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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2004年04月16日

フェバンテルを有効成分とする、 ふぐ目魚類用寄生虫駆除剤の食品健康影響評価 についての意見を提出しました

 2003年12月18日付けで厚生労働大臣が食品安全委員会へ依頼した「フェバンテルを有効成分とする、ふぐ目魚類用寄生虫駆除剤の食品健康影響評価」について、2月27日の食品安全委員会の動物用医薬品専門調査会でこれに関する審議結果が議論され、厚生労働大臣に対し、審議結果が通知されました。これを受けて4月13日の厚労省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会で議論され、食品安全委員会が、4月14日まで、この寄生虫駆除剤の審議結果についてのパブリックコメントを募集しました。

 日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、「この薬剤が動物の体内で代謝されてできる駆虫成分についてさらに詳細な評価や発ガン性・変異原性試験が必要である」を旨とする意見・質問を提出いたしましたのでご案内します。
 

☆本件に関する内閣府(食品安全委員会)のホームページはこちら

☆厚労大臣から食品安全委員会への依頼文書はこちら
 

<提出した意見>

2004年4月14日

内閣府食品安全委員会事務局評価課内
「飼料添加物に係る食品健康影響評価に関する審議結果」意見募集担当 御中
 

フェバンテルを有効成分とする、ふぐ目魚類用寄生虫駆除剤の
食品健康影響評価についての御意見・情報の募集についての意見
 

日本生活協同組合連合会
 

 フェバンテルを有効成分とする、ふぐ目魚類用寄生虫駆除剤の食品健康影響評価に関する審議結果について、意見・質問を述べさせていただきます。


 

評価方法について

 動物用医薬品のヒト健康への影響評価においては、親化合物のみならず、動物体内で生成する主要代謝物も評価対象にするのが原則である。フェバンテルは投与された動物体内で代謝され、より駆虫作用の強いフェンベンダゾールやオクスフェンダゾールに変化し、たとえば、フェバンテルを投与されたウシでの可食部には、オクスフェンダゾールスルホンとともに、フェンベンダゾールやオクスフェンダゾールが検出されている。従って、フェバンテルの健康影響評価にはフェンベンダゾールやオクスフェンダゾールについての詳細な評価も不可欠であり、JECFAでの評価方法のように、これら3者を一括して評価した上で、そのグループADIを設定するのが科学的な評価法と考えられる。しかし、本評価案では、フェンベンダゾールやオクスフェンダゾールについての詳細な毒性評価は行われておらず、単に評価結果を引用している程度にすぎない。以上のことから、フェンベンダゾールやオクスフェンダゾールの毒性評価が是非とも必要である。

発がん性・変異原性について

 フェンベンダゾールの2年間慢性毒性/発がん性併合試験では高用量群(135mg/kg)で精巣間細胞腺腫や肝細胞癌が認められ、この薬物あるいはその代謝物であるオクスフェンダゾールに遺伝子傷害性があるのではないかと疑われた。この点は、フェンベンダゾールやオクスフェンダゾール、ひいてはフェバンテルにADIが設定できるか否かにかかわる重要な点であるので、慎重に評価すべきである。たとえば、フェバンテルやフェンベンダゾールについては多種類の変異原性が実施されているが、オクスフェンダゾールではAmesテストのみである。オクスフェンダゾールについても多種類の変異原性試験を実施すべきである。

ベンツイミダゾール系抗虫薬について

 動物用医薬品としての抗虫薬には、チアベンダゾ-ル、アルベンダゾール、トリクラベンダゾールなどのベンツイミダゾール系のものが多数使用されている。今回のフェバンテルも、動物体内で駆虫活性を有するベンツイミダゾール化合物となる。これらベンツイミダゾール系抗虫薬は、その作用程度は異なるものの、いずれも催奇形性がある。これらの薬物には、共通する有糸分裂阻害作用によるものと考えられている。従って、最新の毒性学的データを収集し、ベンツイミダゾール化合物の催奇形性作用を中心としたリスク評価を実施すべきである。