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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2004年12月21日

「『健康食品』に係る今後の制度のあり方 について(提言)の実施について」に意見提出 ~日本生協連も「『健康食品』に係る今後の制度のあり方 についての検討会」に参加~

厚生労働省(医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室)では、2003年春から計13回にわたり、「『健康食品』に係る今後の制度のあり方についての検討会」(座長:田中平三(独)国立健康・栄養研究所理事長)を開催し、『健康食品』の今後の制度のあり方について検討を重ねてきました。この検討会には、途中から、日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)の渡辺秀一安全政策推進室長、神田敏子全国消団連事務局長が委員として参加してきました。

その後、この検討会がまとめた「提言」に沿って、学者専門家による研究班が「制度の実施について」という具体案を作成し、このたび、その具体案に対して意見が募集されましたので、日本生協連では、制度のうち、特に重要なポイントであると思われる『条件付きトクホ』に関する部分と、『表示の適正化』に関する部分に関して以下の意見を提出しました。

なお、12月20日に開催された「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会表示・新開発食品調査合同部会」(日本生協連くらしと研究室の小沢理恵子室長が委員として出席)においても、この内容が審議された結果、日本生協連が意見で主張した「準特定保健用食品」という名称ではなく、「条件付き特定保健用食品」(「提言」の原案通り)の名称に決まったとのことですので、あわせて報告します。

☆分かりやすくまとめた「提言のポイント」はこちら

☆「提言の本文」はこちら

<提出した意見>

2004年12月17日

厚生労働省食品安全医薬局御中

日本生活協同組合連合会

「『健康食品』に係る今後の制度のあり方について(提言)」の
実施についてに対する意見

1.表示内容の充実-特定保健用食品制度の見直し-における「条件付き特定保健用食品(仮称)」に関して:

○新しい制度に関して、消費者にわかりやすい説明を実施してください。

現在の健康食品市場は、有効性に関して一定の根拠を有する食品もある一方、有効性の根拠が無いものや、安全性に問題があり健康上の被害が発生し得るものまで、玉石混交の状態にあります。このような状況の中で、「現行の特定保健用食品の審査で要求されている有効性の科学的根拠レベルには届かないものの、一定の有効性が確認された食品」が条件付きで特定保健用食品として許可されることになれば、消費者にとって「購入しても問題がない」食品の範疇が現在よりも明確になり、逆に問題のある商品群が絞り込まれていくならば、この制度に賛成できます。

ただし、制度化に際しては、この新しい制度に関して消費者に以下の点をわかりやすく説明する必要があると考えます。

(1)「消費者が安心して選択できる範囲にある商品の幅を広げることを主たる目的とした新制度(審査基準の緩和)である」というこの制度の趣旨を徹底させる説明です。

「新制度において保健機能食品の範囲が拡充されたのだから、それ以外の"いわゆる健康食品"を購入する際は、これまで以上に一層慎重に選択すべきである」といった注意喚起を含めた説明を、あらゆる機会および手段を用いて実施していただきたいと思います。

(2)「条件付き特定保健用食品(仮称)」の審査基準の詳細についてのわかりやすい説明を求めます。

今回示された「『健康食品』に係る今後の制度のあり方について(提言)の実施について」の本文中では、現行の特定保健用食品に比べ、[1]作用機序、[2]有効性を確認する試験の方法、の2方向から審査基準を緩和したとのことで、「無作為化比較試験」「非無作為化比較試験」「有意水準○%」といった用語を用いて表形式で説明されています。しかし、これだけでは一般の消費者にとっては、「現行の特定保健用食品と比べてどの点がどの程度異なる(緩和された)ものなのか」判りにくいと思われます。例を挙げる等の工夫をして、わかりやすい説明(教育、啓発を含む)を、あらゆる機会および手段を用いて実施していただけますよう望みます。

○名称は「準特定保健用食品」が良いと考えます。

「条件付き特定保健用食品」という名称は消費者にわかりにくいと思われます。これらの審査基準は「現行に準じるもの」であり、そのことを消費者に明確かつ簡潔に示す意味で「準特定保健用食品」という名称が適切であると考えます。

○許可マークについて

今回示された「『健康食品』に係る今後の制度のあり方について(提言)の実施について」の中では、「許可マークは現行と同じ図柄を用い、文字にて・・・」と記されていますが、許可マークが現行と同じ図柄であると、現行の「特定保健用食品」との判別が付きにくいと思われます。現行の特定保健用食品と一見して明らかに識別できるよう、「現行の図柄の一部分にも名称に関わる文字を組み込む」等、工夫されることを望みます。

2.表示の適正化-特定保健用食品・栄養機能食品における表示規制の強化-に関して:

○表示規制の強化に賛成です。

「特定保健用食品・栄養機能食品に"食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを"の表示を義務づけ、これら保健機能食品だけでなく「いわゆる健康食品」についても表示すべき旨を通知する。」とした点については評価でき、賛成いたします。

なお、保健機能食品には摂取目安量が示されていますが、多種類の栄養機能食品を併用する消費者の場合などは、過剰摂取の問題が生じる懸念もあります。今回の「"食事のバランスを"の表示義務づけ」は表示上の進歩であると思いますが、今後とも諸状況を注視しながら、必要に応じて例えば過剰摂取への注意呼びかけなど、表示上の規制強化を検討していく必要があると考えます。

また、「栄養機能食品制度の悪用を防ぐため、定義規定の見直し及び表示禁止規定の創設を行う。」ことにも賛成です。現行の規定では、本来「栄養機能食品」と表示できない物質についての「機能」が公的に認められた食品であるかのように消費者を誤認させる表示が規制できていませんでした。従来見られたこのような問題点は、今回の規定によりかなり防止できるであろうと考えます。

3.制度全体について:

今回の新しい制度が導入された後も、健康食品(保健機能食品、いわゆる健康食品)に関しては、新しい問題や課題の発生、国際的動向の変化、科学的知見の進歩といった、様々な変化が予想されます。従って、本制度の導入後においても、各方面の動向を注視し、都道府県とも連携しながら、制度の点検を怠らずに継続されることを望みます。

 
<問合せ先>

日本生協連安全政策推進室(担当:菊池) 電話:03-5778-8109

<取材連絡先>
 日本生協連広報(担当:木戸・木船) 電話:03-5778-8106