ページ内を移動するためのリンクです

日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2002年12月19日

日本生協連「介護報酬見直しの考え方」に 関して要望書を提出

日本生協連(本部:渋谷区、 竹本成徳会長)は、12月19日付けで、「介護報酬見直しの考え方」に関しての日本生協連の要望を、厚生労働省老健局に提出しました。

2002年12月19日

厚生労働省老健局長
中村 秀一 殿

「介護報酬見直しの考え方」に関しての日本生協連の要望
 

日本生活協同組合連合会
専務理事 品川 尚志

謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

日頃より日本生活協同組合連合会の諸活動にご理解とご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

介護保険制度は、介護の社会化をめざして、「措置から選択」への大転換、「自立支援」「在宅介護」を重視し、高齢者が住み慣れたまちで安心して暮らせる制度としてスタートしました。制度開始より2年余を経て、国民の認知がすすみ、在宅サービスの利用者の増加につながっています。

今後、高齢化はますます進行し、また経済社会の構造改革の進展等を鑑みると、セーフティネットとして、安心して老いることのできる社会システムの創造が引き続き求められるところです。

この間、制度の定着は進みつつありますが、サービスの質の向上や増加するサービスニーズへの対応は未だ不十分なのが現状だと考えます。とりわけ、ケアマネジャーの超多忙な現状と居宅介護支援の報酬単価が低すぎること、訪問介護における家事援助の報酬単価がたいへん低いことなどにより、人材の確保やサービスの質の向上が図られないという実態があります。

このような中で、社会保障審議会介護給付費分科会が12月9日にまとめた「介護報酬の見直しの考え方」では「個々の利用者のニーズに対応した、きめの細かく満足度の高いサービスが提供されるよう、サービスの質の向上に重点をおいた見直しを行なう」旨が示されており同感するところです。そのためにも、現在の居宅介護支援、在宅サービスの報酬単価を大幅に引き上げることが必要と考えます。

一方、財政制度等審議会の建議では「介護報酬の引き下げ」が明記され、新聞報道では5%の引き下げが考えられていると伝えられています。また、社会保障審議会介護給付費分科会の「介護報酬見直しの考え方」の発表に伴って、2~3%の引き下げが報道されています。

私共は、今回検討されている介護報酬の見直しにおいて、以下の4点について要望いたします。

敬 具

1.訪問介護の報酬単価の見直しにあたって、現行の「家事援助」については大幅に引き上げることが必要です。

現在の「家事援助」は「身体介護」と一体のものとして、高齢者の自立支援や介護度の維持、軽度化に極めて大きな役割を果たしています。いわゆる「生活援助」報酬が大幅に引き上げられなければ、「複合型」が廃止された分だけ引き下げと同じになってしまいます。「身体介護」との報酬単価の幅をできる限り接近させるよう設定してください。

2.居宅介護支援の報酬単価を大幅に引き上げることが必要です。

利用者本位のケアマネジメントを行なえるようにするには、報酬単価の大幅な引き上げが必要です。同時に、ケアマネジャーが本来の業務に専念できるよう、制度的な保障が必要です。あわせて、現在ケアマネジャーに課せられている過重な本来業務以外の業務が、他の介護従事者によって適切に遂行されるよう運営基準等の見直しをしてください。

3.訪問介護従事者、ケアマネジャーの質的向上を図るための制度整備が必要です。

ヘルパーの知識・技術の研修、訪問介護計画の作成、ケアカンファレンスの開催など、サービスの質の向上を図るための研修や仕組みの確立は、介護保険制度の基盤の一つですが、現在の制度では不十分なものにとどまっています。財政措置も含めて、国における特段の支援措置が必要です。あわせて、事業者の努力が正当に評価されるよう、評価制度の整備等、事業者間のサービスの質の競争が促進され、その評価に関わる情報が利用者に提供されるようにしていくことが必要です。

4.介護保険料、サービスへの自己負担が困難な利用者に特段の配慮をすることが必要です。

来年度は介護保険料の11.3%の引き上げが見込まれるとされ、また、サービスの一割負担が重く利用を抑制せざるを得ないなど、所得の低い方々が介護保険制度を享受できない実態があります。負担が困難な方々に対しては、介護保険財政の枠外による特段の配慮を行うことが必要です。
 

以 上