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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2004年06月15日

畜水産食品中の動物用医薬品の残留基準設定への意見

2004年4月22日に、食品安全委員会委員長から厚生労働大臣あてに「動物用医薬品(フェバンテル)の残留基準設定についての食品健康影響評価」が通知されたことから、厚生労働省では、「食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の一部改正」を行うこととして、2004年5月21日~6月14日の期間でパブリックコメントを募集しました。

日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、「フグ以外の食用動物に残留基準を設定するにも関わらず、フグのデータ以外は不十分であり、再度食品安全委員会に対して、食用動物の体内動態データの聴取を要望する」などを旨とする意見を提出いたしましたのでご案内します。

<以下提出した意見>

2004年6月14日

厚生労働省医薬食品局 御中

「食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の
一部改正(畜水産食品中の動物用医薬品(フェバンテル)
の残留基準設定)」についての意見

日本生活協同組合連合会

畜水産食品について動物用医薬品フェバンテルの残留基準を設定することに係る審議結果について、意見を述べさせていただきます。


リスク分析手法の適用について

平成15年12月18日貴省発(厚生労働省発食安第1218002号)にて、『ふぐ目魚類用フェバンテルを有効成分とする寄生虫駆除剤に係る食品中の残留基準値の設定をすること』と記載されている。また、平成15年12月18日農水省発(15消安第4404号)では、ふぐ目魚類用フェバンテルを有効成分とする寄生虫駆除剤の製造承認をすることに係る食品健康影響評価を求めると記載されている。このことはフグ目魚類用フェバンテルの承認及び残留基準値設定を意味するものと理解される。

食品安全委員会における本剤の食品健康影響評価では、動物用医薬品製造承認申請書に基づき、トラフグを用いた経口投与試験による吸収・排泄及び残留試験の概要が報告されている。一方、フグ以外の食用動物に関しては、ほ乳類を用いた経口投与試験としての吸収は記載されているが、排泄、体内分布、残留等の主要な体内動態に関する記載はない。さらに薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会報告でもトラフグにおける代謝及び残留試験結果が記載されているだけである。

以上のことから、フグ以外の食用動物に残留基準値を設定することに係り、貴省は食品安全委員会に対してフグ以外の食用動物における体内動態及び残留試験の資料も提供すべきであったと考える。なお、4月10日付け審議会議事録には、フェンベンダゾールを主成分とする動物用医薬品が豚に既に承認されていることや輸入食品に残留する可能性を考慮し、そのためにフグ以外の食用動物にも残留基準値を設定したと記述されている。貴省はリスクマネジメントの立場からその必要性に鑑み、残留基準値の設定を拡大したという判断であったと推測される。しかし、このような場合でも食品安全委員会に対して、事前にフグ以外の食用動物にも残留基準値を設定拡大したい旨のリスクアセスメントポリシーを示すべきであろう。

貴省がフグ以外の食用動物に残留基準値を設定することは、リスク分析手法の適用に係る基本的な問題と考える。本剤だけでなく、食品中の動物用医薬品及び農薬等の残留基準を設定することに係り、貴省が食品安全委員会に対して意見聴取を求める点について整理をお願いしたい。

参考とする資料について

2000年FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)は、『最大残留基準値(MRLs)を勧告するための手続き ―食品中の動物用医薬品の残留物―』を発行しており、その中にリスクアセスメント原則、残留評価の手続き、特に最大残留基準値はセクション7に詳細に記述されている。本文はJECFAメンバーに対して指針を示す、JECFAが実施する食品安全性アセスメントがどのように実施されているかに係る透明性を示すことを意図したものであるが、加盟国政府にとって有益な手続きであると考えられる。

本剤に係り、JECFAで過去に議論されており、最新評価は1998年に第一草稿(addendum)として報告されたものであるが、JECFA最終モノグラフは発行されていない。

フェバンテル、フェベンダゾール、オクスフェンダゾールの3剤については、『FAO Food and Nutrition Paper 41/11(1999年発行)』に残留データが詳しく記述されており、食用動物の残留基準値設定に関して、この資料を基に審議すべきと考えられるが、薬事・食品衛生審議会及び食品安全委員会では評価参考として利用されなかった。

本剤のリスク評価について

上記に記述した通り、本剤に係り、JECFA最終モノグラフは発行されていない。当会は食品安全委員会に対して、フェンベンダゾール及びオクスフェンダゾールの毒性評価が必要(評価結果の引用しているだけである点)であること、オクスフェンダゾールについてAmesテストだけでなく多種類の変異原性試験を実施すること、フェンベンダゾール及びオクスフェンダゾールには明らかに催奇形性作用があること、以上3項目に係り疑問点があるという考えを示した。したがって、JECFAのモノグラフが出た時点で、再度食品安全委員会に対して食用動物の体内動態データを含む意見聴取を要望する。

 
<問合せ先>

 日本生協連  広報(木戸・木船)  安全政策推進室(担当:鬼武)
  電話:03-5778-8106   電話:03-5778-8109