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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2003年11月21日

日本生協連は「独占禁止法研究会報告書」に 関する意見を提出しました

公正取引委員会では、10月28日に「独占禁止法研究会報告書」を公表するとともに、これに対する意見を現在募集しております。

日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、11月11日の独占禁止懇談会で小倉修悟会長が「独占禁止法の執行力を強化する方向での報告書であり、カルテル・談合に関する課徴金の引上げなどは必要」との立場から発言しました。

11月19日に、上記に述べた立場からの日本生協連の意見書を公正取引委員会に提出しましたのでご案内いたします。同時に日本生協連では、全国の各生協・県連に、この意見書を参考に、意見の提出を呼びかけました。

このテーマに関心ある皆様の積極的な意見表明をお願いします。

締め切りは12月1日です。

<提出した意見>

2003年11月19日

公正取引委員会
委員長 竹島 一彦 殿

独占禁止法研究会報告書に関する意見
 

日本生活協同組合連合会
専務理事 品川 尚志
 

本年10月28日付の貴委員会の意見募集に基づき、消費者・市民として独占禁止法の執行力強化を求める立場から、表記報告書について下記の意見を提出いたします。

1.基本的なスタンスについて

1990年代以降の規制改革と事前規制型行政から事後チェック型の行政への転換という流れの中で、市場における公正・自由な競争ルールの実現を目指す競争政策は一層重要になっている。競争を阻害する行為を厳正かつ迅速に取り締まることができるように、規制に関わるルールや措置体系を整備し、独占禁止法の執行力を強化することは、緊急の課題である。

表記報告書には、課徴金制度の見直し、措置減免制度の導入、調査権限・審判手続等の見直し、独占・寡占規制の見直しが盛り込まれている。これらは、いずれも独占禁止法の執行力を強化する上で重要であり、日本生協連としても消費者・市民の立場から積極的に賛同するものである。

なお、表記報告書は、2001年11月に発表された『21世紀における競争政策と公正取引委員会の在り方』(21世紀にふさわしい競争政策を考える懇談会提言書)の第2章「独占禁止法の執行力の強化」において掲げられた施策の一部の具体化と考えられる。上記提言書は第4章「消費者政策の積極的な推進」の中で、景品表示法による不当表示規制の見直しなどについて提言しているが、現在までに実現しているのはそのごく一部である。貴委員会においては、独占禁止法の執行力の強化と合わせて、消費者政策の推進についても取り組まれるよう要望する。

2.課徴金制度の見直しについて

我が国の課徴金がEUの制裁金等を比べて低い水準にあり、抑止力として十分でないという判断は適切なものと考えられる。また、課徴金の対象についても、現在では価格カルテルと数量カルテルの一部のみであり、それ以外のカルテル(シェア、取引先、販売地域など)や競争事業者の排除行為については対象となっていない。

これらの問題に対処するためには、報告書で示されているように課徴金の算定率を引き上げるとともに、課徴金の対象についても拡大することが必要である。また、加算制度についても、抑止力の観点から積極的に検討すべきである。

3.措置減免制度について

現在、消費者政策の領域では、組織の内部で隠蔽されている違法行為等に関して情報提供者を保護する公益通報者保護制度が議論されている。措置減免制度は、複数の事業者間で隠蔽されている違法行為等に関して、当事者からの情報提供を促す制度であるが、社会的な損失につながる不正行為の隠蔽を許さないという考え方では共通する面がある。そうした意味では、この間示された消費者・市民の感覚にも適うものであると言える。

カルテル・談合の摘発については、調査体制の充実や調査権限の拡大を図ることも重要であるが、そもそも密室性が強いカルテル・談合の摘発率を向上させる上では、当事者からの情報提供を促す制度も必要と考えられる。カルテル・談合体質からの脱却という長年の課題を解決するためにも、措置減免制度の導入については積極的に検討すべきである。

4.刑事告発手続・罰則規定の見直しについて

刑事告発は抑止力として大きい効果を持つが、この5年間での告発実績は2件とかなり少ない。犯則調査権限の導入は公正取引委員会の調査力を強化する上で必要性が高いと考えられるため、消費者・市民としても支持するが、今後の運用の中で刑事告発を積極的に行っていくことについても、併せて要望する。

また、確定審決違反罪に関する罰則は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金となっているが、法人に対しても罰金額は同額とされており、法人に対する抑止力としては不十分である。カルテルや私的独占の法人に対する罰金額の上限が5億円であることも考慮しつつ、大幅に引き上げることが必要である。

5.独占・寡占規制の見直しについて

公益事業分野における競争導入に際しては、保有施設や規模の面で圧倒的な優位にある既存の事業者が、その優位性を濫用した競争制限行為を行うことのないようにすることが必要である。その意味で、「不可欠施設」という切り口から取締りを可能とする規定を新設することについて、消費者・市民の立場から賛同するものである

もっとも、それ以外の市場支配的地位の濫用行為に対して現行の規定で十分に対応できるか否かは引き続き検討が必要である。また、現行の独占的状態の規制や価格の同調的引上げに関する報告の徴収に関する規定については、廃止を急がず当面存続させることが適切と考える。

<これに関する問合せ先>

日本生協連 渉外広報本部広報 藤原・木戸

電話:03-5778-8106