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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2005年03月18日

食品安全委員会「平成17年度運営計画(案)」に 対して意見を提出しました

 日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、全国の会員生協とともに、国や自治体の食品の安全行政の充実強化の取り組みやリスクコミュニケーション意見交換会などの開催に協力してきています。内閣府食品安全委員会(本部:中央区、寺田雅昭委員長)では、2005年2月に取りまとめた「平成17年度食品安全委員会運営計画(案)」に対して、3月23日を締切日としパブリックコメントを募集しています。

 このテーマに関心のある皆さまの積極的な応募をお願いします。

 日本生協連は、この計画案に対して「施策の実施過程におけるリスクコミュニケーションの実施」など6点にわたる以下の意見を提出しましたのでご案内します。

☆平成17年度食品安全委員会運営計画(案)はこちら(PDF)
 

<提出した意見>

2005年3月18日

内閣府食品安全委員会御中
 

食品安全委員会「平成17年度運営計画(案)」に対する意見
 

日本生活協同組合連合会
 

 国民の健康保護を目的とした食品安全行政の推進のため、貴委員会がリスク分析手法に基づく食品健康影響評価や関係各省との連携によるリスクコミュニケーションの実施など、各種の施策を積極的に運用されていることについて、敬意を表する次第です。

 さて、食品安全委員会の「平成17年度運営計画(案)」(以下、計画(案))に対し、下記の意見・要望を提出いたします。
 

記 

「第1 委員会の運営の重点事項」について

(意見-1)

 計画した施策については、計画-行動-評価(PDS)のサイクルに基づいて評価・運用され、次年度以降の施策に活かされると共に、過程におけるリスクコミュニケーションを実施する旨を重点事項に明示する必要があると考えます。
 

(理由)

 計画(案)には、「委員会が自ら食品健康影響評価を行う案件の定期的な点検・検討の実施」「新たに食品健康影響評価技術研究の開始など、委員会の主体的な取り組みの更なる推進」が記載されています。このような計画-行動-評価(PDS)のサイクルに基づく施策運用の考え方は、一部の施策に限定するのではなく、食品安全委員会が計画した全ての施策を対象とするべきです。また、PDSサイクルの運用にあたっては、関係者相互のリスクコミュニケーションを充実していくことが重要です。 

 そのため、重点事項に「計画した施策は、計画-行動-評価(PDS)のサイクルに基づいて評価・運用を行なうと共に、過程におけるリスクコミュニケーションを実施する」旨を明示する必要があると考えます。
 

「第2 委員会の運営全般」について

(意見-2)

 リスクコミュニケーション専門調査会の調査審議事項として、評価にあたっての指標を明らかにしながら、消費者、事業者、行政にとどまらず、マスコミなども含めた全ての関係者の参画の元で、より適切なリスクコミュニケーションを作り上げていくための検討と実践を毎年蓄積していく旨を明確にする必要があると考えます。
 

(理由)

 計画(案)のリスクコミュニケーション専門調査会の調査審議事項には、「平成17年度に実施したリスクコミュニケーションの総括」が記載されています。

 リスクコミュニケーションの総括を行うにあたっては、評価指標設定の検討を行い、どのような効果・影響があったかについての検証が行われる必要があります。

 さらに、消費者、事業者、行政にとどまらず、マスコミなども含めた全ての関係者の参画の元で、より適切なリスクコミュニケーションを作り上げていくために、仕組みや手法、人材育成などの検討と実践を毎年蓄積していく旨を明確にする必要があると考えます。
 

「第3 食品健康影響評価の実施」について

(意見-3)

 危害要因ごとの食品健康影響評価に関するガイドラインについては、全ての分野について策定する必要があり、運営計画の内容もその様に修正される必要があると考えます。併せて、当該分野のガイドラインが未策定の状態で食品健康影響評価が実施された品目については、ガイドライン策定後に再評価を行う事を記載する必要があると考えます。
 

(理由)

 計画(案)では、「食中毒原因微生物」と「遺伝子組換え微生物を利用した食品」について食品健康影響評価に関するガイドラインを策定する旨が記載されています。

 しかし、添加物や農薬は、既に相当数の品目について食品健康影響評価が行なわれていますが、これらの分野における食品健康影響評価のガイドラインは未だ策定されていない状況です。動物用医薬品や飼料等の分野についても、抗菌性物質による薬剤耐性菌など一部しか策定されていません。

 これらの分野についても、食品健康影響評価に関するガイドラインが必要であるため、計画(案)を全ての分野について策定する旨修正する必要があると考えます。

 併せて、当該分野のガイドラインが未策定の状態で食品健康影響評価が行われた品目については、ガイドライン策定後に改めて再評価を実施する事を計画(案)中に記載する必要があると考えます。
 

「第4 リスクコミュニケーションの促進」について

(意見-4)

 各地で行われる意見交換会の内、年度当初から開催を予定している企画については、運営計画中に目安となる時期や開催予定地域等の情報についても明記する必要があると考えます。

 

(理由)

 計画(案)では、関係府省が連携して開催する意見交換会を約30回、地方公共団体との共催による意見交換会を約10回開催する旨記載があります。

 しかし、これまで行われた意見交換会の開催案内等に関して、告知から開催までの期間が短く、広報手段も不十分な点がみられます。「参加しやすい形の意見交換の場の設定」のあり方は、リスクコミュニケーション専門調査会がとりまとめた「食の安全に関するリスクコミュニケーションの現状と課題」において「リスクコミュニケーションの課題と方法」中で指摘された事項です。 

 このため、各地で行われる意見交換会の内、年間で開催を予定している企画については、目安となる時期や開催予定地域等の情報を運営計画中に年間予定として明記する必要があると考えます。

 併せて、食品の安全に関する施策に関し、当初計画にはない意見交換の必要性が生じた場合には、速やかに意見交換会が開催される事を要望いたします。

 

(意見-5)

 複数のモニター制度の実施や国民に対する定期的なアンケート調査の実施など、国民からの様々な意見を聴取するために、各種公聴手段を実施する旨を、運営計画中に明記することが必要です。
 

(理由)

 計画(案)では、国民からの意見等を聴取する手段として、食品安全モニターの運営と食の安全ダイアルを通じた一般消費者からの相談・問合せを行う事が記述されておりますが、更に各種の公聴手段を活用し、幅広く意見を聴取する事が重要です。

 よって、専門的な技能経験を必要としないモニター制度と食品安全モニター制度とを別に運営するなど、複数のモニター制度を運営することや国民に対する定期的なアンケート調査の実施など、国民からの様々な意見を聴取するための、各種公聴手段を実施する旨が、運営計画中に明記される必要があると考えます。
 

その他

(意見-6)

 運営状況報告書とは別に、平成16年度版の「食品安全委員会 年報」を作成し、公表する旨を委員会の業務として位置づける必要があります。
 

(理由)

 平成15年度は、「平成15年度版 食品安全委員会 年報」が作成され、関係機関への配布等が行われています。食品安全委員会が1年間実施した業務の内容について、関係各層に対し、きちんと報告を行う主旨から、平成16年度版の年報を作成し、公表する旨を委員会の事業として位置づけ、実施することが必要です。