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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2004年09月14日

日本生協連はBSE対策に関する要請書を 厚生労働省と農林水産省に提出しました

日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、内閣府食品安全委員会に要請書を提出したのに引き続き、厚生労働省と農林水産省にBSE対策に関する要請書を提出いたしましたのでご案内いたします。

厚労省には「と畜場の安全対策、食肉処理場での危険個所の除去技術や安全対策義務化、牛脊柱の流通・処理状況の調査と報告」、農水省には「工場での飼料製造段階と流通・使用段階の飼料中の牛たんぱく質などに関する継続的な調査と報告、飼料規制後の産牛にBSE感染が認められた事の原因究明と報告」などを含む要請書といたしました。

☆9月8日に内閣府食品安全委員会に提出した要請書はこちら

<提出した両省への要請書>

2004年9月10日

農林水産大臣
亀井 善之 殿

日本生活協同組合連合会
専務理事 品川尚志

牛海綿状脳症(BSE)対策に関する要請書
 

9月9日の食品安全委員会において、日本国内のBSE対策の安全性に関する再評価作業を取りまとめた「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について 中間取りまとめ」(以下「中間取りまとめ」)が確認されました。

日本生協連としては、日本国内でのBSE発生後の消費者の不安が生じていた状況に比べて、ある程度は冷静にこの問題を捉えてきている現段階において、一連の対策について再評価を行なうと共に、今日的に合理的な対策を再度確立することは必要なことと考えます。

BSE対策に対しては、何よりもこの間の経過と到達状況について国民の理解を深め、丁寧にリスクコミュニケーションを行っていくことが重要です。現在のBSE対策に関わる問題では、現行の制度運用について改善が必要と思われる点があるにも関わらず、全頭検査の問題だけが突出して議論される状況となっています。加えて、米国産牛肉の輸入再開に関わる様々な動きも関連し、国内対策の見直しが即米国産牛肉の輸入再開につながるような報道も一部にはされています。

日本生協連としては、BSE対策について、第一に、国産・輸入を問わず全ての牛肉に対して講ずるべきであること、第二に、プリオン病に関する研究は不明なことが今でも多く、これまでの研究で判ってきたこともまだ不確実性を抱えていること、第三に、科学的知見が十分に確立されていない中では、全ての関係者が認識を深めてリスクコミュニケーションを進めること、に留意して進める必要があると考えます。

以上の基本的な考え方に基づき、BSE対策について以下の事項を要望いたします。

1.国内のBSE対策について

 日本におけるBSE対策の決定にあたっては、リスク管理機関として十分にリスクコミュニケーションを行なってください

食品安全委員会で検討された「中間とりまとめ」では、「具体的なリスク管理措置については、今回のリスク評価結果に基づいて、十分なリスクコミュニケーションを行った後、リスク管理機関によって決定されるべき」と記述をしております。 

このことは、リスク分析手法の見地からすれば当然の事項であり、既に「中間取りまとめ」にも指摘されていますが、施策の具体的な決定に至るまで、リスク管理機関としてリスクコミュニケーションを徹底して実施してください。

 日本におけるBSE対策の内、「中間取りまとめ」で指摘された事項について速やかに追加調査を実施し、食品安全委員会に報告を行なうとともに、改善すべき事項について適切な対策を実施してください

食品安全委員会で検討された「中間とりまとめ」では、飼料規制の実効性の確保やトレーサビリティの担保・検証の必要性などが言及されています。しかし、これまでの専門調査会の審議では、これらの実施状況の報告に基づいたリスク評価作業が十分に行われていません。食品安全委員会においてリスク評価作業が十分に行われるためにも、農林水産省として速やかに下記の追加調査等を実施し、食品安全委員会に報告するとともに、改善すべき事項について適切な対策を実施してください。

  • 工場での飼料製造段階、ならびに流通、使用段階における飼料中の牛たんぱく質の存在などに関する継続的な調査と報告
  • 飼料規制後の産牛でBSE感染が認められた事に関する原因究明と報告

また、背根神経節を含む脊柱の食用規制が、欧州での規制やOIEの評価より2年近く遅れたことについては、その経過を検証し今後の教訓として生かしていただきますよう、お願いいたします。

