2001年10月02日
日本生協連、狂牛病で 農水省・厚生労働省へ申し入れ
▼ 厚生労働省へ申し入れ ▼ 農水省へ申し入れ |
平成13年10月2日
厚生労働大臣
日本生活協同組合連合会
狂 牛 病 対 策 に 関 す る 要 請 書 平素よりのご指導に対し、厚く感謝申し上げます。 さて、国内での狂牛病発生の報道に、消費者は大変驚き、また大きな不安を抱いています。昨年の欧州での狂牛病多発の状況を受けて、弊会から貴省宛て対策強化の要請を今春させていただいたところ、「狂牛病は日本に入っていない」として放置されてきました。しかるに今般のような事態が惹起し、弊会としては誠に遺憾であります。事態発生後の対応についても、行政としてのこの問題への危機意識や責任という意味において、誠に憂慮せざるをえない事態が続いて参りました。
今回の事態についての、私どもの見解は別紙のとおりです。こうした見解に基づいて、改めて、以下のような対策を講じられることを要請いたします。 記
(1)全年齢の牛の検査 狂牛病の検査は、飼育年数などを問わず、全ての牛を対象として実施してください。この間、肉骨粉の配合が認められた豚・鶏用飼料が牛に給餌されていた事実も発覚しており、若年の牛を含めて感染の広がりが懸念されます。潜伏期段階なら感染性がないということは考えられません。消費者が安心して牛肉を消費できるように、全ての牛を検査してください。 (2)検査技術の向上 狂牛病の診断法としてELISA法を採用されるのは現時点で最善と考えます。あわせて、確実な検査法の研究・開発、技術の向上を不断にはかっていくことが必要です。今後も検査法開発の情報収集に努め、できるだけ早期の潜伏期段階で検出可能な検査方法を採用するようにしてください。
(1)牛の解体に関する実態調査と標準化 現在の国内の全屠畜場での狂牛病プリオン汚染対策の実態について速やかに調査し、結果を公表するとともに、必要な対策を早急に検討し、都道府県及び保健所所在市と連携して安全・衛生管理の向上を措置してください。 屠畜場での牛の解体について、貴省が背割り工程の廃止を含めて検討されることを評価するものですが、マニュアル等を作成し、これを全国の屠畜場に徹底してください。違反については、食品衛生法第4条違反として取扱うなど、法的拘束力のあるものとして取扱ってください。 (2)環境汚染の防止 屠畜場の排水などから狂牛病プリオンによる環境汚染が起きないよう、処理対策を検討してください。 (3)解体作業者の保護 解体の際に作業者が誤って狂牛病プリオンに曝露しないよう、必要な対策と作業者への教育を実施してください。
(1)全年齢の牛等の危険部位除去 貴省が屠畜場で危険部位の除去・焼却処分を決定されたことは弊会としても評価するところです。しかし、対象が12ヶ月齢以上に限られることは潜伏期の牛の危険部位が流通することとなり、消費者の不安が残ります。年齢を問わず、全ての牛について規制してください。 (2)危険部位除去は義務に 規制が指導にとどまっては、危険部位が流通し又は食品の原材料に回る可能性があります。法的拘束力をもった規制にしてください。 (3)除去部位の拡大 除去部位については、EUにならうだけでなく、危険部位が残りやすい脊椎骨等も対象としてください。 (4)羊・山羊も対象に 羊・山羊についても、牛と同じく肉骨粉が与えられていた可能性があり、かつ狂牛病への感染性があるので、EUにならって危険部位の除去・処理を行なってください。 (5)危険部位の流通・利用実態の調査と公表 現在、危険部位は、食品及び食品以外でも利用されています。危険部位の流通及び利用の実態を至急に調査して公表してください。また、安全性の確認ができないものがあれば、それを公表し必要な対策を措置してください。
農水省で検討されている牛の個体管理制度を屠畜場から出荷された以降の流通段階についても運用されるように制度化し、小売り段階でも牛の生産に関する情報が得られる制度を作ってください。このため、農水省との連携及び一本化されたシステムを検討してください。
今回の狂牛病発生を招き、その対応も不十分なことの要因として、「国民の健康」や「食品の安全性」を確保するという行政目的が不明確なことが挙げられます。 現在の食品衛生法には、そうした目的が明示されておらず、国の責務規定がありません。また、情報を公開し、透明性を高め、正しい情報を迅速に消費者に提供することは、風評被害を防ぐ上でも大変重要です。政策の検討・決定の場への消費者の参加を積極的に位置づけ制度化していただきたい。そのことによって、消費者の視点からの安全性の確保や生活の場からの有効な施策の立案が可能となり、かつ施策への消費者の信頼が強まる結果となると考えられます。 欧米やコーデックスの場では常識とされているリスク・アナリシスのシステムを導入し、その根幹ともいえるリスク・コミュニケーションシステムを早急に確立していくことが必要です。 以上から、食品衛生法の改正を行なうことを要請します。 以 上 |
