2004年06月15日
参院本会議で公益通報者保護法案が可決、成立しました ~成立に当たっての日本生協連見解~
6月14日に開かれた参議院本会議において、公益通報者保護法案は、賛成多数で可決・成立しました。
日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、この法案の成立にあたって、以下の見解を発表しましたので、ご案内します。
<発表した見解>
2004年6月14日
公益通報者保護法の成立にあたって
日本生活協同組合連合会 6月14日の第159回国会で、「公益通報者保護法」が成立しました。 この法律は、内部関係者からの通報を契機に発覚した企業不祥事が続発する中で、事業者による法令遵守によって消費者利益の確保を図っていくためには、公益のための通報を行ったことを理由に労働者が解雇等の不利益な取り扱いを受けないように、公益通報者の保護を目的に制定されたものです。 この「公益通報者保護法」の法案作成や国会審議の過程において、当会は、(1)公正な行政運営や事業者のコンプライアンス経営を促進し、社会的利益を擁護する見地から、公益通報者を保護する制度の導入は不可欠であること、(2)通報の対象について、全ての法令違反行為等を対象とする包括的な制度とすること、(3)外部通報要件について、要件を厳しすぎることなく、通報者側に課せられている立証責任を事業者側に転換するなど、通報を萎縮させないようにすること、(4)本制度の対象とならない内部告発については、引き続き労働法制上の法理が適用される旨を明確にすること、などの主張を行ってきました。 このたび成立した「公益通報者保護法」には、残念ながら通報の対象や外部通報要件等に関する私たちの主張は反映されませんでしたが、国会審議を通じて議論された論点が、衆参両院の内閣委員会において附帯決議としてそれぞれ全会一致で採択されました。法案の検討過程では「密告奨励制度は日本の風土に合わない」として反対する声も強く出されましたが、そうした中で「公益通報保護」という概念を法定したことに意義があると考えます。今後はこの法律の運用を通じて問題点等を明らかにし、附帯決議をふまえながら改善を図っていくことが必要であると考えます。 この法律は、先に成立した「消費者基本法(改正消費者保護基本法)」とともに、消費者のくらしの安全・安心をつくりあげていくためのものです。日本生協連では今後も「消費者基本法」や「公益通報者保護法」の実効性を確保していくことが重要であると考え、消費者団体訴訟制度(団体訴権)の法制化をはじめとした消費者関連法の見直し、国・地方における消費者行政の充実強化等の取り組みを進めていきます。 |