内閣府食品安全委員会食品安全委員会動物用医薬品専門調査会は、動物用医薬品「ピルリマイシン」について食品健康影響評価を行い、その審議結果について広く意見・情報を3月2日を締切りとして募集しました。
日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、この間、食品安全委員会が意見募集を行ったすべての動物用医薬品の健康影響評価に対し、消費者の立場から、判断理由を明確化、判断に用いた情報の公開、発がん性についての影響評価の実施などを軸とする意見を提出してきました。
今回も同様の立場と趣旨から以下のような意見を3月2日に食品安全委員会に提出しましたので報告いたします。
☆動物用医薬品「ピルリマイシン」の健康影響評価についての公表資料はこちら
<提出した日本生協連の意見>
2004年3月2日
内閣府食品安全委員会御中
ピルリマイシンに係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)
についての意見・情報の募集についての意見
動物用医薬品(ピルリマイシン)に係る食品健康影響評価に関する審議結果について、意見・質問を述べさせて戴きます。
1.今回の審議結果は、ピルリマイシンのADIとして、FAO/WHO合同食品専門家会議(JECFA)と同じようにヒトでのデータを根拠とし微生物学的ADIを採用し、その値を8μg/kg/dayと設定している。一方、ヨーロッパ医薬品評価機関動物用医薬品委員会(EU EMEA)は、わずか5名のヒトボランティアのデータは限定されたものであり(しかも、Clostridium difficileの総検出例がピルリマイシン投与で増加している)、この試験結果からはヒトの胃腸管フローラに影響のないピルリマイシンのレベルについては明確に結論できないと判断し、最も敏感な微生物におけるMIC50に基づいて6μg/kg/dayを設定している。このようなEU EMEAの判断をどのように評価されたか説明されたい。
2.ピルリマイシンは、臨床上ヒトで使用されているリンコマイシン系抗生物質と交差耐性を生じる可能性があると指摘されているが、その情報は示されていない。動物用医薬品における薬剤耐性は重要な問題であり、ピルリマイシンのヒト健康影響評価に際し、貴委員会としてはその薬剤耐性に関する情報も収集し、評価すべきである。
3.ピルリマイシンでは慢性毒性試験と発癌性試験が実施されていない。In vitroおよびin vivoの遺伝毒性試験が陰性との理由で発癌性試験を要求しないのは理解できるが、短期毒性試験が毒性的ADIの根拠になっている以上、慢性毒性試験は実施されるべきである。追加安全係数の適用でADIの設定は可能としているが、今後の動物用医薬品の安全性評価で今回のケースが前例となると懸念される。貴委員会としては、慢性毒性試験が免除できるのはどのようなケースであるかを改めて明示すべきである。
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<問合せ先>
日本生協連 安全政策推進室 電話:03-5778-8109