2003年07月24日
日本生協連が食品の安全関連で6つの意見提出
日本生協連(本部:渋谷区、小倉修悟会長)では、既にご案内しました厚生労働省の食品衛生法の改正に関する施策案の公表と同時に募集されました6件のパブリックコメントに対して、日本生協連として提出いたしましたのでご案内します。
今後の動きとしましては、案件にある国レベルでの「食品衛生に関する監視指導指針」が確定した後に、各都道府県・政令市がこの指針を踏まえて「監視指導計画」を作成することになりますが、各地でもこの監視指導計画の作成にあたっては、「事前に住民からの意見を聴く」ことが食品衛生法で定められています。私たちは、各地での監視指導計画作成時における消費者意見の提出等が大切になります。
- 食品衛生法施行令及び食品衛生法施行規則の一部改正案に対する意見
- 食品衛生に関する監視指導指針(案)に対する意見
- 消除予定添加物名簿に関する省令(案)に関する意見
- 食品衛生法第1条の3に基づく食品等販売業者の記録の作成・保存に係る指導ガイドライン(案)に関する意見
- 「食品衛生法第4条の2の規定による食品又は物の販売禁止処分の運用指針(ガイドライン)(案)」に関する意見
- 「健康増進法施行規則の一部を改正する省令(案)」及び「食品として販売に供するものに関して行なう健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(案)」等に関する意見
2003年7月22日
厚生労働省医薬食品局食品安全部 食品衛生法施行令及び食品衛生法施行規則の一部改正案に対する意見
(法人名)日本生活協同組合連合会
食品衛生法施行令及び食品衛生法施行規則の一部改正についての改正案が示されました件で、意見・要望を述べさせていただきます。 記 1. 食中毒調査関係について 保健所長や都道府県知事等が行なう中毒に関する報告について、これまで記載の無かった「逐次」「速やかに」等の具体的な指標を新たに明記したことは、初動対策の迅速化という面から必要な措置と考えます。しかし、医師からの報告が保健所に届けられる場合においては、医療機関は食中毒だけではなく感染症の第一次対応機関でもあるため、診察した医師からの届出は、原因物質や病原菌が同じであっても、報告内容を食中毒とするか感染症とするかが診察した医師の判断で分かれる可能性があります。食中毒の広域的な発生状況を始めとする正確な動向を把握するために、各都道府県の医師会等とも協力し、食中毒や感染症等の発生に関する届出のルールや判断基準等についても共通化をはかるなど、迅速な対応を実施するための環境整備を進めることを要望します。 また、感染症の発生動向をモニタリングするためのサーベイランスシステムも食中毒対策に活用することが必要です。現在稼動しているサーベイランスシステムの対象には、一部の食中毒原因菌・物質が含まれています。これを食品衛生法で規定している23種類の食中毒原因菌・原因物質に拡大することにより、国内外の動向等の共有化を始め、迅速な体制作りについても既存のインフラを活用して構築できるものと考えます。 2. 監視指導計画について 本案では年度ごとの実施状況の概要を公表することとしていますが、概要とは別に詳細な年次報告書を後日作成し、インターネットでの公表や図書館を始めとする地方公共施設での閲覧等を実施する旨を計画中に明記することが必要であると考えます。 3. その他 今回の6件の意見募集については、募集期間が19日間と短い設定期間となっています。法の施行日との関係があるとすれば、法の公布時点には当該の案が出されるなど、意見を出しやすい期間設定に充分留意し、パブリックコメント及び国民とのリスクコミュニケーションの目的が十分に達せられるように進めることを要望します。 |
2003年7月22日
厚生労働省医薬食品局食品安全部 食品衛生に関する監視指導指針(案)に対する意見
(法人名)日本生活協同組合連合会
食品衛生に関する監視指導指針(案)が示されました件で、意見・要望を述べさせていただきます。 記 1.試験検査実施機関の体制の整備等について 本指針案には、試験検査機関の技術向上及び信頼性確保のための取り組みとして検査機器導入の推進を始めとする各種措置が記述されています。これらの取り組みの内、外部精度管理事業への参加については、検査結果の公正性・中立性・信頼性を確保する面から重要な措置でもあるため、積極的な実施を進めていく事を要望します。また、登録検査機関も含めた試験検査実施機関全体の試験検査能力を確保するため、欧州連合で行われているように、各試験所・登録検査機関の能力要件としてISO/IEC17025を始めとする試験所・校正機関認定を受けることや、外部精度管理に参加することを法的義務として位置づける旨を、指針中に明記する事が必要と考えます。 また、検査方法の運用に際しては、地方の試験検査機関等に対する相談事業や助言・援助、検査手法の開発などの役割を国が積極的に発揮することが必要です。よって、この主旨を指針中に明記する事を要望します。 2.