復興に取り組む生協からの声〜生協にできること〜 【第24回】京都生協・海の虹プロジェクト 宮城県南三陸の中学生を応援

南三陸志津川と若狭京丹後を結ぶ「海の虹プロジェクト」

京都生協は、宮城県南三陸町志津川でのボランティア活動を継続して行っています。その一環として、2012年8月17日〜20日に南三陸町の中学生26人を京都に招き、『海の虹プロジェクト』を実施しました。
このプロジェクトは、これからの復興の担い手となっていく子どもたちを応援するために企画されたものです。被災地のNPO団体「海の虹」や、宮城県漁協ほか、多くの企業・団体との協力によって実現しました。

倒木を乗り越え、流れを読み、足を滑らせながらも20人の中学生が由良川を登りました。

3日目となる8月19日、中学生一行は、京都府北部の西方寺平(さいほうじだいら)と呼ばれる小さな山里で、沢登りに挑戦しました。
倒れた竹や樹木がそこかしこにあり、行く手を阻みます。「本当にここを通るの?」と大人でさえためらうなか、腰まで水に浸かり、傾いた竹の下を潜り、倒木を乗り越え、ときに歓声、ときに悲鳴を上げること2時間半、全員が無事に登りきりました。

午後は、若手生産者の指導で鈴なりになった万願寺とうがらしを収穫しました。

一方、沢登りに行かなかった6人の女子生徒は、京都生協の組合員・職員に混じってカレーを作り、みんなの帰りを待ちました。地元で採れた夏野菜をふんだんに使ったカレーの味を聞くと、「ピーマンの味がする」との声。それこそ舞鶴市発祥の京野菜で、「とうがらしの王様」と呼ばれる万願寺とうがらしの味です。
カレー作りを手伝った遠藤 想(えんどう こころ)さんは、「自分で作ったと思うと、食べたことが無いものでも平気だった」と新しい発見を口にしました。

合唱サークルの皆さんから、手作りのアクセサリーもプレゼントされました。

夜は、地元の合唱サークルの皆さんが、見事な合唱を披露してくれました。「大変なことがあったけど、神様は一人ひとりを見ています。私たちもずっとあなたたちを気にかけています」というあいさつに、ふだんはシャイな中学生も感じ入り、最後は一緒に「ふるさと」を歌いました。

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「海の虹プロジェクト」に込められた思い

京都生協の震災復興支援のボランティア活動は、現地での炊き出しのために食材を提供してくれる産直生産者などの取引先、遠征費用を捻出するための即売会を運営する職員や組合員など、これまで培ってきたさまざまなネットワークに支えられてきました。
南三陸での炊き出しでおなじみになった鳥取県畜産農協さんは今回も参加し、鳥取牛のバーベキューやホルモン焼きそばを用意しました。生協組合員の有志のボランティアは、昼食作りを引き受けました。夕食作りを請け負った京料理屋さんは「原価だけで充分です」と言って、とびきりの京料理を準備してくれました。

思いは南三陸のみんなと同じ

弥栄町の清流・野間川に、にぎやかな声が戻ってきました。

4日目の8月20日は、京丹後市弥栄町(やさかちょう)の野間地区に移動しました。副区長を務める飯島篤さんから「三陸に宝の海があるように、野間は水と緑の里。皆さんを招くことができてうれしい」とのあいさつを聞くと、一行は清流野間川へ。岩魚(いわな)づかみなどの川遊びを楽しみました。

川遊びの後は、流しそうめんにバーベキュー、おにぎりにすいかなど、お腹いっぱい食べました。

戻ってきた子どもたちを待っていたのは、バーベキューに流しそうめん、すいか、それに「日本一」と自慢の丹後のお米で作ったおにぎり。子どもたちが川で力いっぱい遊び、寺の境内や木陰ですいかを食べる風景は、何十年も前、この地域に普通にあったものでした。

今の野間地区の人口は200人ほど。在校生が5人になった小学校も、年度末に廃校の予定です。地域組織「渓里(かわざと)野間」の会長で、自然環境を大切にした農業に取り組む岡本毅さんは、「野間にまた来て欲しい。あなたたちを受け入れることが野間を守ることにつながる」と言いました。
また、消防団副団長の羽賀義昌さんは、「自分たちの村は、時代の流れのなかでじわじわと小さくなってしまったけど、ここが好きで、ここで生きていきたいという思いは、南三陸のみんなと同じだ」と語りかけました。

子どもたちの心に残ったものは

延命寺のシンボル・椎の木の下で記念撮影。

今回の企画では、イベントごとに代表の子どもたちがあいさつをすることにしました。初日こそ「おいしかったです。ありがとうございました」くらいだったあいさつも、4日目にもなると、「イメージしていた京都と違ってびっくりした」「とても暑かったけど、いいところがたくさんあった」「自分たちの学校も生徒が減って大変。町の復興のために何かしたい」と、自分の思いを口々に語るようになりました。
この企画を通して、26人の中学生は「自分たちを応援してくれる人がこんなにいるんだ」ということに気づき、京都の人々との絆を実感しました。

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