2004年4月27日に開催された食品安全委員会リスクコミュニケーション専門調査会(第9回)においてとりまとめられた「食の安全に関するリスクコミュニケーションの現状と課題(案)」について、5月13日の第44回食品安全委員会で、意見を募った上、食品安全委員会に報告されることになりました。内閣府食品安全委員会(本部:中央区、寺田雅昭委員長)は、6月10日を締切りとしてパブリックコメントを募集しました。
日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、「リスクコミュニケーションは、これまでの行政手法ではなかったことであり、これから取り組みを積み重ねて新しい手法を作り出していく段階にあると考えます。」という立場から下記の意見を提出いたしましたのでご案内します。
内閣府食品安全委員会 御中
「食の安全に関するリスクコミュニケーションの現状と課題(案)」に対する意見
食品の安全に関するリスクコミュニケーションは、食品安全基本法等をはじめとする新しい法制度や行政組織によって、この間3府省共催の意見交換会の開催や食品安全ダイアルの開設、食品安全モニターの運営などの取り組みが行われてきました。このようなリスクコミュニケーションの施策は、これまでの行政手法では行われてこなかった事であり、まだ緒に就いたばかりではありますが、取り組みを積み重ねて新しい手法を作り出していく段階にあると考えます。
上記の主旨を踏まえ、「食の安全に関するリスクコミュニケーションの現状と課題(案)」(以下、「報告(案)」)に対する以下の意見を提出いたします。
- これまで行われたリスクコミュニケーションに関し、報告(案)の目標や基本法の目的等に則した評価作業を実施し、今後の取り組みにつなげること
(理由) この報告(案)の目的は、「個別テーマや意見交換会等の結果を踏まえた我が国のリスクコミュニケーションの現状と課題についての意見を取りまとめること」です。報告(案)の「課題」には、国の役割、地方公共団体の役割、食品関連事業者の役割等について、これまでの実施状況を踏まえた評価が一部記載されている部分もありますが、その多くは評価がされないまま、次の課題だけが述べられています。この間行われてきた実施状況の全てについて、きちんとした評価を行うことが必要です。 評価にあたっては、報告(案)の「リスクコミュニケーションの目標」 や食品安全基本法におけるリスクコミュニケーションの目的に則して作業が行われることが大切です。
- 「IV.今後の取り組みと活動の方向」については、2004年度の食品安全委員会の事業計画として具体化し、積極的に推進すること
(理由) 報告(案)の「IV.今後の取り組みと活動の方向」では、リスクコミュニケーション専門調査会として考える取り組みの課題として、7つの項目が挙げられています。この項目について、2004年度に取り組む事業計画として具体化が図られ、積極的に推進することが必要と考えます。また、報告(案)の「III.リスクコミュニケーションの課題と方法」では、課題の前提として掲げられている基礎事項(義務教育程度の知識で理解できる言葉と説明方法による情報提供等)と様々な課題や方法が述べられていますが、これらの事項についても、施策としての具体化が図られていくことも必要です。 計画した施策については、計画-行動-評価(PDS)のサイクルに基づいて運用され、次年度以降の施策に活かされると共に、過程におけるリスクコミュニケーションが実施されることが必要と考えます。
- 報告(案)中の「リスク分析」や「リスクコミュニケーション」の記述内容について、整合性をはかり、食品安全委員会として統一的に運用すること
(理由) 報告(案)には、「リスク分析手法」に関する概念や定義について各所で記載がされておりますが、例えば要約部分と6ページの記述のように、報告(案)全体を通して「リスク分析」や「リスクコミュニケーション」に関する記述についての整合性がとれていない部分があります。 報告(案)中の「リスク分析」や「リスクコミュニケーション」に関する記述については、食品安全基本法や、コーデックス委員会などで検討されてきたリスク分析の概念に即して全体の整合性をはかると共に、食品安全委員会としての認識・理解を共通にし、統一的な運用を行うことが必要と考えます。
- 報告(案)の7ページでは、「2.リスクコミュニケーションの目標」として「リスク評価とリスク管理の過程において、関係者が必要な情報を共有した上で、関係者の意見が適切に反映されること」が記載されています。
|