都道府県等食品衛生監視指導計画の策定及び実施に関する事項について 本指針案には食品群ごとの食品供給行程を通じた重点監視指導項目として代表的な事項が一覧として明記されていますが、O157を始めとする、動物の消化器系に常在している食中毒原因菌による食品汚染を防止する視点から、動物の糞尿を肥料として利用している事業所等に対し、農林水産部局と連携して食品衛生面からの検査・監視指導を実施する事を本指針中に明記することが必要と考えます。 また、都道府県等食品衛生監視指導計画の実施状況の公表については、本指針案では「年度ごとの実施状況の概要を公表する」としていますが、概要とは別に詳細な年次報告書を後日作成し、インターネットでの公表や図書館を始めとする地方公共施設での閲覧等を実施する旨を本指針に明記することが必要であると考えます。 3.輸入食品の安全性確保について 本指針案では、輸入食品の安全性確保に関し、「必要に応じ、輸出国政府に対する衛生証明書等の信頼性の確保及び、食品安全規制の的確な実施を要請し、違反を繰り返すなど個別にその安全性を確保することが必要な食品等について、輸出国政府との二国間協議や現地調査を実施」としています。輸入食品の安全性確保は、事業者等に第一義的責任があることは前提ですが、相手国の規格基準や実態の把握、日常的な海外情報の入手、科学的な根拠情報の蓄積や現地視察、安全性を向上するための相手国への支援・援助などは、政府として率先して行うべき措置でもあり、政府として取り組むべき事項として本指針中に明記することを要望します。 また、輸入食品監視指導計画の実施状況の公表については、本指針案では「年度ごとの概要を公表し、年度途中でも定期的に公表する」としていますが、概要とは別に詳細な年次報告書を後日作成し、インターネットでの公表や図書館を始めとする地方公共施設での閲覧等を実施する旨を本指針に明記することが必要であると考えます。 4.その他 今回の6件の意見募集については、募集期間が19日間と短い設定期間となっています。法の施行日との関係があるとすれば、法の公布時点には当該の案が出されるなど、意見を出しやすい期間設定に充分留意し、パブリックコメント及び国民とのリスクコミュニケーションの目的が十分に達せられるように進めることを要望します。 また、本指針に基づく都道府県等食品衛生監視指導計画及び輸入食品監視指導計画の実施にあたっては、国・地方公共団体の監視等に関わる体制整備や予算の確保を行い、実効性ある運用が図られることを要望します。 |
2003年7月22日
厚生労働省医薬食品局食品安全部
消除予定添加物名簿に関する省令(案)に関する意見
(法人名)日本生活協同組合連合会 食品衛生法改正に基づく消除予定添加物名簿に関する省令の案が示されました件で、意見・要望を述べさせていただきます。 記 附則第二条の三は、使用実態に照らして必要性がないと考えられる既存添加物が名簿から消除されることにより、実態に沿った既存添加物名簿が得られますので、有意な制度であると考えます。 本省令(案)二および三に記された申し出に対しては、確実な確認作業(流通・使用実績の有無の確認)が必要になると思われます。そのためには、行政による既存添加物の流通に関する定期的な点検が必要です。また、点検結果に基づき、必要に応じた「消除予定添加物名簿」が随時発行されるような運用体制を要望します。 なお今回の6件の意見募集については、募集期間が19日間と短い設定期間となっています。法の施行日との関係があるとすれば、法の公布時点には当該の案が出されるなど、意見を出しやすい期間設定に充分留意し、パブリックコメント及び国民とのリスクコミュニケーションの目的が十分に達せられるように進めることを要望します。 |
2003年7月22日
厚生労働省医薬食品局食品安全部
食品衛生法第1条の3に基づく食品等販売業者の記録の作成・保存に係る
(法人名)日本生活協同組合連合会
食品衛生法第1条の3に基づく食品等販売業者の記録の作成・保存に係る指導ガイドラインの案が示されました件で、意見・要望を述べさせていただきます。 記 日本の食品産業は、全体として食品の履歴に関する記録に対する認識が乏しかったと言わざるを得ないと感じています。そのため、重大な危害に関する事態が生じた際の、原因を迅速に特定し、消費者の不安を最小限に抑えるために必要な対応に不充分な点が多かったことは率直に反省しなければなりません。 今回の食品衛生法改正に基づく記録の作成・保存に係るガイドラインは、こうした現状を一歩前進させるものとして評価するものです。ただし、現状の食品産業の実態は、残念ながら「記録」の必要性が十分認識されているとは言い難く、こうした状況でガイドラインが提起されたとしても、その実効性の確保について懸念があります。 日本の食品産業が、記録の必要性に関する認識の上に立ち、BSEや偽装表示問題等に対する消費者の不信を早急に払拭するためには、「記録」の習慣を定着させることを目的として、行政・業界が実態に即した丁寧な対応を実施することを望むものです。 このような主旨から、以下の点について要望いたします。 各段階における記録の内容や記録の方法については、実践的な視点から情報の共有化や事業者への講習を行うと共に、行政・事業者団体等による指導・支援を行うこと。 当会で把握している事例では、記録書式を作成したものの、現場での記帳が徹底できずに終った事等もあります。現場作業の中で記帳可能な内容のあり方、記帳後の情報集約方法などは、これまでの先進事例を踏まえて推進を図る事が必要であると考えます。 なお今回の6件の意見募集については、募集期間が19日間と短い設定期間となっています。法の施行日との関係があるとすれば、法の公布時点には当該の案が出されるなど、意見を出しやすい期間設定に充分留意し、パブリックコメント及び国民とのリスクコミュニケーションの目的が十分に達せられるように進めることを要望します。 |
