厚生労働省 食品安全部 御中
平成17年度輸入食品監視指導計画案に対する意見について
平成17年度輸入食品監視指導計画(案)が示されました件で、以下の総括的意見ならびに個別具体的事項に関する意見・要望を提出いたします。
I .総括的意見
(意見)
監視指導計画等の記述内容については、策定と運用のプロセスがPlan・Do・Seeサイクルに基づいて行われている事を国民に判りやすく示していく必要があります。
(理由)
年次で監視指導計画を策定・運用する目的は、計画案中に「重点的、効率的かつ効果的な監視指導の実施の推進」と記載されており、Plan・Do・Seeサイクルに基づいて、前年度の違反状況や実績に応じて弾力的に運用することにも関係します。
今回の計画案の記載事項については、その内容が多岐に渡るものの、平成16年度の中間結果報告から得られた成果や課題等についての記述は端的な概要しかないこともあり、モニタリング検査項目の増減の背景等、前年度の成果や課題を受けて次年度の重点項目策定に至るプロセスについての記述が不明確であると考えます。
監視指導計画やその結果報告等の記述にあたっては、監視指導計画の策定と実施がPlan・Do・Seeサイクルに基づいて運用されることで、前年度の実施結果が次年度以降の施策に活かされていく事を国民に判りやすく示していく必要があると考えます。
II .個別具体的事項に関する意見
1.「3 生産地の事情、その他の事情から見て重点的に監視指導を実施すべき項目に関する事項」について
(意見)
前文の「農薬、動物用医薬品及び飼料添加物の残留に係る輸入時の検査体制の強化を計画的に行う」旨の記述に対し、当該項目のモニタリング計画件数が前年度より減少している部分があり、この差異についての説明が必要と考えます。
(理由)
前文で「平成17年度において(中略)輸入時における水産食品にかかる病原微生物の監視体制の強化に務めるとともに、農薬、動物用医薬品及び飼料添加物の残留に係る輸入時の検査体制の強化を計画的に行う」旨が明記されていますが、別表1のモニタリング計画では、畜産食品や水産食品の抗生物質などで、計画件数が前年度より減少している事項が認められます。また畜産食品や水産食品の抗生物質などは、前年度の監視結果中間報告においても、モニタリング検査で違反事例が認められています。
当会は、動物用医薬品等の「違反の蓋然性が高い項目」については、項目の重点化という見地からも強化が必要な事項と考えており、前文で記載された検査体制の強化の主旨と別表1における当該項目の計画件数が減少している事との差異については、貴省からその背景等の説明が必要と考えます。
2.「4 輸出国における衛生対策の推進」について
(意見)
食品衛生法第6条違反や第11条違反の多い国に対し、法違反の未然防止の見地から専門家等の派遣や衛生管理の確認等を実施する旨を計画案に記載することが必要です。
(理由)
計画案の(4)では、「貝毒、カビ毒等の含有等に起因する食品衛生法第6条違反や腸炎ビブリオの菌数規格不適合や、残留農薬・動物用医薬品基準違反等に起因する食品衛生法第11条違反に対し、当該法違反の多い国を中心に積極的に衛生対策を求める。」としております。しかし、「輸出国の生産等の段階における食品衛生法違反の未然防止」を達成するためには、輸出国への衛生対策を求めるに留まらず、前項(3)で記載された「専門家による輸出国への派遣と当該国の衛生管理の確認」が行われることが必要であり、(4)にもこの主旨が明記されることが必要と考えます。
3.「7 その他監視指導の実施のために必要な事項」について
「(2)本計画に基づく監視結果の公表」について
(意見)
輸出国への衛生指導等の状況とその結果についても明記されることが必要です。
(理由)
本計画案では、モニタリング検査や命令検査等の検査の実施状況とその結果の概要、輸入者に対する監視指導とその結果の概要について公表する旨を明記していますが、食品衛生法違反の未然防止の見地から、法違反の多い輸出国に対して行った専門家の派遣や衛生指導等の実施状況とその結果、指導等の実施による改善報告等についても可能な限り公表されることが重要であり、その旨が本計画案に明記されることが必要です。
「(4)検疫所が実施する食品等の試験検査等に係る点検」について
(意見)
検疫所に留まらず、地方自治体を含めた全ての食品検査機関に対する信頼性向上対策を検討することが必要です。
(理由)
計画案では、検疫所の試験検査等の業務管理に関する点検や指導を計画的に実施する旨が新たに記載されました。この事については当会も賛同いたしますが、本年も地方自治体の検査機関で検査ミスという不祥事が発生した事を考慮すると、検疫所に留まらず、地方自治体を含めた全ての食品検査機関に関する信頼性向上対策について検討する必要があると考えます。
例えば、EUでは食品検査機関に対してISOに基づく第3者認証取得を義務付けることや外部精度管理へ参加すること等を既に実施しています。日本においても海外の先進事例を参考に、法的措置を含めた今後のあり方を検討することを要望いたします。
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