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平成13年10月2日
農林水産大臣
日本生活協同組合連合会 狂 牛 病 対 策 に 関 す る 要 請 書 平素よりのご指導に対し、厚く感謝申し上げます。 さて、国内での狂牛病発生の報道に、消費者は大変驚き、また大きな不安を抱いています。昨年の欧州での狂牛病多発の状況を受けて、弊会から貴省宛て対策強化の要請を今春させていただいたところ、「狂牛病は日本に入っていない」として放置されてきました。しかるに今般のような事態が惹起し、弊会としては誠に遺憾であります。事態発生後の対応についても、行政としてのこの問題への危機意識や責任という意味において、誠に憂慮せざるを得ない事態が続いて参りました。 今回の事態について、私どもの見解は別紙のとおりです。こうした見解に基づいて、改めて、以下のような対策を講じられることを要請いたします。 記
貴省は肉骨粉の国内での製造・販売及び輸入の停止を発表されましたが、国内での製造・販売の停止はメーカー・販売業者への要請という形をとるとされています。国内での製造・販売についても、法的な根拠をもった禁止措置としてください。
狂牛病以外の病気が理由で屠畜場に出荷されず、農場で処分される牛についても、狂牛病のプリオン検査を実施してください。狂牛病の発病をみる前に他の病気を発病することは大いにありうることだと考えます。狂牛病の広がりを把握するためにも是非実施することを要請します。
千葉で発見された患畜について、今日現在でも肉骨粉が給餌されたという事実を確認できない結果となっています。肉骨粉の流通状況等を過去にわたって詳細に調べるなど、改めて徹底した調査を行ない、汚染原因と汚染の広がりを明らかにし、以下の対応を迅速に行なってください。 (1)肉骨粉の給餌実態の解明 現在までに明らかになっている肉骨粉を含む豚・鶏用飼料の牛への給餌の事実をさらに徹底的に調べ、早急に全容を明らかにしてください。 (2)肉骨粉の輸入状況の調査 英国から1996年以前に輸入された肉骨粉、及び1990年代にその他の欧州諸国から輸入された肉骨粉の流通と使用の実態を調査して公表するよう要望します。またこの間、第三国を経由して肉骨粉が入ったようなことがないかも調査し公表してください。 (3)異常牛に関する検査の再実施 今年度家畜試験所で神経症状のある異常牛について行われた狂牛病検査は、手法的に誤っていた可能性があると考えます。再検査を実施し、狂牛病の広がりの把握を徹底してください。
千葉で発生した狂牛病の初例についての感染原因は未だに不明です。今回の事態に鑑み、原因の追跡と対策が迅速にできる安全管理システムが必要だと考えます。飼料の製造・流通・使用に関する管理制度、及び固体識別管理制度を早急に確立してください。また、農家への周知を徹底する制度を検討してください。 (1)飼料管理制度 飼料製造者については原料と製造に関する記録、販売者には販売先等の記録を義務付け、必要に応じて製造と流通の実態が調査できる制度としてください。また、飼料への原料、原料の産地などの表示を義務付けてください。加えて、農家への飼料給餌のルールの徹底を図ってください。 (2)牛の個体識別制度 貴省で検討されている個体識別制度を、飼料の給与履歴を含めた牛の履歴を記録に残す制度とするとともに、末端の小売店でも履歴をたどれるようにすべきだと考えます。そのため、厚労省との連携やシステムの一本化も検討し、欧州で採用されている"パスポート"制度にならった制度を導入していただきたい。また、羊など他の家畜での導入も検討してください。
この間の事態の発表などに関わっては、"情報隠し""安全軽視の体質"等の指摘もなされています。消費者の安全確保を最優先して対策を取ることと同時に、情報を公開し、透明性を高め、正しい情報を迅速に消費者に提供することは、風評被害を防ぐ上でも大変重要です。また、政策の検討・決定の場への消費者の参加を積極的に位置づけ制度化していただきたい。そのことによって、消費者の視点からの安全性の確保や生活の場からの有効な施策の立案が可能となり、かつ施策への消費者の信頼が強まる結果となると考えられます。 (1)情報の提供、公開 今後調査の経過や結果については、透明性を高めるとともに遅滞なく公表するなど、消費者への情報提供・情報公開を行なってください。 (2)消費者参加、リスク・コミュニケーション制度の確立 欧米やコーデックスでは既に常識となっている消費者参加・リスク・コミュニケーションの制度を確立していただきたい。情報の公開を強めるとともに、リスク・アセスメントや施策の検討過程での消費者の参加を制度化し、積極的に進めていただきたい。 以 上 |
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