2003年01月29日
「カドミウム問題に関する要請書」を 4省庁に提出しました
日本生協連(本部:渋谷区、竹本成徳会長)は、1月22日と1月29日に、農林水産大臣、厚生労働省大臣、環境大臣、経済産業大臣にあてて、「カドミウム問題に関する要請書」を提出しました。
これは、2002年12月2日に、農水省から発表された「農作物等に含まれるカドミウムの実態調査結果」の内容が、「日本人の推定カドミウム摂取量が海外と比較してかなり多く、平均値で暫定耐容週間摂取量に近く、汚染の高い地域では暫定耐容週間摂取量を超える摂取が懸念される」ことから、要請を決めたものです。
平成15年1月22日
農林水産大臣
日本生活協同組合連合会
カドミウム問題に関する要請書 2002年12月2日、農水省から農作物等に含まれるカドミウムの実態調査結果が発表され、改めて米及びその他の農産物等のカドミウム汚染の実態の一端が明らかになりました。カドミウムは腎障害を起こすリスクについての評価からFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、体重1kg当たりの暫定耐容週間摂取量(PTWI)を7μg/kg/weekと設定していますが、国際癌研究機関(IARC)は「ヒトに発癌性がある(グループ1)」と評価しています。日本人の推定カドミウム摂取量は海外と比較してかなり多く、平均値で暫定耐容週間摂取量に近く、汚染の高い地域では暫定耐容週間摂取量を超える摂取が懸念されます。 一方、日本では現在、世界の消費量の3分の1である7千トンのカドミウムを消費し、その消費量の90%を占めるニカド電池製品のリサイクル率は20%程度で、大半が廃棄物として処理され、環境の汚染も懸念されます。
日本はカドミウムの汚染によるイタイイタイ病という悲惨な公害病を経験しています。カドミウムの摂取状況などを考慮すると、カドミウム問題は現時点でも重要な問題であると考え、貴省並びに関連各省庁において連携してカドミウム対策を取られるよう要望します。 記 (1)より広範な調査の実施 今回発表された調査は、コーデックス委員会への報告を目的として一部の食品を対象に行われたものですが、対象の食品分類(内臓肉や魚類など)や調査地域を広げ、全体の実態を早急に把握してください。 飼料の汚染が伝えられていますが、腎・肝等内臓肉の汚染が懸念されるため、早急に飼料並びに内臓肉等の調査を進めてください。 土壌中のカドミウム濃度が比較的高い地域について厚労省など関連省庁と協力してカドミウム摂取量を調査してください。 これらの調査の結果については、都度速やかに公開してください。 (2)汚染原因の解明と汚染低減対策の徹底 関係省庁と協力して、全国的な農地・牧草地の土壌汚染の調査を進め、汚染源の解明をしてください。 稲栽培における水管理の改善による米の汚染低減対策については、有効なものと考えられますが、これが徹底されるように、生産者の指導や水利設備の整備など、実効ある対策を進めてください。 米以外の農作物についても、農耕地の種類や土質、栽培条件等についての解析を行ない、汚染防止対策を検討してください。 恒久的な土壌対策についても、効果的な方法についての技術的研究を早急に進めて、対策を進めてください。 |
平成15年1月22日
厚生労働大臣
日本生活協同組合連合会
カドミウム問題に関する要請書 2002年12月2日、農水省から農作物等に含まれるカドミウムの実態調査結果が発表され、改めて米及びその他の農産物等のカドミウム汚染の実態の一端が明らかになりました。カドミウムは腎障害を起こすリスクについての評価からFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は体重1kg当たりの暫定耐容週間摂取量(PTWI)を7μg/kg/weekと設定していますが、国際癌研究機関(IARC)は「ヒトに発癌性がある(グループ1)」と評価しています。日本人の推定カドミウム摂取量は海外と比較してかなり多く、平均値で暫定耐容週間摂取量に近く、汚染の高い地域では暫定耐容週間摂取量を超える摂取が懸念されます。 一方、日本では現在、世界の消費量の3分の1である7千トンのカドミウムを消費し、その消費量の90%を占めるニカド電池製品のリサイクル率は20%程度で、大半が廃棄物として処理され、環境の汚染も懸念されます。
