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日本生活協同組合連合会オフィシャルサイト

2002年12月02日

日本生協連「食衛法改正骨子案」への意見を提出

厚生労働省し、現在「食品衛生規制の見直しに関する骨子案」(食品衛生法等の改正骨子案、以下「骨子案」と略す)に対する意見を募集していますが、日本生協連(本部:渋谷区、竹本成徳会長)は、11月29日付けで、以下の意見を提出しましたので、ご報告します。

「意見募集期間」は、12月10日までとなっています。

厚生労働省の意見募集はこちら

2002年11月29日

厚生労働省 医薬局
食品保健部 企画課 御中

「食品衛生規制の見直しに関する意見」
 

日本生活協同組合連合会
専務理事 品川 尚志

〒150-8913
東京都渋谷区渋谷3-29-8
03-5778-8124
 

このたび厚生労働省より発表された食品衛生規制の見直しに関する骨子案(食品衛生法等の改正骨子案、以下「骨子案」)につきましては、目的規定へ「国民の健康」、「食品の安全」を明示することや、リスクコミュニケーションを含めた、国・地方公共団体等の責務規定の新設、農薬・動物用医薬品等の規制の強化など、従来から生協をはじめとする消費者団体が要望してきた事項が盛り込まれており、食品安全行政の抜本的強化に結びつきうるものとして、ぜひ実現を図っていただきたいと考えます。

なお、今後の国会への上程に向けての法案の具体化にあたっては、以下の事項についてさらに明確にし、実現することを要望するものです。

I 法改正として、条文に明記することを要望する事項
 

【1】食品の安全行政に関する消費者の参画を具体的に規定すること

骨子案では、リスクコミュニケーションを含めて、国・地方公共団体の責務を規定するとしています。与党食の安全確保に関するプロジェクトチームが本年6月に提出した提言では、「関係審議会への消費者代表の参加を明確にすることなどにより、地方自治体も含め食品の安全行政に関する消費者参画の推進を図る」と記述されています。この記述の内容が法律で規定されることが必要です。 

併せて、消費者等からの公聴会の請求や意見提出、それへの行政からの回答等をはじめとする、リスクコミュニケーション、消費者参加、行政の説明責任等に関する手続き規定が、具体的に法律で規定されることが必要です。

【2】食品表示規定の目的を修正すること

骨子案の食品表示に関する記載は、罰則の強化や健康食品等での虚偽・誇大広告の禁止にとどまっています。「公衆衛生の見地」となっている現在の食品表示の目的規定についても、法全体の目的規定の見直しに合わせ、「国民の健康」、「食品の安全」という事項を盛込み、修正することが必要です。
 

II  運用での改善事項等、今後の検討項目として要望する事項
 

●薬事食品衛生審議会など、関連する各種審議会の運営規定の修正を行うこと

薬事食品衛生審議会をはじめとする、食品の安全に関する各種審議会の運営規定についても、与党3党の食の安全確保に関するプロジェクトチームの提言内容を踏まえ、消費者の参画や情報公開を進めるための規定を明記することが必要です。

また、従来厚生労働省が行っていたリスク評価作業を食品安全委員会(仮称)に移行するにあたり、食品安全委員会(仮称)に移す機能と、各種審議会における運営の変更点を明確にすることが必要です。

なお、食品安全基本法(仮称)の制定に伴って、リスク評価機関である食品安全委員会(仮称)への情報の一元化を目的とする、厚生労働省等のリスク管理機関及び関連研究機関が保有する食品の安全に関する内外の情報を、食品安全委員会(仮称)へ提供する措置を規定として明記することを要望いたします。またこれらの情報には、コーデックス委員会をはじめとする国際機関における会議の状況や資料等も含めることも必要です。

●残留農薬等のポジティブリスト制度への移行計画を明示すること

農薬・動物用医薬品・飼料添加物をボジティブリスト制(指定制)とする骨子案の内容は、これまでの考え方を大きく転換するものであり、積極的に進めていただきたいと考えますが、併せて、制度の移行年限と移行に向けた基準策定計画、及びそのための予算や体制整備について明示することが必要です。

●既存添加物を規定した附則を削除するための計画を明示すること

骨子案では既存添加物について、安全性に問題のあるものや使用実態のないものの使用が禁止できるように法改正を実施する旨が記載されていますが、併せて、既存添加物名簿を規定した附則を削除し、天然添加物についても指定制度に移行するための実施計画及びその期限についても明示することを要望いたします。

●海外の食品の安全性に関する実態等の状況把握等を強化すること

骨子案に記載されている、命令検査の対象食品等を政令で指定する要件を廃止し、現在指定されていないものも含めて機動的に命令検査を行えるようにする主旨には賛成いたします。しかし、この制度を具体的に実施する際には、輸出国の安全性に係わる基準や、生産・加工時の安全性確保の実態等について、現地調査を含めた状況把握等の強化が必要です。そのため、このような対策を今後どのように実施するのかを明示することを要望いたします。

●国・地方自治体における検査・監視体制の充実強化を図ること

監視指導計画等の策定とあわせ、国や地方公共団体における食品衛生監視員の人員確保や監視・検査体制等の充実強化を図って行くことが必要です。国・地方公共団体における予算・施策の特段の充実強化を要望いたします。

あわせて、国のモニタリング検査、地方公共団体のモニタリング検査の強化が必要であり、そのための人員も含めた体制整備・強化のあり方についても明らかにすることを要望いたします。

●認証制度の導入等をはじめとする、HACCP制度の強化を検討すること

骨子案に記載されている、HACCP承認への更新制度の導入については、一歩前進と考えます。加えて、HACCPの承認にあたっては、欧米のように民間認証機関による認証制度も検討していただきたいと考えます。また、HACCPの承認制度の変更と併せ、と畜場へのHACCP制度導入の考え方や、既にHACCPの承認を受けた施設に対する監視・チェック体制の強化のあり方等について、今後の進め方や考え方について明らかにすることを要望いたします。

●食品表示の監視体制および制度全般についての見直しを引き続き検討すること

現在、表示に関する監視等では、保健所や農林水産消費技術センター等が縦割りで別々に収去や監視等を行っています。こうしたムダを改善するために、都道府県における一元的な監視・指導体制の統合・整備が必要です。

なお、現在他省と連携して行われている食品表示制度全般の見直し事項については、引き続き検討を進めていただきたいと考えます。

と畜場から小売段階までの一元的な管理ができるトレーサビリティシステムの導入を検討すること

既に農林水産省において、飼育段階からと畜場までの耳標による個体管理システムを来春から牛を対象として導入する予定としておりますが、と畜場から小売段階までのシステムの導入時期については、不明確な状態です。欧州各国の例にならい小売段階まで一貫した管理ができるシステムを日本に導入するための検討と早期の実施を要望いたします。
 

以上