ページ内を移動するためのリンクです

日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2003年01月21日

「食の安全・安心のための生産資材等につき 講ずべき措置について」へ意見を提出

日本生協連(本部:渋谷区、竹本成徳会長)では、農林水産省が、1月21日締め切りで、パブリックコメントを募集している「食の安全・安心のための生産資材等につき講ずべき措置について」下記の意見を提出しましたのでご案内します。

2003年1月21日

農林水産省 生産局
総務課 法案検討室 御中

「食の安全・安心のための生産資材等につき講ずべき措置について」に関する意見

〒150-8913東京都渋谷区渋谷3-29-8
団体名:日本生活協同組合連合会

意見

この度、「食の安全・安心のための生産資材につき講ずべき措置について」が発表されたことは、この間の政府における食品安全基本法制定など、一連の食品安全行政改革の主旨に沿ったものと考えます。是非、この間示された政府の考え方に沿って、今日的な食品の安全性や国民の健康保護など消費者の利益が確保されものとなるよう、積極的に進めていただくことを期待します。なお、今後の法文化にあたり、以下の事項について意見を述べさせていただきます。
 

1.共通事項について

各法律の目的や国等の責務、リスクコミュニケーションの手続き等を食品安全基本法の主旨に沿って、規定すること

食品安全基本法においてはその理念・基本方針で、「国民の健康の確保」、「食品の安全性の確保」、「食品の安全性の確保のために必要な措置が農林水産物の生産段階から適切に講じられる」、「施策に関する情報の提供、施策について意見を述べる機会の付与その他の関係者相互間の情報及び意見の交換の促進」が定められています。また、そのための国・地方公共団体・事業者の責務も規定されることとなっています。

生産資材等に関する農水省関係法律においても、上記の主旨に沿って法の目的や、責務規定、施策の検討・策定の段階からのリスクコミュニケーション実施とその手続き方法について、各法律に規定するよう要望します。

併せて、農薬や肥料・飼料等は、環境影響も大きいことから、リスク管理を安全性の確保に加えて環境保全の視点から行う旨を法に規定するよう要望いたします。

2.農薬について

【1】農薬の回収命令は、登録失効後に問題が判明した農薬も対象とすること

農林水産大臣による回収命令を設けることが記載されていますが、登録失効後に問題があることが判明した農薬についても、回収の対象とすることが必要と考えます。

【2】「非農耕地用」農薬の規制を強化すること

「非農耕地用」として農薬成分と同じ有効成分を含む除草剤等は、現行の農薬取締法の対象外となっており、広範に流通している実態があります。これらについても農薬取締法の対象として規制することが必要です。

【3】農業の生産現場における、農薬使用の記録を確立すること

農薬の安全使用の徹底について、営農指導等の適切な指導を行うこととしていますが、農薬の適正使用やトレーサビリティの確保の観点から、生産者に対する使用記録の義務づけが必要と考えます。併せて、生産者に対する指導・教育を実施し、全体的な安全使用の意識向上をはかっていくことが必要と考えます。

3.飼料・飼料添加物、動物用医薬品について

【1】薬剤耐性菌問題の観点から、抗菌性物質の使用のあり方を再検討すること

薬剤耐性菌の問題は、コーデックス委員会や国際獣疫機関等で、重要な課題として取り上げられ、全世界的に対策が進められています。この事を受けて、欧州連合では成長促進の目的で抗菌性物質を飼料へ使用することを全面的に禁止し、米国ではキャンピロバクター耐性菌の発生により、ニューキノロン剤の使用を禁止する等の、動物用医薬品の使用について対策が進められています。しかし、日本の現行法の規制では、動物用医薬品と飼料添加物とも抗菌性物質への規制が不充分です。人の健康を確保する観点から、人に使用される薬剤と同一の抗菌性物質の使用禁止措置をはじめ、飼料添加物と動物用医薬品の双方における抗菌性物質使用のあり方について再検討を行ない、使用規制を強化することが必要と考えます。

【2】水産医薬品については、投与時の使用管理の仕組みを強化すること

水産医薬品の投与にあたっては、獣医師の処方せんを必要とする動物用医薬品と異なり、その使用が規制されておらず、「疾病防止」の名目の下に安易に使用される懸念があります。そのため、水産用医薬品の食品への残留問題等、人の健康保護を確保する観点から、使用規制を強化する事が必要です。併せて、養殖漁業等について、使用記録の義務化をはじめ、投与時の使用管理や監視の仕組みを強化することが必要と考えます。

4.家畜伝染病について

BSEの死亡牛検査の拡大をはじめとする、各種対策を進めること

BSE対策として、死亡牛の検査が行われますが、施行にあたっては、病気死亡牛を始めとする全ての死亡牛の検査が実施される様に運用を徹底することが必要です。また、牛以外のBSEに伝達する可能性の高い、羊等の死亡家畜の検査実施、早期診断方法の確立と実用化など、各種BSE対策を進めることが必要と考えます。

5.牛肉のトレーサビリティについて

【1】消費者の信頼を裏切らないために、制度開始にあたっては、小売段階でのルールの明確化と確実な措置の実施が行われること

現在までの検討状況に関する資料を見る限り、うす切りや切り落とし、こまぎれ、ミンチ等の混合品への対応といった加工・販売段階の様々な事例への対応等、今後検討すべきと考えられる点が多々あり、このままの制度運用では、消費者の信頼を得るシステムとなり得るか疑問が残ります。制度開始にあたっては、上記の点を含め、枝肉・部分肉以降の小売段階でのルールの明確化と確実な実施が必要と考えます。

【2】牛肉以外のトレーサビリティの仕組みについても検討が行なわれること

牛肉については、今回法制度化の検討が進められていますが、牛以外の食肉を始め、その他の食品への実用化についても、併行して検討を行なうことが必要です。

なお、その場合には、仕入れ等の記帳及び保管の義務化、行政から閲覧要求があった時点での開示について、事業者等に徹底することが第一条件であると考えます。

以上