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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2003年01月24日

日本生協連「21世紀型の消費者政策の在り方について」 (中間報告)への意見提出

日本 生協連(本部:渋谷区、竹本成徳会長)は、内閣府の国民生活審議会消費者政策部会で取りまとめました「21世紀型の消費者政策の在り方について」(中間報告)に対して、1月20日に品川専務理事名で下記の内容で意見を提出しましたのでご案内いたします。

2003年1月20日

国民生活審議会・消費者政策部会
部会長 落合 誠一 様

日本生活協同組合連合会
専務理事    品川 尚志
 

『21世紀型の消費者政策の在り方について』(中間報告)に対する意見
 

国民生活審議会消費者政策部会ではじまった21世紀型の消費者政策の在り方」の検討は、世界的にみても遅れていた日本の消費者政策を抜本的・包括的に転換し、前進させていく上で重要な契機になりうるものであり、今回まとめられた『中間報告』は時宜にかなったものと考えます。ぜひこの中間報告に盛られた基本的方向性を踏まえつつ、消費者保護基本法の改正と消費者政策の充実強化が、実効性あるものとして実現することを要望し、具体的な意見を述べたいと存じます。

まず、21世紀型消費者政策全体を通じて基本的な考え方として以下の6点を踏まえるべきと考えます。

  1. 消費者の権利を基本に据え、その権利を実効的に保障することを消費者政策の基本スタンスとすること
  2. 消費者政策を横断的に担う行政機関を設立し、政策企画・総合調整の機能を持たせるとともに、各省庁に対する勧告権を付与すること
  3. 学校教育・生涯教育の双方を通じて、自立した権利主体たる消費者を育成する実効的な手立てを講ずること
  4. 新たな時代における消費者団体の社会的役割を明確にするとともに、団体訴権制度を導入すること
  5. 事業者のコンプライアンス経営を促進する実効的な施策を講ずること
  6. 各種の具体的な制度整備のスケジュールを盛り込んだ基本計画を策定すること

その上で、消費者保護基本法の改正にあたって、以下の5点を要望します。

1.消費者の権利を明記するとともに、その実効的保障のために消費者政策を展開するという基本的立場を明確にすること

消費者保護基本法には消費者の権利に関する規定がありません。消費者の権利を基本に据え、その実効的保障を図るという形に消費者政策の基本スタンスを転換する上では、消費者政策の基本を定める消費者保護基本法において消費者の権利を明記することが必要です。

消費者に認められるべき権利として、CI(国際消費者機構)は以下の8つを掲げています。

  • 生活の基本的ニーズが保障される権利
  • 安全である権利
  • 知らされる権利
  • 選ぶ権利
  • 意見を反映させる権利
  • 補償を受ける権利
  • 消費者教育を受ける権利
  • 健全な環境の中で生活する権利

これは1つの例に過ぎませんが、このような消費者の権利を法律上で、できるだけ具体的に明記するとともに、消費者と事業者との間に存在する情報力や交渉力の構造的格差を考慮しながら、権利を実効的に保障する制度をつくりあげていくことが必要と考えます。

2.消費者重視を基本とすること、およびコンプライアンス経営を確立することについて、事業者の基本的な責務として位置付けること

消費者保護基本法では、提供する商品・サービスに関して危害防止など必要な措置を講ずること、行政による施策に協力することを、事業者の責務として定めています。行政の規制により消費者を保護するという従来の消費者政策のもとでは、事業者は行政の規制に従うことがまずもって必要でした。しかし、消費者を自立した権利主体として位置付ける21世紀型消費者政策においては、消費者重視が事業者の基本的な姿勢として明確にされなければなりません。さらに、法令をはじめとする社会規範に沿って経営のあり方を自律的にコントロールすることが必要となります。このような、21世紀型消費者政策において事業者に求められるものについて、事業者の責務として消費者保護基本法に位置付けることが必要と考えます。また、事業者のコンプライアンスの責務規定の具体化にあたっては、「公表」などの措置による実効性の担保措置が必要と考えます。

3.消費者の権利を実現していく上での消費者団体の役割を位置付けるとともに、団体訴権制度を担う旨についても規定を設けること

消費者保護基本法では、消費生活の安定・向上を目的とした消費者の組織活動の促進について定めています。しかし、21世紀型消費者政策では権利の実現のために消費者自身の行動が求められるため、消費者の利益を代表する消費者団体が、消費者の権利の実効的保障のために果たすべき役割は一層大きくなります。このような消費者団体の役割を消費者保護基本法においてきちんと位置付けるとともに、その大きな柱の1つとなる団体訴権制度について消費者団体が担う旨を明記することによって、21世紀型消費者政策における消費者団体の役割を明らかにすることが必要と考えます。

4.各種の施策に関する規定について、消費者契約の適正化に関する規定を加えるとともに、消費者を取り巻く環境の変化に対応した見直しを行うこと

消費者保護基本法では、危害の防止、計量の適正化、規格の適正化、表示の適正化、競争の確保などについて施策を講ずる旨の規定が設けられていますが、最近の消費者トラブルの大半で問題となっている消費者契約の適正化に関する規定がありません。各種の施策に関する規定の中に、消費者契約の適正化に関する規定を加えることが必要です。それに加え、各種の施策に関する規定について、グローバル化やIT化の進展など消費者を取り巻く環境の変化を踏まえて見直すことが必要と考えます。

5.横断的な消費者行政機関として消費者政策委員会(仮称)を設置することを明記するとともに、そののイニシアティブにより各種の政策課題への取組みを計画化する旨を明記すること

消費者保護基本法では、消費者保護施策の企画と推進のための機関として消費者保護会議が設けられています。しかし、開催時間(昨年は15分)に象徴されるように、各省庁の縦割り制のもとで形骸化しており、役割を果たしているとは言えません。21世紀型消費者政策を具体化し、推進するためには、膨大な政策課題について計画的に取り組んでいくことが必要です。そのためには、消費者政策を横断的に担う行政機関として消費者政策委員会(仮称)を設置し、そのイニシアティブにより、各種政策課題への取組みについて計画化することが必要です。消費者政策委員会(仮称)の設置にあたっては、消費者代表の参加や消費者の意見反映など消費者の参画の在り方について明確な規定が必要です。消費者保護基本法において同委員会の設置について規定するとともに、政策課題への取組みの計画化の根拠となる規定を設けることにより、実効性をもった行政の推進体制を確立することが必要と考えます。