日本はカドミウムの汚染によるイタイイタイ病という悲惨な公害病を経験しています。カドミウムの摂取状況などを考慮すると、カドミウム問題は現時点でも重要な問題であると考え、貴省並びに関連各省庁において連携してカドミウム対策を取られるよう要望します。 記 (1)カドミウムの毒性及び摂取に関する調査研究 暫定耐容週間摂取量のレベルでも腎障害が起きるおそれを指摘する報告もあるため、カドミウムの毒性を再評価してください。発癌性についてもリスクアセスメントを行なってください。 全国のカドミウム摂取調査を広く実施し、カドミウム摂取量の比較的高い地域についても健康へのリスクを評価し、危害防止に努めてください。 (2)食品衛生法規格基準の改定 日本人の平均摂取量がすでに暫定耐容週間摂取量に近いことから、カドミウム摂取の低減を図るため、米について設定された食品衛生法規格基準値1.0ppm(μg/g)未満を、コーデックス規格案の0.2ppm(μg/g)以下に下げることを要望します。 大豆、葉菜、芋類・根菜、軟体動物など他の食品についても、コーデックス規格案に添う形で規格基準を定めてください。また動物の内臓肉や魚類についても、規格基準を検討してください。 |
平成15年1月22日
環 境 大 臣
日本生活協同組合連合会
カドミウム問題に関する要請書 2002年12月2日、農水省から農作物等に含まれるカドミウムの実態調査結果が発表され、改めて米及びその他の農産物等のカドミウム汚染の実態の一端が明らかになりました。カドミウムは腎障害を起こすリスクについての評価からFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、体重1kg当たりの暫定耐容週間摂取量(PTWI)を7μg/kg/weekと設定していますが、国際癌研究機関(IARC)は「ヒトに発癌性がある(グループ1)」と評価しています。日本人の推定カドミウム摂取量は海外と比較してかなり多く、平均値で暫定耐容週間摂取量に近く、汚染の高い地域では暫定耐容週間摂取量を超える摂取が懸念されます。 一方、日本では現在、世界の消費量の3分の1である7千トンのカドミウムを消費し、その消費量の90%を占めるニカド電池製品のリサイクル率は20%程度で、大半が廃棄物として処理され、環境の汚染も懸念されます。
日本はカドミウムの汚染によるイタイイタイ病という悲惨な公害病を経験しています。カドミウムの摂取状況などを考慮すると、カドミウム問題は現時点でも重要な問題であると考え、貴省並びに関連各省庁において連携してカドミウム対策を取られるよう要望します。 記 (1)汚染実態の調査、汚染源の特定と汚染防止対策 農用地及び市街地の一部について土壌汚染の調査が行なわれていますが、更に広く全国調査を行ない、結果を公表してください。 カドミウムの汚染源について、改めて全国調査を実施し、関係省庁と協力して必要な汚染防止対策を行なってください。 (2)カドミウムのリサイクル及び適切な処理 カドミウムの環境への排出を減らすために、ニカド電池などカドミウムを含む製品の廃棄物について分別収集を徹底し、関係省庁と協力してリサイクルや適切な処理が行われるようにしてください。 カドミウムを含む製品の廃棄物が焼却処理又は埋立て処理されることがないよう、廃棄物処理に関する基準を強化してください。 |
平成15年1月22日
経済産業大臣
日本生活協同組合連合会
カドミウム問題に関する要請書 2002年12月2日、農水省から農作物等に含まれるカドミウムの実態調査結果が発表され、改めて米及びその他の農産物等のカドミウム汚染の実態の一端が明らかになりました。カドミウムは腎障害を起こすリスクについての評価からFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、体重1kg当たりの暫定耐容週間摂取量(PTWI)を7μg/kg/weekと設定していますが、国際癌研究機関(IARC)は「ヒトに発癌性がある(グループ1)」と評価しています。日本人の推定カドミウム摂取量は海外と比較してかなり多く、平均値で暫定耐容週間摂取量に近く、汚染の高い地域では暫定耐容週間摂取量を超える摂取が懸念されます。 一方、日本では現在、世界の消費量の3分の1である7千トンのカドミウムを消費し、その消費量の90%を占めるニカド電池製品のリサイクル率は20%程度で、大半が廃棄物として処理され、環境の汚染も懸念されます。
日本はカドミウムの汚染によるイタイイタイ病という悲惨な公害病を経験しています。カドミウムの摂取状況などを考慮すると、カドミウム問題は現時点でも重要な問題であると考え、貴省並びに関連各省庁において連携してカドミウム対策を取られるよう要望します。 記 (1)カドミウム使用の削減対策 世界で群を抜く日本のカドミウム使用について見直しを行ない、より環境負荷の少ない材料を使った製品への代替を促進してください。 (2)カドミウムのリサイクル及び適切な処理 カドミウムの環境への排出を減らすために、事業者によるカドミウムを含む製品の回収を強化し、デポジット制度などを検討してください。 (3)鉱業施設の対策の強化 鉱山や廃鉱などについて、関係省庁と協力して汚染源としての評価を進め、汚染防止対策を強化するよう事業者への指導を行なってください。 |