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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2004年03月03日

飼料添加物アスタキサンチン及びカンタキサンチンに係る 食品健康影響評価に関する審議結果についての意見を提出しました

日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、内閣府食品安全委員会が2004年2月5日から3月3日を締め切りとして募集中の「飼料添加物に係る食品健康影響評価に関する審議結果」に対するパブリックコメントを提出しましたのでご案内します。

今回の審議結果の対象となった飼料添加物2品目(アスタキサンチン、カンタキサンチン)は、これまで7種の水産動物(ぶり、まだい、ぎんざけ、こい、うなぎ、にじます、あゆ)に対し、色調の強化を目的にその使用が認められておりましたが、その対象を食用の養殖水産動物全般に拡大することとなり、厚生労働省・農林水産省は食品安全委員会に対してリスク評価作業を依頼しました。2月5日の食品安全委員会第31回会合では、この2品目のリスク評価結果(案)が動物用医薬品専門調査会の場でとりまとめられパブリックコメントが募集されました。

日本生協連では、この2品目について、それぞれの固有の問題点について意見を述べ、最後に共通する点について意見を述べました。

以下が提出した意見です。

2004年3月3日

内閣府食品安全委員会事務局評価課内
「飼料添加物に係る食品健康影響評価に関する審議結果」
意見募集担当 御中

飼料添加物アスタキサンチン及びカンタキサンチンに係る
食品健康影響評価に関する審議結果についての意見

 

日本生活協同組合連合会
 

飼料添加物アスタキサンチン及びカンタキサンチンに係る食品健康影響評価に関する審議結果が示されました件で、意見・質問を述べさせていただきます。

1. アスタキサンチン

1-1.犬における色素沈着

ビーグル犬における3カ月間短期反復投与試験において脂肪組織の橙黄色化が認められたと記載されている。皮膚の変色の回復性に対するリスクアセスメント結果またはコメントを出すべきである。

1-2.長期毒性試験の省略について

報告書では、『アスタキサンチンは、このものの豊富な使用経験、短期毒性試験、催奇形性試験、変異原性試験の結果及び既知の知見等から悪影響が疑われない』と判断している。しかし、類縁の化合物であるカンタキサンチンではラットの長期毒性試験で肝毒性(肝細胞の肥大や空胞化)が認められており、無毒性量は5mg/kg/dayと評価されている。したがって、アスタキサンチンについても肝毒性を疑うべきであるが、13週間反復投与毒性試験はあるが、長期毒性試験は実施されていない。この点を確認せずに、ADIの設定は必要ないと結論するのは乱暴である。少なくとも、肝毒性の問題がないとするならば、カンタキサンチンとの体内動態の違いなどに基づいた説明が必要である。また、ADIが不必要とした根拠の一つに「食品として通常に摂取している」とあるが、その摂取量は、飼料添加物として使用された場合に比較するとはるかに少ないはずであり、各種食品中当該物質の濃度、残留分析データ等の暴露評価がなされていない限りにおいては、『豊富な使用経験』とは言えない。食品安全委員会における飼料添加物の安全性評価基準(またはガイドライン)を示し、併せて今回長期毒性試験を省略できると判断した事項について明確に示すべきである。

1-3.網膜内の結晶化及び沈着について

網膜内の結晶化及び沈着は、アスタキサンチンの毒性問題の一つとして重視すべき点と考えられる。食品安全委員会では公表された2つの文献及び未公表の2つの文献によってアセスメントしている。しかし、未公表の文献は第三者によるピュアレビューされたものでなく、評価の妥当性についても疑問を感じる。更に、補足資料要旨は、食品安全委員会の事務局で作成したコメントであるのか、食品安全委員会の委員による評価コメントであるのか、明確に区別されるべきである。食品安全委員会の最終レポートでは、個々の問題点について正確なコメント等記述すべきであり、補足資料要旨という用語はなじまないと考える。

2. カンタキサンチン

2-1.ラットにおける着色

ラットにおける93~98週間投与試験において体脂肪に黄色~橙色の着色が見られたと記載されている。この件に対する食品安全委員会のリスクアセスメント結果またはコメントを出すべきである。

2-2.ヒトの網膜内における結晶と網膜電図変化の推移及び沈着メカニズム

当該物質のリスクアセスメント中で最も根幹をなす部分である。食品安全委員会としてヒトの網膜内における結晶と網膜電図変化の推移及び沈着メカニズムに対する評価結果を詳細に記述すべきである。単に補足資料の回答を了承するだけでは極めて不十分な評価結果と言える。

2-3.体内動態

標記物質は、脂溶性であり蓄積される可能性は否定できない。このため、代謝を含む体内動態の評価についてコメントすべきである。

2-4.ADI(1日許容摂取量)

サルの長期毒性試験の無毒性量である0.2mg/kg/dayではなく、ヒトでの無毒性量0.25mg/kg体重/日をADI設定の根拠とした理由を明確に説明すべきである。

また、結果として、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会)と同じ無毒性量を用いてADIを設定しているが、JECFAでは第36回JECFAの決定(別紙1)に基づいて、有効数字1桁で表わしている。わが国においても、動物用医薬品等のADIはこれまで有効数字1桁で表わしてきてきたのではないか。JECFAのような方針を確立すべきである。なお、従来厚生労働省における動物用医薬品の安全性評価においてはJECFA方式を用いたと認識している。

3. アスタキサンチン、カンタキサンチンについての共通事項

3-1.純度仕様について

JECFAでは、純度と同定(purity and identification)の仕様を設定している。今回のリスクアセスメントはこのことに言及していないが、少なくともリスクアセスメントに用いた物質の純度を示すべきである。

3-2.MRLsの勧告

JECFAの動物用医薬品の評価においては、通常、MRLsが勧告されている。今回のアセスメントにおいては、この勧告は行わないのか。なお、EUと米国では、使用条件が規定されているが、これらはわが国ではどうなるのか。

3-3.試験分析方法について

この問題はリスク管理分野に及ぶものであるが、食品中の残留を定期的にモニタリングするためには、精度管理された試験分析方法の勧告をすべきである。

3-4.その他

飼料添加物であるアスタキサンチンとカンタキサンチンは併用される場合が予想される。したがって、アスタキサンチンを単独で使用する場合はADIの設定が必要ないとことでよいかもしれないが、併用する場合の使用基準の検討などをリスクマネジメント部局に対して勧告すべきである。

最後に繰り返しになるが、今回のアスタキサンチン及びカンタキサンチンの報告は、専門調査会やパブリックコメントで出された意見・疑問などの総合的考察をおこない、最終食品安全委員会の評価報告書の形で公表すべきである。



別紙 1

Thirty- six Report of JECFA (1990)

Evaluation of certain veterinary drug residues in food

2.7 Expression of ADIs

when establishing the numerical of the ADI, the Committee has decided to express it to only one significant figure. If an ADI is calculated from a non-observed ‐effect level has more than one significant figure, the number will therefore be round to one significant figure, consistent with acceptable rounding procedures.