2003年02月26日
「食の安全・安心のための政策大綱(中間とりまとめ)」に 意見提出しました
日本生協連(本部:渋谷区、竹本成徳会長)は、現在農水省が募集中(3月20日〆切り)の「食の安全・安心のための政策大綱(中間とりまとめ)」に対するパブリックコメントに対し、日本生協連の意見を提出いたしましたのでご案内します。
2003年2月25日
農林水産省 総合食料局
「食の安全・安心のための政策大綱(中間とりまとめ)」に関する意見
日本生活協同組合連合会 意 見
この度の、「食の安全・安心のための政策大綱(中間取りまとめ)」(以下「中間取りまとめ」)については、食品安全基本法制定を始めとする、一連の食品安全行政改革の考え方に沿って検討されてきたものと考えます。是非、今日的な食品の安全性の確保や国民の健康保護をはじめとする、消費者の利益が確保されるための施策の推進を積極的に進めていただくことを期待します。なお、今後の取りまとめ作業が実施されるにあたり、以下の事項について意見を述べさせていただきます。
記 (1)リスク管理のための政策・施策の決定過程における、情報公開や消費者の参画について法制化および具体的な仕組みを整備すること 基本的な考え方では「行政が正確でわかりやすい情報を積極的に提供し、意見交換に努め、関係者の懸念や意見が施策に反映するようにすることが重要です」と記載されています。しかし、政策の展開方法には、この考え方に沿って取り組むべき具体的な実施方法等が記載されておりません。審議会への消費者の参画や情報の公開、行政の説明責任のあり方など、法制化も含めた具体的な仕組みの整備を盛り込むことが必要と考えます。 (2)リスクコミュニケーションは、施策への理解促進の手法としてのみではなく、より積極的な位置付けで制度整備を行うこと 中間とりまとめには、リスクコミュニケーション推進のための事例として、「情報提供、意見交換会の開催、パブリックコメントの募集、情報を入手しやすい環境つくり」が記載されています。これらについては、積極的に推進して頂きたいと考えます。さらに、リスクコミュニケーションは、施策への理解促進の手法としてのみではなく、双方向のコミュニケーションの制度として整備していくことが必要です。そのためには、消費者等から公聴会の開催を請求できる制度や、パブリックコメントなどのテーマに限定されずに消費者等が意見を提出し、出された意見に対して行政が回答する制度など、広範に検討していくことが必要です。 (3)農業資材・養殖用資材の使用状況の記録については、義務づけとすること 農薬、肥料、飼料、動物用医薬品などの農業資材や水産用医薬品、養殖水産動物用飼料などの養殖用資材について、誤使用等を防ぐための登録・承認されていない農業資材の使用禁止や使用方法の遵守義務化、水産用医薬品の包括的な使用基準の設定などが明記されています。これらを積極的に進めていただくことを要望します。併せて、使用状況の記録については農業資材・養殖用資材共に「記録を求める」だけでなく、その適正使用やトレーサビリティ確保の観点から、「使用状況の記録の義務づけ」が必要と考えます。 加えて、生産者に対する指導・教育を実施し、全体的な安全使用の意識向上をはかっていくことが必要と考えます。 (4)問題のある農業資材の回収措置は、当該品の最終処分までの措置について、法制化及び具体的な仕組みとして明らかにすること 中間とりまとめでは、「有害な物質を含む農業資材が使用されないよう、問題のある資材の回収命令など、事故発生時にとりうる措置を拡充する」とされていますが、問題のある生産資材の回収命令が実施された場合には、当該品の最終処分(無害化処理を含む)まで、製造者・販売者が責任をもって実施する措置が必要と考えます。 (5)食品表示については、統一した法制度の制定と行政組織の見直しについて検討すること 「表示のルールについては、複数の法制度で表示ルールが定められている、複雑でわかりにくいなど、いろいろな問題が指摘されています」と中間取りまとめでも記述しています。しかし、食品表示の適正化の取り組みとしては、「食品の表示に関する共同会議の設置」「一元的に受け付ける相談窓口の設置」「厚生労働省との共通パンフレットの作成」等のみが記載されています。今後はこれらの取り組みと併せて、「消費者の選択に資する」ことを第一義的な目的とする食品表示制度が確立されることが必要です。そのためには、この目的に添った方向で表示関連の法制度を一本化することや、相談窓口だけではなく、行政組織の一元化等も含めて検討されることが必要と考えます。 (6)食品の安全に関する国際的な情報収集を強め、食品安全委員会を中心に情報の管理・発信を行うこと 中間とりまとめでも指摘しているように、貿易相手国で発生した食品事故が日本国内に直接影響を及ぼさないための対策が、近年重要になっております。 危害情報をはじめとする、国際的な食品の安全性に関する情報収集を強化するとともに、食品安全委員会に情報を集中する制度整備や、日常的に関係省庁間で相互に情報を提供しあう体制を構築することが必要と考えます。 以上 |