2.米国産牛肉と輸入牛関連食品の安全性確保について

 米国のBSE対策に関わるリスク評価を食品安全委員会が行なうために、必要な情報を収集し、報告してください

この間の食品安全委員会での日本のBSE対策に関わるリスク評価が、米国産牛肉の輸入再開問題と結び付けられて報道されていますが、食品安全委員会・プリオン専門調査会の検討では、米国のBSE対策についての状況把握が不十分な状態にあるとされています。日本生協連は、米国のBSE対策に関わるリスク評価が食品安全委員会で行なわれ、その結果米国における対策が日本と同等に行なわれて、食品の安全確保上問題ないと判断されない限り、米国産牛肉の輸入再開は実施できないと考えます。リスク評価が曖昧なまま輸入再開を行なわないようにしてください。

また、BSEの「非発生国」であっても、過去英国や欧州、米国から肉骨粉を輸入し、SRM除去、サーベイランス検査や肉骨粉規制も行なわれていない国に関しては、BSEのリスクが懸念されるため、食品安全委員会に対してBSEリスクの評価を依頼し、併せて必要な情報の収集・報告をしてください。

3.調査研究の促進について

 BSEの研究を進めてください

BSEに関しては科学的な知見の不足が、安全対策を遅らせ、消費者の不安にも繋がっていると考えられます。研究体制を拡充し、できるだけ早く必要な知見が得られるようにしてください。これまでの感染実験の多くは投与動物の発症の組織検査を観察しているようですが、日本の優れた検査技術を活かし、投与動物におけるプリオンの蓄積を詳細に調べて、安全対策に寄与させるようにしてください。

  • 感染初期から中期の牛のプリオン蓄積分布の確認
  • OIEで特定危険部位に加えられた回腸についての感染性の確認
  • その他専門的見地から必要と思われる事項

4.リスクコミュニケーションの改善について

 施策に関するリスクコミュニケーションを進め、透明性の高い運用に努めてください

BSEをはじめとしたプリオン病については科学的に未解明のことが多く、リスク評価も困難性があると考えられますが、感染した場合の影響の重篤性や消費者の関心に鑑みて、できる限りの対策を行なうべきと考えます。特に施策の見直しにあたっては、このような状況を考慮しながらリスクコミュニケーションを丁寧に行なうことをお願いいたします。

意見交換会等にあっては、説明や説得に終始することなく、消費者の声を聞く姿勢を持ち、また消費者の声がどのように反映されたかわかるような、透明性の高いリスクコミュニケーションに努めるようお願いいたします。

この間マスコミ報道の一部には、食品安全委員会の検討に関して全頭検査だけが突出し、検討内容全体が正確に報道されていない状況が認められます。この問題について、全ての関係者が冷静に判断できるようにするために、一部分の強調ではなく総合的な報道がなされるよう、リスク管理機関である貴省もさらにご努力をお願いいたします。


2004年9月10日

厚生労働大臣
坂口 力 殿

日本生活協同組合連合会
専務理事 品川尚志

牛海綿状脳症(BSE)対策に関する要請書
 

9月9日の食品安全委員会において、日本国内のBSE対策の安全性に関する再評価作業を取りまとめた「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について 中間取りまとめ」(以下「中間取りまとめ」)が確認されました。

日本生協連としては、日本国内でのBSE発生後の消費者の不安が生じていた状況に比べて、ある程度は冷静にこの問題を捉えてきている現段階において、一連の対策について再評価を行なうと共に、今日的に合理的な対策を再度確立することは必要なことと考えます。

BSE対策に対しては、何よりもこの間の経過と到達状況について国民の理解を深め、丁寧にリスクコミュニケーションを行っていくことが重要です。現在のBSE対策に関わる問題では、現行の制度運用について改善が必要と思われる点があるにも関わらず、全頭検査の問題だけが突出して議論される状況となっています。加えて、米国産牛肉の輸入再開に関わる様々な動きも関連し、国内対策の見直しが即米国産牛肉の輸入再開につながるような報道も一部にはされています。

日本生協連としては、BSE対策について、第一に、国産・輸入を問わず全ての牛肉に対して講ずるべきであること、第二に、プリオン病に関する研究は不明なことが今でも多く、これまでの研究で判ってきたこともまだ不確実性を抱えていること、第三に、科学的知見が十分に確立されていない中では、全ての関係者が認識を深めてリスクコミュニケーションを進めること、に留意して進める必要があると考えます。

以上の基本的な考え方に基づき、BSE対策について以下の事項を要望いたします。

1.国内のBSE対策について

 日本におけるBSE対策の決定にあたっては、リスク管理機関として十分にリスクコミュニケーションを徹底して行なってください

食品安全委員会で検討された「中間とりまとめ」では、「具体的なリスク管理措置については、今回のリスク評価結果に基づいて、十分なリスクコミュニケーションを行った後、リスク管理機関によって決定されるべき」と記述をしております。 

