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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2004年07月21日

動物用医薬品(牛の発情周期同調用膣内挿入剤)に係る 食品健康影響評価についての意見を提出しました

農林水産省・厚生労働省が食品安全委員会に意見を求めていた標記動物用医薬品に係る食品健康影響評価について、平成16年6月15日開催の第12回動物用医薬品専門調査会で審議されました。この審議結果について、7月21日までの期間で広く意見・情報を募集していました。

日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、「農水省からの発情周期同調用に限定せず、成長促進のために使用されている広い意味での評価を行うべきである。」を主旨とする意見を食品安全委員会に提出しましたのでご案内します。

<提出した意見>

2004年7月21日

内閣府食品安全委員会
事務局評価課御中
 

プロゲステロン及び安息香酸エストラジオールを有効成分とする
牛の発情周期同調用膣内挿入剤に係る
食品健康影響評価に関する審議結果についての意見
 

日本生活協同組合連合会
 

プロゲステロン及び安息香酸エストラジオールを有効成分とする牛の発情周期同調用膣内挿入剤に係り、食品健康影響評価に関する審議結果が示されました件で、意見・質問を述べさせていただきます。

  1. プロゲステロン及び安息香酸エストラジオールの個別物質としての食品健康影響評価が必要と考える。

    理由;

    • 米国をはじめ、世界的に性ホルモンは牛等の成長促進の目的で使用されており、輸入される食肉等に残留している可能性は否定できない。一方、EUは成長促進の目的でホルモン剤を投与した牛肉の輸入を認めていない。国際的に牛等へのホルモン剤の使用の是非は消費者にとって極めて関心の高い問題の一つである。
    • 食品安全委員会ではじめてホルモン剤の評価を行うものである。農水省からの発情周期同調用に限定せず、成長促進のために使用されている広い意味での評価を行うべきである。
    • 一方、今回の安全性評価においては、牛の発情周期同調用膣内挿入剤として評価されているが、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)においては、牛の体重増加を改善するために、また飼料効率を改善するために、更に乳牛と山羊の発情周期を同調するために投与されていると説明されている(WHO Food Additives Series:43)。従って、プロゲステロンとエストラジオールは、成長促進ホルモンとしても用いられ、常時動物に投与される可能性があるという視点で評価されるべきである。また、国際的な議論やコーデックスにおける議論では、成長ホルモンとして当該薬剤が論議されているのに、この状況を伏せてコメントを求めるのは、諸外国での当該薬剤使用の実態を考慮せず、妥当性に欠けるやり方と言える。
    • したがって、プロゲステロン及び安息香酸エストラジオールを有効成分とした製剤の食品健康影響評価の前に、是非とも2剤個別の評価が必要と考える。
  2. 安息香酸エストラジオールのADI

    理由;

    • エストラジオールはIARC(国際がん研究機関)が『実験動物にがんを起こすことを示す十分な証拠がある』としてグループ2A(人に対しておそらく発がん性を示す ( Probably carcinogenic to humans ))に分類している。
    • JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)では、ADIを0.05μg/kg体重/日と設定している。
    • したがって、食品安全委員会が『食品中の残留量が通常の生理的変動の範囲内であるかぎり、食品を通じて新たなリスクをもたらす可能性は考えられない』という結論に至る前に、エストラジオールのADI設定の議論を最初に行うべきである。

    最後に繰り返しになるが、世界的に論争の的となっている牛等食用動物へのホルモン剤使用に係る食品健康影響評価は、これまで公表された文献に基づき、慎重なる評価が必要と考える。