津波被害をうけた石巻のハウスで産直「きゅうり」が成長しています
2011年8月27日
宮城県石巻市は県内で最大のきゅうりの産地です。みやぎ生協の産直きゅうりも、ここで採れた「ブルームきゅうり」という表面に白い粉がついている品種を扱っています。
従来、この白い粉が農薬のように見えてしまうことから「ブルームきゅうり」は敬遠されがちで、粉が無く、表皮が硬くて傷みにくい「ブルームレスきゅうり」が、多く栽培・流通してきました。
しかし、ブルームきゅうりは、白い粉のおかげで水分が保たれみずみずしく、皮も薄くてパリッとした歯ざわりが楽しめます。その分、ブルームきゅうりはデリケートな扱いが必要です。みやぎ生協の産直きゅうりは、規格をシンプルにすることで、市場や選果場を通すのではなく、生産者が農場で収穫しながらそのまま箱詰めできるようにしました。
また、この産地では、作付け前のハウスにホースで100℃以上の蒸気を入れる「蒸気消毒」を行うことで減農薬に取り組んでいます。こうした努力をしている生産者の農薬の使用量は、宮城県の基準の半分以下で済んでいます。
<震災前のハウスの様子> <皮が薄くみずみずしいブルームきゅうり>
このように新鮮でおいしいきゅうりづくりに励んできた産地に、3月11日、大津波が襲いました。きゅうりのビニールハウスの多くは倒壊し、倒壊を免れたハウスにもガレキが押し寄せ、畑の土は塩水にまみれてしまいました。この光景に少なくない生産者の方が離農・廃業を考えました。
<ガレキが押し寄せたハウス> <出荷待ちだったきゅうりも枯れてしまいました>
あの震災から1ヵ月を経過した頃、復興を模索していたみやぎ生協は、一次産業について、次のように考えました。
①この津波の影響は甚大で個人での圃場の復旧は無理なこと。
②宮城の食料自給率を維持・向上させるには相当粘り強い努力が必要なこと。
③農業・漁業の復興には「支えあう協同の力」が必要なこと。
そしてみやぎ生協の役員・職員を中心にボランティアを組織し、5月から週末、毎週のようにビニールハウスの泥だしのボランティアを行いました。津波から2ヶ月を経過した土は、塩分を含んで硬くなっているので表面をカッチャキで削り、それを一輪車で運び出すという作業です。
5月の強い日差しのなか、蒸し暑くなったハウスの中で長靴・マスクをつけての作業は、大量の汗が噴出す重労働で、改めて、これは一人の力では出来ない、「きっと誰かのためになっている」という気持ちを持ち続けなければ出来ないことだと感じました。
<毎週のようにボランティアに参加しました>
一度は諦めかけた生産者も、ボランティアに励まされ、再起を図りました。ボランティア活動でのガレキの撤去から、2ヶ月あまり、ハウスの修復、除塩(畑にのカルシウム剤を投入し塩分を効果的に取り除く作業)を通して7月下旬には種をまき、そして8月には芽が出てツルが伸びてきました。
<生産者の山田さん「津波の被害がありましたが、なんとかここまで成長してくれました。まだまだ気はぬけませんが、がんばって育てていきます!応援してください」>
すべてが元通りというわけでは無いですが、これからどんどん大きく育って「産直きゅうり」を食卓にお届けできるように、がんばっています。