このことは、リスク分析手法の見地からすれば当然の事項であり、既に中間取りまとめにも指摘されていますが、施策の具体的な決定に至るまで、リスク管理機関としてリスクコミュニケーションを徹底して実施してください。

 日本におけるBSE対策の内、「中間取りまとめ」で指摘された事項について速やかに追加調査を実施し、食品安全委員会に報告を行なうとともに、改善すべき事項について適切な対策を実施してください

食品安全委員会で検討された「中間とりまとめ」では、ピッシング廃止や脊髄除去の必要性などが言及されています。しかし、これまでの専門調査会の審議では、これらの実施状況の報告に基づいたリスク評価作業が十分に行われていません。食品安全委員会においてリスク評価作業が十分に行われるためにも、厚生労働省として速やかに追加調査を実施し、食品安全委員会に報告するとともに、改善すべき事項について適切な対策を実施してください。

BSE検査については、検査方法の改善の検討が急務であり、若齢牛のBSE感染が検出可能な検査方法を取り入れるための早急な調査・検討を要望します。

これらの措置が実施され、国民のBSE対策に関する理解が進むまでは、全頭検査を継続することを要望します。

  • と畜場のBSE安全対策の状況に関する詳細な調査と報告。
  • ピッシング廃止や、背割り前の脊髄除去に関する方法・技術のとりまとめと標準化、及びできるだけ早期のピッシング廃止と背割り前の脊髄除去等の食肉処理場に対する義務付け。
  • 牛舌採取時点での扁桃完全除去の方法の標準化確立と徹底。
  • 牛脊柱の流通状況や処理状況に関する調査と報告。

2.米国産牛肉と輸入牛関連食品の安全性確保について

 米国のBSE対策に関わるリスク評価を食品安全委員会が行なうために必要な情報を収集し、報告してください

この間の食品安全委員会での日本のBSE対策に関わるリスク評価が、米国産牛肉の輸入再開問題と結び付けられて報道されていますが、食品安全委員会・プリオン専門調査会の検討では、米国のBSE対策についての状況把握が不十分な状態にあると認識されています。日本生協連は、米国のBSE対策に関わるリスク評価が食品安全委員会で行なわれ、その結果米国における対策が日本国内と同等に行なわれて、食品の安全確保上問題ないと判断されない限り、米国産牛肉の輸入再開は実施できないと考えます。リスク評価が曖昧なまま輸入再開を行わないようにしてください。

また、BSEの「非発生国」であっても、過去英国や欧州、米国から肉骨粉を輸入し、SRM除去、サーベイランス検査や肉骨粉規制も行なわれていない国に関しては、BSEのリスクが懸念されるため、SRM含有食品の輸入を禁止してください。

3.調査研究の促進について

 BSEの研究を進めてください

BSEに関しては科学的な知見の不足が、安全対策を遅らせ、消費者の不安にも繋がっていると考えられます。研究体制を拡充し、できるだけ早く必要な知見が得られるようにしてください。これまでの感染実験の多くは投与動物の発症の組織検査を観察しているようですが、日本の優れた検査技術を活かし、投与動物におけるプリオンの蓄積を詳細に調べて、安全対策に寄与させるようにしてください。

  • 感染初期から中期の牛のプリオン蓄積分布の確認
  • OIEで特定危険部位に加えられた回腸についての感染性の確認
  • その他専門的見地から必要と思われる事項

4.リスクコミュニケーションの改善について

 施策に関するリスクコミュニケーションを進め、透明性の高い運用に努めてください

BSEをはじめとしたプリオン病については科学的に未解明のことが多く、リスク評価も困難性があると考えられますが、感染した場合の影響の重篤性や消費者の関心に鑑みて、できる限りの対策を行なうべきと考えます。特に施策の見直しにあたっては、このような状況を考慮しながらリスクコミュニケーションを丁寧に行なうことをお願いいたします。

意見交換会等にあっては、説明や説得に終始することなく、消費者の声を聞く姿勢を持ち、また消費者の声がどのように反映されたかわかるような、透明性の高いリスクコミュニケーションに努めるようお願いいたします。

この間マスコミ報道の一部には、食品安全委員会の検討に関して全頭検査だけが突出し、検討内容全体が正確に報道されていない状況が認められます。この問題について、全ての関係者が冷静に判断できるようにするために、一部分の強調ではなく総合的な報道がなされるよう、リスク管理機関である貴省のご努力もさらにお願いいたします。