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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2005年01月24日

日本生協連は意見募集中の 「消費者基本計画・素案」に意見を提出しました ~内閣府が1月31日まで募集しています~

日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、2005年1月18日に、現在内閣府から公表され、1月31日までの期間で募集されている「消費者基本計画・素案」に対するパブリックコメントを提出いたしましたので紹介します。

今回の「消費者基本計画・素案」は、改正消費者基本法に「消費者基本計画」が明記されてから初めての策定であり、21世紀型消費者政策の内容を計画的に具体化していく上で極めて重要なものと考え、内閣府のリーダーシップを発揮し、省庁横断的・総合的に施策を盛り込むこと、検証・評価が可能なアクション・プラン型であることなど、が重要であるという趣旨で提出しました。

このテーマに関心のある消費者団体や生協、研究者の皆さまの積極的な応募をお願いします。

<提出した日本生協連の意見>

2005年1月18日

内閣府 国民生活局 御中

日本生活協同組合連合会
常務理事  田中 哲男

「消費者基本計画(素案)」に関する意見
 

「消費者基本計画(素案)」について、下記の通り意見を申し述べます。

今回策定される消費者基本計画は、改正消費者基本法に明記されて初めての策定ということもあり、21世紀型消費者政策の内容を計画的に具体化していく上で極めて重要な意義をもっています。そうした意味で、消費者基本計画の策定にあたっては、内閣府がリーダーシップを発揮し省庁横断的・総合的に施策を盛り込むこと、検証・評価が可能なアクション・プラン型であること、が基本視点として重要であると考えております。

現在示されている「消費者基本計画(素案)」は、独占禁止法・景品表示法における団体訴権の導入に関する検討、消費者信用分野に関する幅広い検討、消費者参画に関する現状分析など、消費者・市民サイドからの要請に応える内容も含んだ一定の総合性が実現されています。また、「いつまでに」「何を」行うかが従来の消費者保護会議決定に比較して明確にされており、アクション・プランとして検証・評価に耐える内容となっています。素案の策定過程においては、消費者団体との共催によるフォーラムを開催するなど、消費者の意見の反映を図る場を用意するとともに、素案の中では検証・評価・監視にあたって国民生活審議会の意見を聴くことも明記されています。これらの点を踏まえ、当職としては、「消費者基本計画(素案)」について、従来の消費者保護会議決定と比べ大きく変化したものと受け止めております。

ただし、短期間での検討を余儀なくされたこともあって、個人情報保護に関わる個別法の検討、特定商取引法による団体訴権制度の検討といった重要課題が盛り込まれていないなどの点がありますが、こうした課題についても引き続き各省庁との折衝を行い、3月の策定時には基本計画に盛り込みをいただきたく考えます。加えて、以下の点について補強的な意見を述べさせていただきます。

(1)推進体制の整備について

消費生活の幅が多岐にわたる中で、各省庁に消費者政策推進体制を設けておくことが重要であり、推進体制の整備について基本計画に盛り込むべきと考えます。消費経済政策課を設けている経済産業省のように、各省庁に規制部門と切り離された形で消費者政策専任部局を設けておくことが必要です。

従来はトラブルの発生・拡大を受けて、各省庁が後追い的に対応を進めるという構図にありましたが、今後は策定された基本計画をもとに、各省庁の消費者政策専任部局が戦略性を持って施策を策定し、他部局や他省庁と連携しながら具体的施策を推進できる仕組みを構築する必要があります。内閣府は、各省庁の推進体制の整備や政策展開を踏まえつつ、総合的な見地からリーダーシップの発揮とコーディネートを図ることが必要です。このような施策の展開にあたっては、消費者政策会議に加え、関係する各省庁の事務局会議を定期的かつ機動的に開催し、結果を国民生活審議会に報告するなどして公表をはかることが重要であり、そのことも基本計画に盛り込むべきと考えます。

(2)消費者教育について

消費者教育の推進については今回の素案でも触れられていますが、消費者基本法のもとで消費者の位置付けが自立した主体に転換される一方、依然として幅広い世代にわたり消費者被害が急増している現状も踏まえると、とりわけ成人教育が重要であると考えます。方策としては、学校教育・大学教育・成人教育を通じて求められる教育内容について体系化をはかり実施体制を含めた計画を作成するとともに、消費者団体や事業者団体による消費者教育、事業者による従業員教育など、民間の力を通じた消費者教育の促進についても検討すべきです。また、そのような取り組みの推進との関係で行政が消費者団体を支援するということも検討されるべきと考えます。基本計画には、こうした点についても盛り込む必要があると考えます。

(3)今後の進め方について

消費者基本計画は消費者のくらし全般に関わる重要テーマであり、引き続き様々な分野から幅広く意見を聴くとともに、広報活動などを通じて周知をはかっていくことが重要です。

また、基本計画策定後は、アクション・プランに沿って個々の施策の進捗状況を検証し、企画立案過程にフィードバックすることが重要ですが、検証は基本計画に盛り込まれた課題だけでなく、各省庁の進める消費者に関する施策に対しても行い、フィードバックに際しては検証内容を公開するとともに消費者からのさらなる意見反映に努めることが必要と考えます。今回の素案でも「検証・評価・監視に基づく計画の見直し」について触れられていますが、消費生活をめぐる状況の変化は早いものがあり、毎年の進捗状況をふまえて計画を柔軟に策定し直すなどの対応が求められます。

さらに、今回の素案では架空請求等に関する対策について触れられていますが、今後も至急の対応が求められる緊急課題については省庁横断的な体制を組み対応を進めるなど、即時の施策展開が必要と考えます。