環境・サステナビリティの取り組み
生協は2021年5月に「生協の2030環境・サステナビリティ政策」を策定しました。これは持続可能な社会を実現するために、全国の生協の事業と活動で推進する2030年までの政策であり、「日本の生協の2030年ビジョン」や「コープSDGs行動宣言」で掲げたサステナビリティの精神 を具体化するための政策です。本政策は、「すべての人々が人間らしく生きられる豊かな地球を、未来のこどもたちへ」というスローガンのもと、「10の行動指針」と「5つの数値目標」、そして「18のモニタリング指標」で構成されています。
2023年に「生協の2030環境・サステナビリティ政策」に基づく2022年度の到達点を把握するために、地域購買生協67生協に対して調査を行いました。下記はその調査結果に基づいています(エシカル消費を除く)。
エシカル消費
エシカル消費に対応した商品を拡大・普及させ、エシカル消費に共感できる消費者を社会の中に増やしていきます
- ※日本生協連ニュースリリースより
- ※組合員供給価格ベース推計値
生協では、環境や社会に配慮した購買行動である「エシカル消費」を推進しており、組合員のニーズに応えられる商品を拡大しています。
日本生協連が開発するコープ商品におけるエシカル消費対応商品は、4年連続で2,000億円を超えており、その考え方や取り組みを冊子や動画などにまとめて「コープのエシカル」として発信しています。会員生協でも、さまざまなイベントやキャンペーンをとおして、エシカル消費の普及を継続的に行っています。
気候変動対策
生協事業のサプライチェーン全体と、組合員の生活における温室効果ガス排出削減に取り組みます
全国の生協では、2030年までにCO2排出量を2013年度比で40%削減することを目指しています。全国生協の2022年度の温室効果ガス排出総量は69万6,245トンとなり、2013年度比で 68%(前年度比102%)となりました。2030年までに2013年度比40%削減とする目標に対し、約32%削減となっています。
店舗における太陽光自家発電・自家消費の進展や設備更新等により省エネルギーの取り組みは前進していますが、電力調達先の電力会社における再生可能エネルギー率が低下したことや、事業拡大における電気・燃料使用量増加などが主な要因となり、全体的にCO2排出量 は増加しました。
再生可能エネルギーの開発を通して、日本における再エネ導入量を増加させるとともに、持続可能な地域づくりに貢献します
生協では気候変動対策として、再生可能エネルギーを利用するのみならず自ら開発を行っています。
2030年までに年間発電量4億kWh(設備容量200MW相当)の再生可能エネルギーを創出することを目標に掲げており、2022年時点で年間発電量約2.3億kWh(設備容量約 124MW)まで開発できています。おもに店舗や配送センターなどへの太陽光発電設備の設置が中心ですが、生協によっては風力発電やバイオマス発電、小水力発電、ソーラーシェアリングなどへも関わっています。
また、再生可能エネルギーの開発を計画的に進めるために、25の生協が2030年に向けた開発計画を策定しています。
省資源・資源循環
生協事業で使用するプラスチック製容器包装と紙を削減します。また、持続可能な原材料への切り替えを進めます
- ※ペットボトルと食品トレイの使用量把握は法的義務ではないため任意回答です。そのため、これらの品目を合算しても合計数量にはなりません。
- ※上記のグラフに関し、合計数値は買い物袋、ペットボトル、食品トレイのほか卵パックや宅配用内袋などその他のプラスチック容器包装を含めた合計量となっています。
生協では、使い捨てプラスチック製容器包装の使用量を2030年に2018年度比で25%削減することを目標に掲げており、2022年度時点では9%の減少となっています。生協の使い捨てプラスチック製容器包装のうち、もっとも使用量の多い宅配用内袋の素材を再生プラスチックに切り替えたのは65生協中1生協でした。
生協は商品カタログに多くの紙を使用するため、2030年までに2021年度比で25%削減することを目指しています。2022年度実績は前年から総量は2%減少し、供給高あたりでは1%減少しました。紙の商品カタログを使用せず、Webカタログを利用して注文する組合員の比率は5%でした。また、商品カタログの原料へ再生紙や環境・社会側面に配慮した紙を使用している生協は41生協でした。
生協事業から排出される容器包装等の回収・リサイクルを、組合員とともに推進します
生協は組合員の協力のもと店頭の回収ボックスや配送の戻り便を活用して資源物を回収し、リサイクルしています。2022年度の回収量は飲料紙パック約4,300トン、ペットボトル約3,300トン、食品トレイ約1,900トン、卵パック約2,100トン、宅配用内袋約2,200トンとなりました。
なかでもプラスチック容器包装のうちもっとも使用量が多く(約8,300トン)、かつ回収率が算出可能なのは宅配用内袋ですが、回収が進んでいない実態があり、回収率は24%にとどまっています。
生協事業ならびに組合員家庭から生じる食品廃棄物・食品ロスの削減を進めます
生協は食品廃棄物の発生抑制とリサイクルに努め、事業からの食品廃棄物を2030年に2018年度比で50%削減することを目指しています。2022年度の食品廃棄物の処分量は2018年度比で16%減少しました。モニタリング指標としている食品廃棄物発生量は2018年度比で85%、食品リサイクル率は78%という結果でした。
また、食品廃棄物の発生抑制とともに安心してくらし続ける地域社会づくりのため、フードバンクへ食品を提供しています。このほか、組合員家庭での食品ロス削減に貢献するため、フードドライブを店舗や宅配センター、店頭イベントにて実施しています。
- 社会福祉協議会
- 福祉施設
- 子ども食堂
- NPO法人
- 高齢者・児童・障がい・母子等支援団体
- 生活困難者支援施設
- ホームレス支援団体
生物多様性と人権尊重
サプライチェーンを通して、人権を尊重し環境に配慮した「責任ある調達」を進めます
購買事業を行う生協は、省資源や生物多様性の保全に留意しつつ、人権・労働安全といった社会的側面へ配慮した幅広い調達行動として「責任ある調達」が重要と考えています。
日本生協連のコープ商品では、2021年度に「責任ある調達基本方針」と水産物やパーム油等に関する「コープ商品の2030年目標」を策定しました。同様に会員生協のなかで持続可能な調達方針を策定し公表した生協は昨年と同様23生協で、うち調達目標を策定して いるのは13生協となっています。
生協における人権対応の進捗状況は、前年度よりやや増加し約3割の生協が「ビジネス と人権」に関する学習や人権方針の策定、人権リスクの評価を進める一方で、約7割の生協 では特に施策は講じていない状況です。
組合員とともに環境保全活動を推進し、自然共生社会の実現を目指します
地球の気候や土壌、そこに生きる生態系を損ねることなく、かけがえのない自然を将来世代に残していくため、生協は学習会や体験活動などの環境保全活動を、組合員とともに推進しています。
2022年度、環境に関わる企画や学習会は60生協で実施されました。特に多かったテーマは「SDGs」で次いで「エシカル消費」、「環境保全・生き物調査等」となりました。また「社会問題(貧困・人権問題等)」に関する学習会を行った生協が増えてきています。