2003年7月22日
厚生労働省医薬食品局食品安全部
「食品衛生法第4条の2の規定による食品又は物の販売禁止処分の
(法人名)日本生活協同組合連合会 食品衛生法第4条の2の規定による食品又は物の販売禁止処分の運用指針案が示されました件で、意見・要望を述べさせていただきます。 記 本運用指針(ガイドライン)(案)の主旨には賛成いたします。食品と健康被害との間に高度の因果関係が認められない場合であっても、それが認められるまでの調査期間中に流通を放置していては危害の拡大を招きますので、本案にあるような暫定的な禁止措置は必要であると考えます。 またこの措置は販売禁止であって、消費者が既に購入済みの商品は(本規定の範囲においては)そのまま放置されることになります。よって、本措置が適用された際には、国民に対して広くかつ迅速に公表されなければなりません。 健康被害が既に生じている場合は「現行の公表の取組みに加えて、本措置適用の旨を別途公表する」とされていますが、国民に対して広く迅速かつ確実に公表されるよう、取組みを強化されることを望みます。 逆に、健康被害が生じていない場合(「人の健康を損なうおそれがない旨の確証がない場合」および「被害を生ずるおそれのある物質が、当該食品に含有されている蓋然性が高い場合」)は、食品安全委員会でのリスク評価を受けた後、薬事・食品衛生審議会の開催に併せて、本措置の適用を検討している対象が公表されることになっており、併せて食品安全委員会としてもリスク評価の結果を公表するとされています。 この場合の販売禁止措置およびそれに向けた公表は、起こりうる健康被害を未然に防止するためのものですので、この場合においても迅速かつ広く確実に公表される必要があります。両委員会が連携して迅速な対応がとれるような運用を要望いたします。 なお今回の6件の意見募集については、募集期間が19日間と短い設定期間となっています。法の施行日との関係があるとすれば、法の公布時点には当該の案が出されるなど、意見を出しやすい期間設定に充分留意し、パブリックコメント及び国民とのリスクコミュニケーションの目的が十分に達せられるように進めることを要望します。 |
2003年7月22日
厚生労働省医薬食品局食品安全部
「健康増進法施行規則の一部を改正する省令(案)」及び「食品として販売に供するものに関して行なう健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(案)」等に関する意見
(法人名)日本生活協同組合連合会
健康増進法改正に基づく標記の省令案及びガイドライン案が示されました件で、意見・要望を述べさせていただきます。 記 1.「健康増進法施行規則の一部を改正する省令(案)」に関する意見 厚生労働省令で定める事項として、思考能力、記憶力、集中力等の増強、精神面のリラックス等、頭脳や神経系に関わる効果も含めるべきであると考えます。 2.「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)(案)」に関する意見 本指針(ガイドライン)(案)に賛成いたします。現状においては「いわゆる健康食品」の類を直接の対象とした表示広告等の規制(指針)がなく、結果として、消費者の誤認を招いている例が後を絶ちません。たとえ、健康上、直接の被害が直ちに現れるものでないとしても、健康保持増進効果等について事実と異なる情報に基づきながら長期的に摂取すると、健康に重大な影響を与えかねませんので、厳しい指針が必要であると考えます。 3.「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)に係る留意事項(案)」に関する意見 本留意事項(案)に賛成いたします。現状においては「いわゆる健康食品」の類を直接の対象とした表示広告等の規制(指針)がなく、結果として、消費者の誤認を招いている例が後を絶ちません。たとえ、健康上、直接の被害が直ちに現れるものでないとしても、健康保持増進効果等について事実と異なる情報に基づきながら長期的に摂取すると、健康に重大な影響を与えかねませんので、厳しい指針が必要であると考えます。 4.その他 今回の6件の意見募集については、募集期間が19日間と短い設定期間となっています。法の施行日との関係があるとすれば、法の公布時点には当該の案が出されるなど、意見を出しやすい期間設定に充分留意し、パブリックコメント及び国民とのリスクコミュニケーションの目的が十分に達せられるように進めることを要望します。 |