2012年9月15日、宮城県柴田郡村田町の高橋覚(さとる)さんの圃場に「村田の秘伝豆プロジェクト」のメンバーが集まり、5月に種をまいた秘伝豆の収穫を行いました。(5月の種まきの様子はこちら)
青々と茂った秘伝豆に感嘆の声が上がります。
「実がふっくらだ」「一本の枝にこんなになるんだ」
圃場には畝(うね)ごとに、キリンビール、味の素、みやぎ生協など種まきに参加した団体の名札が目印でついています。「枝豆が立派に育ったかどうかは、種まきした人の責任ですよー」との挨拶を合図に刈り取りをスタート。
秘伝豆の面倒を見てきた覚さんの畑では、ふだんは機械で刈るのですが、この日は特別です。「皆さんの手で刈ってもらおうと思って、ちょうどいい具合に実るように育てたんだ」。そのため、お盆のころには一本一本に芯止め作業を施したそうです。「枝豆は放っておくと2メートル近くにもなるから、下から8段目ぐらいの枝分かれしている箇所で芯止めをするのさ。そうすると丈もあまり伸びず、豆に栄養が行き届くようになるんだ」。
20分もするとトラックの荷台はいっぱいに。「よし、このあたりでいいだろう」との声で今日の刈り取り作業は終了。それでも広い畑のほんの一画にすぎません。広大な畑の収穫作業は、覚さんに委ねられます。
収穫後は高橋覚さん宅の庭で豆もぎをしました。葉っぱと枝の間にぶら下がる豆を一つひとつもいでいきます。「今日は種まきした人たちが遠くから来るから、近所の人たちに手伝いに来てもらったの」と覚さんのお母さん。生産者の一人、高橋保さんが「みんな70代、80代だけど、機械でやらない時は、豆もぎは母ちゃんたちの仕事なんだ」と言う通り、実に手際よく豆をもいでいきます。
生産者の方から「ほら、こうやってもぐと簡単だっちゃ」と教えられ、みんな見様見真似で作業を進めますが、豆を入れるカゴはなかなかいっぱいになりません。
みやぎ生協村田地区こ〜ぷ委員会の山家裕美(やんべ ひろみ)さんと、男沢美智子(おとこざわ みちこ)さんも
「豆もぎって大変な仕事だねー」と汗をぬぐうヒマもなく作業に精を出します。
キリンビールの栗原良也さんは家族での参加。「プロジェクトの前任者から“すごくおいしい豆ができているだろうから収穫を楽しんできてくれ”と言われて来ました。収穫も豆もぎも初めての体験で、子どもも喜んでいます」。
昼食は交流を兼ねて、手作りのずんだ餅と納豆餅、ゆでた枝豆に豚汁が並んだテーブルを全員で囲みました。
秘伝豆は10月初旬まで収穫できます。「早く収穫する別の種類の枝豆と合わせると、出荷する期間が長くなるのが、生産者にとってはうれしい」と高橋保さんは言います。
「種まきと収穫体験を生かし、委員会やお店でも秘伝豆をお勧めしていきたいと思います」とこ〜ぷ委員の山家さん、男沢さん。
メーカーさんもバックアップします。
「自分たちで種をまいた秘伝豆が立派に育っていたことに感激しました」と味の素東北支社の望月章弘さん。秘伝豆をお店で提供する際の試供品として『やさしお』を6,000個用意してくれています。
「少し寒くなったら枝豆シチューもいいかも知れませんね」と話すのは、江崎グリコの柳昌幸さん。
永田醸造では秘伝豆の味噌をつくる計画です。「一昨年試作したときは、秘伝豆自体の香りがする味噌で大変好評でした。今年収穫した秘伝豆が、味噌の原料となる乾燥大豆に仕上がるのを待ちたいと思います」と永田洋さん。
みやぎ生協農産統括・今野一彦さんからは、「村田町の秘伝豆を宮城県はもちろん、全国に広めていきたいと思います」と力強いメッセージ。大きな拍手が湧き、“一歩前進”を実感した収穫・交流会となりました。