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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2003年12月25日

日本生協連は、「著作権分科会報告書(案)に関する意見書」と 「音楽用CD再販適用除外制度の見直しに関する要望書」を提出しました

日本生活協同組合連合会(本部:渋谷区、小倉修悟会長)は、文化庁・文部科学省から先般公表・意見募集されていた「文化審議会著作権分科会報告書(案)」に関する『意見書』を提出するとともに、公正取引委員会に対して『「音楽用CD等の再販適用除外制度の見直し」に関する要望書』をそれぞれ12月19日に提出しましたのでご案内します。

文化庁の文化審議会著作権分科会において、消費者利益に直接係る問題としてレコード輸入権問題が審議されていますが、本件を含む「著作権分科会報告書(案)」が「意見募集」に付されました。全国消団連(本部:千代田区、神田敏子事務局長)も、12月24日「文化審議会著作権分科会報告書(案)に関する意見書」を提出しました。

☆全国消団連の提出意見はこちら

仮に再販制度が維持されたままレコード輸入権が導入されますと、音楽用CD等について国内外での価格競争がなくなり、消費者利益が著しく侵害されることになります。このため、消費者利益を確保していくためには音楽用CD等の再販制度の廃止が不可欠になってくると考えられます。

12月5日には全国消費者団体連絡会の主催で「レコード輸入権に関する意見交換会」が開催されました。全国消団連からも、消費者の立場から積極的に意見を寄せることを呼びかけました。

上記の状況を踏まえ、消費者の立場から著作権分科会報告書(案)に関する意見書と公正取引委員会への要望書を、下記の内容で提出しました。

文化庁の意見募集は12月24日で終了しています。

2003年12月19日

文化審議会著作権分科会
会 長 齊藤 博 様

日本生活協同組合連合会
専務理事 品川 尚志
 

「文化審議会著作権分科会報告書(案)」に関する意見
 

「文化審議会著作権分科会報告書(案)」のうち、『「日本販売禁止レコード」の還流防止措置』(いわゆる「レコード輸入権」)について、意見を申し上げます。

  1. 他の主要国に例のない「音楽用CD等に対する再販制度」が現在のように維持されたまま、『「日本販売禁止レコード」の還流防止措置』(いわゆる「レコード輸入権」)を創設することは、著しく消費者利益を侵害するものであり、認めることはできません。対象を邦盤に限定できずに洋盤にも及ぶ可能性や他の分野への波及の懸念もあり、公正な市場を形成するという視点を踏まえて引き続き慎重な検討が必要であると考えます。性急な立法化はすべきでないと考えます。
  2. (社)日本レコード協会の意見では、消費者への還元が言及されていますが、再販制度が維持され、国内競争がないままでは、レコード会社にとって価格引き下げの経済的インセンティブが働きません。「還流防止措置」をとる場合には、その前提として、再販制度から「レコード盤、音楽用CD、音楽用テープ」を対象から削除することが必要と考えます。
  3. 「知的財産推進計画」に定められているように、「消費者利益等の観点を含めて総合的に検討」することが必要であり、著作権問題の検討スキームとして位置づけられている「関係者間の協議」の場に消費者団体も参加できるようにすべきです。消費者団体を含む幅広い関係者、経済法の専門家を含む学識者が参加する「総合的な検討の場」をあらためて設置することを求めます。
  4. 法制問題小委員会の審議の最終盤に、『レコード輸入権』という名称が(社)日本レコード協会の要望を受けて『「日本販売禁止レコード」の還流防止措置』と変更されましたが、問題とされている輸入盤の音楽用CDは、現在合法的に輸入されているがゆえに、今回法規制が検討をされているわけで、それらを「日本販売禁止レコード」と表現するのは適切さを欠くと考えます。いわゆる「海賊版」との誤解をまねく恐れもあります。「還流輸入盤レコード」など、適切な表現に変更すべきであると考えます。
  5. 著作権分科会とそのもとにある各小委員会の審議は、報道機関にのみ傍聴を限定し、一般傍聴を認めないなど、政府全体の審議会の状況と比して、公開性、透明性などの点からみて、大きく立ち遅れているといわざるを得ません。また、法制問題小委員会の委員構成は、著作権の権利者側に偏っており、中立的な学識者もわずかで、消費者団体の代表はまったく参加していません。今回のように、著作権法に係る問題が消費者に直接係る場合もあることから、法制問題小委員会の委員構成については、抜本的な見直しが必要と考えます。

2003年12月19日

公正取引委員会
委員長 竹島 一彦 様

日本生活協同組合連合会
専務理事 品川 尚志
 

「音楽用CD等の再販適用除外制度の見直し」に関する要望
 

いわゆる「レコード輸入権」の創設が検討されていることを踏まえ、音楽用CD等の再販適用除外制度の見直しについて、早急に検討を開始されることを要望いたします。

現在、文化庁の文化審議会著作権分科会では、いわゆる「レコード輸入権」の創設が検討されています。この問題については、消費者団体の多くが反対をしていますが、2004年通常国会に著作権法の改正案が上程される可能性もあります。

貴委員会が文化審議会著作権分科会 第8回法制問題小委員会(12月3日)において公表された「レコード輸入権創設に係る公正取引委員会の考え方」で指摘されていますように、「我が国におけるCD等の販売については、他の主要国にはない再販売価格維持契約が独占禁止法適用除外行為として認められており、既に自由な価格競争が制限されているところ、このような状況下においてレコード輸入権を創設すれば、輸入による価格競争もなくなり、市場における競争や消費者利益に与える影響が極めて大きい」といえます。もし現状のまま輸入権が創設された場合、消費者利益が著しく侵害されることになると考えられることから、あらためて音楽用CD等の再販制度のあり方について検討することが必要になっていると考えます。

「著作物再販制度の取扱いについて」(2001年3月23日)において「当面同制度を存置することが相当」としてから、まもなく3年になります。前記のような状況の変化を踏まえて、「レコード盤・音楽用テープ・音楽用CD」についての現状の検証と今後の在り方の検討を開始されることを要望いたします。