復興に取り組む生協からの声〜生協にできること〜 【第18回】日本生協連「笑顔とどけ隊」 被災地の現状を知り、今だけではない、“これからの支援”を考える

大型連休を利用した2012年4月28日(土)夜〜5月1日(火)早朝の日程で、日本生協連役職員を中心としたバスボランティア隊が、植樹や浜辺の清掃、ふれあい喫茶の開催などを目的に、岩手県宮古市を訪問しました。
ボランティア隊の名称は「笑顔とどけ隊」。これといった特技がなくても、被災者の方とお話するきっかけを作り、交流を通してこれからの支援を考えたいという意味が込められています。

「恵みの海に戻したい」。植樹で挑む、海の再生

二人一組で山の斜面に登り、丁寧に苗を植えていきます。

29日午前は、植樹活動を行いました。植樹は、岩手県宮古市田老地区にある田老町漁協女性部主催で毎年行っている活動で、今年で20年目を迎えます。昨年は、震災のため活動ができず、今回の植樹が震災後初の女性部の活動となったそうです。
開会式では田老町漁協の小林昭榮(こばやし しょうえい)組合長から、「津波で海の様子が変わってしまった。植樹で恵みの海に戻したい」とのごあいさつがありました。
この日は、いわて生協組合員や地元の小学生、日本生協連のボランティアも加わり、100人ほどが参加しました。二人一組で、ひとりは鍬を、ひとりは苗木の束を持って山の斜面を登り、漁協女性部の皆さんからアドバイスを受けながら、苗を植えていきました。「何かやろうと思ってもきっかけがないとできない。今日は始まりの一歩。後継者を育てて海を守っていきたい」と漁協女性部の方が話してくださいました。

海中のがれきを、ひとつひとつ人の手で

海水に浸かったがれきは想像以上の重さ。参加者で声を掛け合い、2メートルを超える巨木を引き上げました。

午後は、田老町漁協近くの真崎海岸にある沼の浜キャンプ場の清掃を行いました。震災直後は、なかなか波が引かず、砂浜が見えなかったそうです。田老町漁協では、職員・組合員とともに、浜辺の清掃活動を行ってきましたが、海の中にはまだまだがれきが残っており、清掃してもまた打ち上げられてくるので、継続した取り組みが必要とのこと。
海水に浸かった流木や木材は見た目以上に重いものが多く、一苦労。でも、皆で協力して2メートルを超える巨木を動かすと、田老町漁協の前田宏紀(まえだ ひろのり)部長は「日本生協連の職員は力はないかもしれないけれど、粘り強い」と一緒に汗を流した仲間をねぎらいました。

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多くの人に伝えたい被災地の現状

被災地の現状を語ってくれた、マリンコープDORAの菅原店長。「復興にはまだまだ時間がかかる」とおっしゃっていました。

夜の交流会には、いわて生協理事の香木(こうのき)みき子さんと、マリンコープDORA店長の菅原則夫(すがわら のりお)さんも加わり、「地域でボランティアを募って笑顔が増えるような活動を心掛けている」、「がれきは片付いているのではなく、一箇所にまとめられているだけだ」、「被災した住民の間でも、仮設住宅から新しい家に移り住める人とそうでない人の差が出始めている」など、さまざまなことを教わりました。
また、ボランティア活動について、香木さんは「多くの人に来てほしい。来てくれたことでパワーをもらい、周りのみんなに返していきたい」と期待と抱負を語りました。

笑顔の休息で広がる人の輪

翌30日、「笑顔とどけ隊」は5つのグループに分かれ、宮古復興支援プロジェクトのお手伝いのほか、仮設住宅の集会場などで、ビーズアクセサリー作りやメイクアップ、ふれあい喫茶、子どもたちとのレクリエーション活動などを行い、避難された方たちの交流の場づくりを担いました。

左:年配の方々とジェンガに挑戦!心地良い緊張感が漂います。 右:子どもたちはパターゴルフに挑戦。すぐにコツをつかんで楽しんでいました。

参加したことで考える、これからの復興

被災地の今を知ること、そして、被災地のこれからを考えること。どちらも重要なことだとあらためて感じた被災地訪問でした。

「今までボランティアに参加したいと思いながらも、きっかけが無かった」と、その多くが初めてのボランティア参加だった「笑顔とどけ隊」のメンバー。被災地の今を自分たちの目で見て、避難所に住んでいる方の声を直接聞き、出会った人々にどのように関わっていくかをあらためて考える機会となりました。
これからも継続して、新しいメンバーとともに被災地に出かけていく予定です。

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