代田区、寺田雅昭委員長)は、このほど「動物用医薬品の再審査に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての御意見・情報の募集について」の意見を募集しました。これに対して日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)は「長期毒性試験の省略の根拠、耐性菌問題等について」を中心にした以下の意見を提出しましたのでご報告します。
	<提出した日本生協連の意見>
	
		
			
				
					
						
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									2005年4月11日 
								
									内閣府食品安全委員会事務局評価課内 
									  
								
									動物用医薬品の再審査に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての御意見・情報の募集についての意見 
								
								
									リン酸チルミコシンを有効成分とする製造用原体及び豚の飼料添加剤の再審議結果について、意見・質問を述べさせていただきます。 
								
								
									1.長期毒性試験及び発がん性試験の省略について 
								
									1996年JECFA報告書には本剤に関して12ヶ月以上の毒性試験は次のような理由により実施しないと記述されている。 
								
									
										
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												  a) | 
											
												各種毒性試験でチルミコシンには明らかな病変が認められない。また発がん性の可能性を示唆する増殖性の変化が観察されていない。 | 
										 
										
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												  b) | 
											
												本剤に関する幅広い遺伝子毒性試験結果は全て陰性である。 | 
										 
										
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												  c) | 
											
												本剤はマクロライド系の抗生物質で、従来から広く人に用いられているが、発がん性は認められていない。また、本剤はタイロシンの類似化合物で、タイロシンは38回JECFA委員会で審査・承認されている。 | 
										 
									
								 
								
									このようなJECFAの判断をどのように評価されたか説明されたい。 
								
									2.オーストラリアのADI設定根拠について 
								
									オーストラリアはNOEL(無作用量)4mg/kg体重 安全係数2000とし、ADIを2μg/kg体重/dayと設定している。その理由として、発がん性試験、及び第二の動物への投与試験が実施されていないため、通常の安全係数100に20を乗じていることが報告された。このことは、発がん性試験が実施されていない場合には更なる安全係数が必要であることを意味しており、オーストラリアの設定根拠はリーズナブルである。本剤は遺伝毒性が陰性、またマクロライド系抗生物質に発がん性が認められないとはいえ、当専門調査会においてはオーストラリアのADI設定根拠について十分な議論が行われたとは言えない。この点について見解を示されたい。 
								
									3.慢性毒性試験という表記について 
								
									JECFA及び食品衛生調査会の報告書にはイヌにおける12ヶ月経口投与試験で得られたNOELという表現がなされている。1のJECFA報告書にも長期毒性試験の省略となっており、本剤の慢性毒性試験は実施されていない。このため、慢性毒性試験という表現は避けるべきである。 
								
									4.耐性菌問題について 
								
									チルミコシンの抗菌剤耐性問題は、例えば、USFDAのCVMによるGuidance for Industry # 52(2004年2月18日)やThe Pig Journal 52 (223) 150-165によって言及されている。 マクロライド系だけではなく、抗菌剤全般に関して、前記USFDAガイダンスの中で行われているようなレビューを、事の重大性に鑑みて実施する具体的スケジュールを定めるべきである。 
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	<問合せ先>
	日本生協連 安全政策推進室 電話:03-5778-8109