2003年09月16日
介護保険制度に関する 日本生協連の要望を9月10日提出しました
現在、厚労省・社会保障審議会介護保険部会(注:委員名簿別添)では、進行する高齢化・逼迫する財政問題など介護保険制度の見直しにむけての検討が進められています。日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、2003年7月に、地域生協のくらしの助け合いの会と生協の介護保険指定事業所の実態調査(ヒアリングおよびアンケート)を行いました。この内容にもとづき表記要望を取りまとめ、論議が進められている社会保障審議会介護保険部会での介護保険の見直し検討に、反映いただけるよう要望書を提出いたしましたので、ご案内いたします。
☆介護保険制度に関する地域からの主な意見・評価の添付資料はこちらへ
厚生労働省老健局長 中村秀一 様
日本生活協同組合連合会 介護保険制度に関する日本生協連の要望 全国の地域購買生協は、20年前から「くらしの助け合い活動」に取り組み、家事援助活動や食事会などの地域の支え合い、生きがいの創造を広げてきました。そうした活動をベースに、介護保険事業にも取り組み、2002年度には45の地域購買生協で64億円の事業規模となり、今後とも利用者としてサービス提供者としての両方の性質を合わせ持つ生活協同組合として、「利用者本位」「自立支援」の理念を重視し、活動・事業の拡大を推進しているところです。 現在、社会保障審議会介護保険部会では、高齢化の急速な進行、財政問題など、介護保険制度の見直しにむけての議論が行われています。介護保険制度をめぐって、重要なことは、「利用者本位」が根底に据えられているか、「自立支援」をいかに実現していくかということです。財源問題を理由に、本来の介護保険制度のミッションがなし崩しになることがないよう切に願う次第です。 介護保険制度の運営については、介護認定、とくに痴呆症高齢者の認定の公平性や申請から利用までの手続きの簡素化が求められています。また、この間、居宅介護支援事業では、4種類以上のサービスの組み合せに加算を行うなどの変更が施されていますが、介護保険事業の適正化の一環として受け止めつつも、実態として利用者の「自立支援」に本当に有効であるのかどうか疑問です。サービスの質の向上は、指定事業者の倫理、理念、技術の向上、インフォーマルな分野も含む地域福祉資源のネットワーク等、優良な事業者、地域の福祉資源、そこに働く人材の養成によって図られるものと考えます。 4月に行われた介護報酬改定や現在進められている制度見直しの論議の過程では、住民参加の空洞化が起こっています。被保険者として、利用者として、保険料支払の義務を果たし、サービスを利用し、一割を負担している当事者であるにもかかわらず、制度変更のプロセスに参加する機会がないこと、変更後も十分な情報提供が行われていないことなど、憂慮すべき地域の実態があります。ITの普及によって情報は氾濫し、誰でも必要な情報は手に入れることができる時代となりつつありますが、一方でデジタルデバイドへの配慮は深刻な課題となっています。とくに、介護保険のサービスを必要とする年齢層は、情報が届きにくい層であることを念頭に入れ、情報提供および住民参加のあり方を検討すべきです。
日本生協連は、この7月に、地域購買生協のくらしの助け合いの会、介護保険指定事業所にヒアリングおよびアンケートを実施し、利用者あるいは地域住民の意見・評価を地域のありのままの実態として取りまとめました。それをもとに下記の要望を提出するものです。(※利用者あるいは地域住民の意見・評価資料はこちら) 記 1.「利用者本位」を実質化するために地域における情報提供・収集システムを国および地方自治体の責任で確立すること
2.サービスを主体的に選択し、安心して利用できるための、第三者評価制度のあり方を検討すること
3.サービスの質の向上のために、国および自治体の責任で従事者・事業所の研修体制を充実させること
4.事業所運営の継続を可能とする介護報酬引き上げを検討すること、および運営基準の見直しを検討すること
5.介護保険制度の周辺の整備をすすめること、地域の福祉の利用者、担い手の総合力で、くらしの安心を創造する「地域包括ケアシステム」を確立すること
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<添付資料> 介護保険制度に関する地域からの主な意見・評価
A.「利用者本位」を実質化するための情報提供・収集に関して 【「くらしの助け合いの会」から】
【介護保険サービス利用者から】
B.サービスの質の向上に関して 【「くらしの助け合いの会」から】
【居宅介護支援事業所から】
【訪問介護事業所から】
C.介護報酬、運営基準に関して 【「くらしの助け合いの会」から】
【介護保険サービス利用者から】
【居宅介護支援事業所から】
【訪問介護事業所から】
D.「地域包括ケアシステム」確立に関して 【「くらしの助け合いの会」から】
E.その他 【「くらしの助け合いの会」から】
【介護保険サービス利用者から】
以 上 |